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iOS 16やM2搭載MacBook Air、次世代CarPlayなど披露 WWDC22

アップルは7日、開発者向けイベント「WWDC 2022」を開催し、秋に提供予定の「iOS 16」「iPadOS 16」や「macOS Ventura」「watchOS 9」などの新機能を披露した。また、M2プロセッサ搭載のMacBook Air/Proなど新製品も発表した。

iOSではロック画面やウォレット、マップなどを強化したほか次世代CarPlayも披露。iPadOSやmac OSでは新たにステージマネージャを追加し、macOS VenturaではiPhoneをMacのカメラにする「連係カメラ」などの新機能が追加されるなど、今後のアップル製品の基盤となるソフトウェアやサービスが多数紹介された。

いずれも開発者向けのプレビュー版を提供開始し、一般向けには今秋にアップデートを提供予定。

Apple ティム・クックCEO

M2搭載のMacBook Air/Pro

新ハードウェアとして登場したのがM2プロセッサ搭載のMacBook AirとMacBook Pro。

MacBook Air
MacBook Pro

M2プロセッサは、M1と比較し、CPUコアの性能が18%向上し、GPUが8コアから10コア版も用意するなどで性能を向上した。7月から発売し、価格はM2搭載MacBook Airが164,800円から、M2搭載MacBook Proが178,800円から。

M2プロセッサ

新MacBook Airは、13.6インチ/2,560×1,664ドットのLiquid Retinaディスプレイを搭載し、輝度は500nit。新しい1080p FaceTime HDカメラや、4スピーカーサウンドシステムを搭載し、最大18時間のバッテリー駆動時間、MagSafe充電などに対応。シルバー、スペースグレイ、ミッドナイト、スターライトの4色で展開する。

MacBook Air

メモリは8GBから、ストレージは256GB/512GBからで最大で2TBまで選択可能。外形寸法は30.41×21.5×1.13cm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.24kg。

MacBook Proは、13.3インチ/2,560×1,660ドットのLiquid Retinaディスプレイを搭載し、輝度は500nit。メモリは8GBで16GBと24GBも選択可能、ストレージは256GB/512GBで、最大で2TBまで選択できる。2つのThunderbolt/USB 4ポートを装備する。外形寸法は30.41×21.24×1.56cm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.4kg。

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ロック画面が新しいiOS 16

iOS 16は、今秋にiPhone 8以降を対象にソフトウェア・アップデートを提供開始する。

iOS 16

iOS 16ではロック画面を強化し、写真の被写体がロック画面で時間の手前に巧みに配置され、奥行きが感じられるようになる。日付と時間の表示も、表現力豊かなフォントスタイルと色を選択し、変更できる。また、Apple Watchのコンプリケーションからインスピレーションを得たウィジェットがロック画面に採用され、カレンダーのイベント、天気、バッテリー残量、アラーム、時間帯、アクティビティリングの進捗などの情報を簡単にチェックできるようになる。

複数の写真をロック画面にシャッフル表示する事も可能。天気予報をロック画面に指定すると、雨や雷などをアニメーション表示できる。地球、月、太陽系を表示するアストロノミーの壁紙も用意される。スポーツの試合、ワークアウト、出前の注文など、リアルタイムの出来事をロック画面上で把握できる「ライブアクティビティ」も追加される。

また通知が画面上ではなく「画面下部」から表示されるように再設計される。集中モードフィルタも搭載し、カレンダー、メール、メッセージ、Safariなどのアプリでユーザーの集中モードに関連するコンテンツだけを表示することができるようにする。

iCloud共有写真ライブラリも追加。最大6人のユーザーが共同作業したり、写真追加などができる独立したiCloudライブラリで、家族に写真をシームレスに共有できる。メッセージやメールもアップデートし、添付ファイルの付け忘れなどを検知して教えてくれる。

画像からテキスト情報を抽出する「テキスト認識表示」も強化し、ビデオでもテキスト抽出が可能になるほか、抽出したテキストの翻訳なども追加する。「画像を調べる」では、画像内の対象物を長押しして背景から抜き出し、メッセージなどのアプリケーションに配置する機能が追加。また「画像を調べる」が鳥、昆虫、彫像を認識できるようになる。

