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パナソニック、列で移動し障害物も回避するモビリティ「PiiMo」

パナソニック プロダクションエンジニアリングは、列を作って移動できる追従型ロボティックモビリティ「PiiMo(ピーモ)」を2020年11月より発売する。空港や商業施設などでの利用が想定されており、価格は300万から400万円程度(構成により異なる)。

WHILLのパーソナルモビリティ「WHILL Model C2」をベースに、パナソニックが独自の機能・制御技術を追加して製品化したもの。2019年度に成田空港国際線で全日空と、2020年度にJR高輪ゲートウェイ駅で行なった顧客実証により得られた知見を盛り込むことで完成度を高めた。

搭載するレーザーレンジファインダーによって、前方のPiiMoを検知して追従。これにより複数台で列を作って走行できる。最前列の車両はあえて人が操作し、完全自律にしないことで実用化へのハードルを下げた。

2両目以降の車両は前方車両の後方に取り付けられたマーカーをレーザーレンジファインダーで認識して、1.5mから3m程度の車間を空けて走行する。車両は単純に前方車両の跡を追尾するだけでなく、個別に障害物などを自動的に回避して走行。列の間に人が割り込んだ場合でも安全に停止できる。この際、割り込まれた車両の前方の車両は、後方車両が停止したことを認識して自動で停止。これにより後方車両を取り残して列が乱れることを防げる。

安全性を最優先とした場合、全てのPiiMoを完全に停止してしまえばよいが、それでは効率良く移動はできない。PiiMoでは、走行方向を常に推定しながら重点的にセンシングをすることで「止まりすぎない」移動を実現している。

車外から有線のリモコン操作も可能で、従来の車椅子と異なり、付き添いの人間がPiiMoの横を一緒に歩きながら移動できるのも特徴。

列の組み替えも可能で、例えば列の中の誰か1人がトイレに行った場合でも、1台だけ列から抜けて、戻ってきたら列を組み直すこともできる。

また、手動で手押しする機能も搭載。通常はPiiMoを手で押しても安全のためロックがかかり押すことができないが、手押し用のレバーを操作することで手押しが可能になる。スムーズに手押しができるようにすることでエレベーターに1台ずつ乗せたい場合などに対応しやすい。

PiiMoは空港や駅、商業施設内での移動などのほか、ツアーで観光客を案内する用途なども想定されている。

なお、最大で10台程度まで同時に追従走行が可能だが、先頭車両から後方の確認が難しくなるため通常では3台から5台前後までの追従走行を想定している。

最高速度は時速4km。連続走行距離は約16km。最大搭載重量は100kg(内、手荷物台は10kg)。本体サイズは592×1,046×870mm(幅×長さ×高さ)。重量は70kg。