ニュース

月着陸船「HAKUTO-R」の最終デザイン発表。2022年に月へ

宇宙スタートアップ企業のispaceは、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」の月着陸船モックアップデザインを公開した。ispaceは「Expand our planet. Expand our future.~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げて月面資源開発に取り組んでいるスタートアップ。現在は、日本初民間開発の月着陸船による「月面着陸」と「月面探査」の2つのミッションを行なうプログラム「HAKUTO-R」に取り組んでいる。

米SpaceXのFalcon 9ロケットで2022年に月面着陸ミッション、2023年に月面探査ミッションの打ち上げを予定しており、今回発表されたランダー(月着陸船)は2022年に月に行く予定の最終モデル。以前は2021年の予定だったが変更になった。

ランダーはよりコンパクト・低重心に

HAKUTO-Rのランダーは、着陸脚を広げた状態で幅約2.6m、高さ約2.3m、重さ約340kg。2018年9月に発表したデザインに比べると、コンパクトかつ低重心になった。月への航行ルートに低エネルギー遷移軌道をとることで、推進剤の消費量を最小限に抑え、燃料タンクを小型化した。

ランダーの上部には約30kgの重さのペイロード(宇宙機に搭載する荷物)の搭載が可能。「HAKUTO-R」のコーポレートパートナーである日本特殊陶業の全固体電池や、科学探査または実証試験用の機器を月に運ぶ計画となっている。現在は残り数kgの最終積載枠を調整している。HAKUTOのクラウドファンディング支援者名を刻印したパネルも月面に届ける予定だ。

ランダーは、振動や温度、高い放射線量といった厳しい宇宙環境に耐え月までの道のりを自力で航行する必要がある。地球や宇宙空間、月を撮像するためのカメラや、航行中の姿勢を制御するための装置や位置を把握するセンサー類、着陸時の誘導制御や衝撃吸収等、安全に月面へ着陸するための技術を搭載している。

くわえて、既に契約を結んでいるSpaceXのロケット、ドレイパー研究所の誘導・航法・制御システムに加え、HAKUTO-Rの月着陸ミッションの成功に重要な役割を果たす推進系については、宇宙機および推進系の分野で世界的な評価を得ているドイツのアリアングループのスラスターを採用した。

打ち上げ予定は2022年に変更

HAKUTO-Rでは2021年のMission1打ち上げを目指してきたが、一部の部品でミッション運用に支障をきたすリスクが発生したため、スケジュール変更を行なった。顧客の荷物を確実に月面に届け、ミッションを成功させるためには、既存のスケジュール内ではリスクを十分に下げることが困難と判断し、部品の製造とその試験・解析のために、Mission1の打ち上げ予定時期を2022年に変更した。打ち上げロケットは、引き続きSpaceXのFalcon 9で、2022年の打ち上げに向け時期の調整を行なっている。

今後は、9月までにランダーの詳細設計レビューを終え、STM(熱構造モデル)の製作および試験に進む。また、地上からのオペレーションの核となるミッションコントロールセンターの設計および準備を進め、より具体的な運用計画を構築していく。2021年には実際に月に着陸するランダーの部品の組み立てを本格的に開始し、その後、宇宙の環境試験を実施した後に打ち上げ地であるアメリカへ輸送を行い2022年の打ち上げに備える予定としている。