音声入力も、音声とタッチを簡単に切り替えらえながら入力可能になる。Appleマップは、複数の経由地を持つ経路が導入される。

Apple Payに「後払い」

米国では、ウォレットに「Apple Payで後払い」に対応。Apple Payを使った購入の代金を6週間で4回払いに分割でき、無利子で手数料がかからず支払える。Appleウォレットに組み込まれるため、支払い情報をウォレット内で簡単に表示、管理し、返済でき、Apple Payが使える場所であれば、オンラインでもアプリ内でも、マスターカードのネットワークを使ってどこでも利用できる。

また、「Apple Payで注文の追跡」に対応している業者でApple Payを使って購入すると、詳細なレシートと注文追跡情報をウォレットで受け取れるようになる。

ウォレットの鍵と身分証明書への対応も拡大。ユーザーは、本人確認と年齢確認が必要なアプリにウォレット内の身分証明書を使えるようになる。また、ウォレットに保存した自宅、ホテル、オフィス、車の鍵を、メッセージやメールなどのメッセージアプリを使って安全に共有できる。

次世代CarPlayでクルマをコントロール

次世代CarPlayも搭載。車のハードウェアと緊密に統合し、車内にある複数の画面にコンテンツを表示できるようになる。ユーザーはラジオのコントロールや空調の変更をCarPlayから直接行なえ、CarPlay側では車のデータを利用し、速度、燃料の残量、気温などを計器類にシームレスに表示できる。

ユーザーは、様々な計器類のデザインを選択して、車内表示をパーソナライズできるほか、ウィジェット対応により、天気やミュージックなどの情報を車のダッシュボードで確認できるようになる。次世代CarPlayに関する詳細情報は、今後順次発表し、対応車種は、2023後半に発表する。

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iPadOS 16にステージマネージャ

iPadOS 16では、マルチタスク機能を強化。新機能の「ステージマネージャ」により、アプリケーションとウインドウが自動的に整理され、タスク間の切り替えをすばやく簡単にできるようになる。

iPadでは初めて、重なり合う異なるサイズのウインドウを単一のビューで作成したり、横からウインドウをドラッグ&ドロップしたり、Dockからアプリを開いてアプリのグループを作成するといったことが可能になる。ユーザーが作業中のアプリのウインドウは中央に目立つように表示。開いているほかのアプリケーションやウインドウは最新の順に左側に配置される。

このステージマネージャは、M1チップ搭載のiPad ProとiPad Airで利用可能。最大6Kの解像度を備えた外部ディスプレイにも対応するため、iPad上で最大4つのアプリ、外部ディスプレイに4つのアプリを表示しながら作業できる。

メッセージも強化し、ファイル、Keynote、Numbers、Pages、メモ、リマインダー、Safari、他社製アプリで、共同作業を始めたり共有コンテンツを管理するのがカンタンに行なえるようになる。ユーザーがメッセージで共同作業の招待を送信すると、そのスレッドに含まれている全員が該当の書類、スプレッドシート、プロジェクトに自動的に追加される。共有ファイルに誰かが変更を加えると、スレッドの一番上にアップデートが表示され、全員が確認できる。

年内にiPadOS 16に加わる新しい共同作業アプリでは、共同作業者はFaceTimeからセッションを始めたり、ほかの人のアップデートをメッセージのスレッドで確認できるようになる。

メールアプリは、予約送信や「あとでリマインダー」に対応。iOS 16と同様に「iCloud共有写真ライブラリ」にも対応する。その他Safariの強化や「テキスト認識表示」と「画像を調べる」のアップデートなども行なわれる。

天気アプリもiPadに登場。ディスプレイを最大限に活用するようデザインされ、気象情報を見るだけでなく、マップで降水量、空気質、気温を確認できる。重大な気象警報が発令された場合に通知を受け取れる。

iPad Pro向けの新機能「リファレンスモード」も搭載。Liquid Retina XDRディスプレイを搭載した12.9インチiPad Proで、レビューや承認、カラーグレーディング、合成など、映像制作者などの正確な色味と一貫した画質が重要なワークフローで、複数のデバイス間で一貫した色の条件で利用できるようになる。

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macOS VenturaはiPhoneがカメラになる

今秋公開予定のmacOS Venturaでも、「ステージマネージャ」を搭載し、Macにおいても、タスクに集中したり、アプリとウインドウ間を移動を素早くできるようにする。ユーザーが作業している現在のウインドウは中央に目立つように表示し、ほかの開いているウインドウは左側に表示。タスクをすばやく簡単に切り替えられる。ステージマネージャは、Mission ControlやSpacesなど、macOSのウインドウ管理ツールと連係して機能し、1回クリックするだけで簡単に自分のデスクトップに移動できる。

