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異種ロボット連携でビル内配送自動化。QBITと森トラスト

QBIT Roboticsは、森トラストと共同でロボットを活用した館内配送集荷サービスの実証実験を6月2日から30日まで実施する。場所は城山トラストタワーで、複数の異なるロボットが協調動作し、非対面・非接触での館内配送を実現する。

複数メーカーの自動搬送ロボット群とロボットアームをクラウドで統合した大規模オフィスビル向け館内配送集荷サービス基盤をQBIT Roboticsが開発。西濃運輸、佐川急便や、ビル内の複数のテナントも協力して、実際の荷物を輸送する実証実験。

ハードウェアは、複数の自動搬送ロボットと、ロボットアームを搭載した専用の荷物棚等で構成。ロボットは荷物の大きさと届け先に適した自動搬送ロボットを、システムが自動選択する。配送業者は、ビル内の荷物搬入口にある端末から荷物を登録し、指定された専用の箱に入れることで配達を完了する。ビルに入館する必要が無いため、配達の度に入館手続きをする必要もない。

Universal Robotsの「UR5e」とVision Systemを利用して独自開発したロボットアーム
配送業者は荷物を端末で登録し、端末で指定された箱に入れる

ロボットは3種類あり、同じフロアでの配送を行なうものと、エレベーターを使って別の階層に移動できるものがあり、配送先によってそれらから自動でロボットが選ばれる。

エレベーターを利用可能なSaviokeの「Relay」。小型に持つを搭載する
エレベーターは使えないが中型荷物に対応するudu Roboticsの「PuduBot」(左)とKeenon Roboticsの「Peanut」

ロボットが決まると、ロボットアームが荷物棚から荷物を取り出し、ロボットに搭載。自動で配送先まで走行して届ける。

ロボットアームが荷物を取り出し、別のロボットに搭載する

デモでは、ロボットが通信機能によって、セキュリティが必要なドアを自ら解錠し、エレベーターを呼んで乗り込み、目的地まで移動する様子が公開された。

本来はセキュリティキーが必要なゲートも通信で解錠して通過
エレベーターを自分で呼び、行き先を設定

配送先では、受取人が直接端末を操作して荷物を取り出す。受取人が確認ボタンを押せば、配達が完了し、ロボットは自動で待機場所に帰還して次の作業に入る。

配送先ではセルフで荷物を取り出してもらう
配送が終わると自動で帰還

荷物の集荷もロボットで行なうことが可能で、テナントはタブレットから集荷時間を30分単位で指定可能。荷物を受け取りに来たロボットにセルフで荷物を搭載すれば、集荷置き場まで持っていってくれる。

また、運送業者は荷物の状況をクラウド上で確認することが可能で、集荷する荷物の有無を事前に確認できる。このため、集荷に来たが荷物が無い、という状況を減らせる。

配送業者が荷物の有無などをクラウドから確認できる

今回の実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス技術開発事業」の補助を受けて行なわれるもの。

今回のサービスを実現するにあたり、QBITは、最適ロボット配車機能や配送集荷スケジューラを持つ「館内配送集荷基盤」を開発。これにより、ビルの施設や利用するロボットの構成、配送集荷ポリシーの組合せに対して、短期間で館内配送集荷サービスを実現した。また、様々な業種サービスやロボット種別に対して共通的なクラウド・ロボット・アプリケーション基盤(ロボット共通の位置管理やロボットの群制御)を開発することで、特定のロボットに限定せず、様々なロボットを活用したサービスの開発を容易にした。

今後は、実証実験の結果を踏まえてサービスの完成度を高め、自動搬送ロボットとロボットアームを用いた館内配送集荷サービスを事業化し、今年後半からのサービス提供開始を目指す。対象は、オフィス延床面積100,000m2以上の国内大規模オフィスビル(約1,600棟)と、敷地面積3,000m2以上の国内大規模ショッピングセンター(約400カ所)など。

また、森トラストでは、館内配送を自動化することで、テナントと物流事業者の非接触化を実現し、新型コロナウイルスの感染拡大防止に役立てる他、今後は多様な施設においてスムーズにロボットを導入・利活用するための方法を検証していくとしている。