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東京都、「スマート東京」になる。元ヤフーの宮坂副知事が会見

東京都は、「スマート東京実施戦略 ~東京版Society 5.0の実現に向けて~」を策定。2月7日に、目指す姿や都の取り組みについて、ヤフー前社長の宮坂学副知事による会見が実施された。

スマート東京実施戦略について、宮坂副知事は、IoTデバイスを通じて都市が丸ごとネットワークにつながる「スマートシティ」に東京が生まれ変わることで、都民のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させたいという考えを示した。これは、政府が掲げる「Society 5.0」と全く同じコンセプトで、東京版のSociety 5.0であるという。

宮坂学副知事

東京都では、「セーフシティ」「ダイバーシティ」「スマートシティ」という3つのシティを積極的に推進することによってQOLを向上させることを進めてきたと説明。これからは、デジタルの力、情報技術を使ってこの3つのシティを実現していきたいとする。

全体像としては、気象・インフラ・くらしや経済など人の流れなど活動に伴うものを、データで一元的にデータプラットフォームで取り込めるようにすることを目指す。そしてこのデータを使って、防災やモビリティ、教育といった行政サービスにおいて、より良いサービスを提供したいと話した。

2020年度は「スマート東京元年」であるとする。スマート東京実現に向けた2020年度の予算は、2019年度の8倍となる158億円。イノベーション創出のための予算投入を開始する。

スマート東京元年の活動としては、5GやWi-Fi環境を整えることなどによる「つながる東京」の実現、それを活用した3つのシティすべてでのデジタルトランスフォーメーション、そして都庁の働き方などのデジタルシフトという3つのフレームワークを紹介した。

ただし、東京都の中でも、土地の種類や性格が多様性に富んでいると述べた上で、東京都全体で一気に進めるのではなく、5つの先行実施エリアで地域特性を活かしたモデルを構築し、都内各地へ拡大するという。

まず先行してスマート東京を実施するのは、「西新宿」と「南大沢」(東京都立大学)。西新宿は、都庁を擁し、高層ビルが立ち並ぶ、東京・日本におけるビジネスと商業と観光の中心エリアとして、南大沢は、多摩ニュータウン西部の拠点において、学術研究(都立大学)とまちづくりが連携するエリアとして、5Gなど高速モバイルネットワークと先端技術を活用した分野横断的なサービスの都市実装を展開する。

そのほか都心部、ベイエリア、島しょ地域で実施すると説明。さらに東京都全域へ展開した後は、そのノウハウを全国で活かせるようにすることで、日本の持続的成長につなげたいと語った。

喫緊の課題として、デジタルに関する人材が、世界の都市に比べて劣っていることを挙げる。それを解決するために、都庁の中にもICTに詳しい技術部門を作る必要性があると述べ、そのために、2019年度は民間からICT職を採用、2020年度は新卒をICTの専門職として初めて採用すると説明した。