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メルカリ取引データから流行がわかる「メルカリ物価・数量指数」

左からメルカリ 吉川徳明氏、UTEcon取締役/東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授 渡辺安虎氏、ニッセイ基礎研究所 生活研究部 上席研究員 久我尚子氏

メルカリ総合研究所と東京大学エコノミックコンサルティング(UTEcon)は、フリマアプリ「メルカリ」で取引される商品カテゴリ毎の取引価格と流通量の変動を指数で可視化した「メルカリ物価・数量指数」を共同で開発し、提供開始する。個人間商取引(CtoCサービス)における消費者の需要を可視化する世界初の事例としている。

メルカリ物価・数量指数は、メルカリ内の取引価格と流通数量の変動状況を、メルカリにおける商品カテゴリー毎に月単位で表す価格指数・数量指数。メルカリの小カテゴリ(例:レディース ⇒ 靴 ⇒ モカシン)については、質・構成比等の調整が現時点では困難なため、上下2.5%の外れ値を除き平均価格・平均数量を算出。中カテゴリ(レディース ⇒ 靴)および大カテゴリ(レディース)では、小カテゴリの売上構成比を用いたTörnqvist指数(基準時点と現在の売上構成比の平均を用いて加重平均した指数)を算出している。

同指数を見ることで、取引数量や価格の急速な変動という形で、その時の流行を確認できる。例えば、レディース- ルームウェア/パジャマでは、2020年4月の緊急事態宣言発出後に急速に出品や取引が増加、一方、スーツ/フォーマル/ドレスは緊急事態宣言直後に流通量が急激に下落するなど、社会情勢などにあわせた取引変化が指数として確認できるとする。

近年、個人間取引などで「二次流通」の市場が拡大しているが、消費における二次流通市場のシェアが拡大を続けると、一次流通市場のデータだけでは消費の動向を正しく把握することが難しくなると考えられる。また、二次流通市場では、中古住宅、中古車などを除き、こうした消費動向を知るための手段が用意されていなかったという。そこで、二次流通の最大手といえるメルカリでの取引を可視化するツールとしてメルカリ物価・数量指数を提供する。

指数の開発は、UTEcon取締役で東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授の渡辺安虎氏が担当。「メルカリ」上にある1,000以上の小カテゴリに基づき、中カテゴリと大カテゴリレベルでの価格や取引数量の変化を示す。

指数をみると、ゴルフ・フィッシング・アウトドア用品・室内着など、コロナ禍で価格・数量とも伸びたカテゴリもあれば、減ったもの、減った後にいち早く回復したものなど、トレンドの変化が明確にわかるという。

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想定ユーザーは、消費トレンドを発信している報道関係者や、物価変動を取り扱うマクロ経済学、消費者行動、マーケティング等の研究者など。今後、「メルカリ物価・数量指数」に関する情報をニュースレターとして発信するほか、シンクタンクや大学研究室との共同研究の推進、緊急時や災害時対応の迅速化のための仕組み構築などに取り組む。

指数は毎月19日週に公開し、基本的なデータは無料で利用できる。特定のカテゴリや消費全体などについては、相談のうえ公共目的であれば契約後に提供するなど、個別対応になる。指数データの販売などのビジネス展開は、「今のところ決まったものはない。指数を出してどういうフィードバックが得られるか。まずは広く使っていただきたい(メルカリ 執行役員 VP of Public Policy 吉川徳明氏)」としている。また、現在はメルカリのデータだけだが、今後は、「他社のデータも取り込みよりマーケットに役立つデータにしていきたい」とした。