注目の機能が「連係カメラ」。MacでiPhoneをウェブカメラとして使えるようにする機能で、近くにiPhoneがある場合、MacからiPhoneのカメラを自動的に認識して使えるようになる。iPhoneとMacの接続はワイヤレスで行なえ、センターフレーム、ポートレートモードのほか、背景を暗くしてユーザーの顔を照らす新しいスタジオ照明などの機能がMacで利用できるようになる。

Safariでは「共有タブグループ」を追加。友達、家族、同僚がSafariで自分のお気に入りサイトを共有でき、ほかの人が今見ているタブを確認できる。ユーザーは、共有スタートページでブックマークのリストを作成したり、Safariからメッセージでの会話やFaceTime通話を開始できるため、一緒に旅行の計画を立てたり研究プロジェクトに取り組む際に活用できるという。

検索機能のSpotlightも強化し、ファイルをすばやくプレビューできるクイックルックを搭載。また、「テキスト認識表示」により、画像の中のテキストを検索できる。

iCloud共有写真ライブラリにも対応。その他ゲーム対応の強化や天気・時計アプリのMacへの最適化、新しいアクセシビリティツールなどが提供される。

パスキーでサインインをシンプルに

watchOS 9はワークアウト対応を強化

Apple Watch向けの「watchOS 9」も今秋に登場。Apple Watchのユーザーはより多くの文字盤を選べるようになるほか、より多くの情報やパーソナライズに対応する「コンプリケーション」を利用できるようになる。

ワークアウトアプリもアップデートされ、高度な指標、表示に加えて、新たなトレーニング体験を追加。Digital Crown(りゅうず)を回して読みやすいワークアウト表示を選べるようになる。

またカスタムワークアウトが追加され、運動と休憩のインターバルを含むワークアウトを作成できるようになる。ペース、パワー、心拍数、ケイデンスなどの新しい通知も追加される。トライアスロン向けに「マルチスポーツ」という新しいワークアウトに対応。モーションセンサーを使用して動きのパターンを認識し、スイミング、サイクリング、ランニングの一連のワークアウトを自動的に切り替える。

またランニングにおいても、「歩幅の長さ」「接地時間」「上下動」などの新しい「ランニングフォーム指標」を指標としてワークアウト表示に追加できる。ユーザーは長期的な傾向を把握できるようになる。新しいペース体験は、距離と完走時間の目標を設定でき、目標を達成するために必要なペースを計算。表示されるペース通知や指標をワークアウト中に確認できる。スイミングでも、新しいストロークタイプとして、キックボードを追加する。

睡眠アプリケーションには睡眠ステージが加わり、ユーザーの状態に関してさらに詳しい情報を提供する。Apple Watchは加速度センサーと心拍数センサーの信号を使って、ユーザーがレム睡眠、コア睡眠、深い睡眠の状態にあることを検知。睡眠アプリで、睡眠ステージのデータを確認したり、iPhoneのヘルスケアアプリのグラフで睡眠時間などの詳細な情報や、心拍数や呼吸数などを確認できる。

さらに「心房細動履歴」機能が搭載される。Apple Watchでは、心電図アプリと不規則な心拍の通知機能によって心房細動(AFib)の兆候を特定できる。心房細動は、治療をせずに放置すると脳卒中につながるおそれがある疾患の1つで、Apple Watchでその兆候を把握した事例もある。

watchOS 9では、心房細動と診断されたユーザーが、FDA認可の心房細動履歴機能を有効にすることで、心房細動の兆候が現れたおおよその頻度など、健康状態についてより詳しい情報を得られるようになる。毎週届く通知で頻度を把握したり、ヘルスケアアプリで、心房細動に影響を及ぼす可能性がある睡眠、アルコール摂取量、運動などの生活習慣関連因子の履歴を確認できるようになるほか、データをPDFとしてダウンロードし、医師などに相談できる。

また、新しい服薬アプリでは、ユーザーは服薬の管理、把握、記録を便利に目立たずできるようになる。利用スケジュールとリマインダーを設定し、薬の情報をヘルスケアアプリで確認することで、薬、ビタミン、サプリメントの管理と記録が行なえる。

その他、通知の再設計が行なわれるほか、iPhoneからApple Watchを遠隔操作するApple Watchのミラーリングに対応。また、Apple Watch Series 7のQWERTYキーボードに日本語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語た追加される。カレンダーアプリでは、Apple Watchから直接イベントを登録可能になる。

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