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スマホ1つで3D足型採寸。誤差1cm以下の「Visualize」

Visualize株式会社(以下、Visualize)は、ARを活用した3Dモデル生成を行なう、3D足型採寸技術「Visualize」(以下、ヴィジュアライズ)を開発。事業展開することを発表した。

VisualizeのCEOは、スマホで撮影した2枚の画像から身体を採寸できる技術を展開するBodygramと同じJin Koh氏。Visualizeは新たに設立した新会社で、Bodygramとは関連会社となる。

ヴィジュアライズについて説明するJin Koh氏

ヴィジュアライズは、足とその周囲をスマホのカメラで複数回撮影することで、360度の3Dモデル生成を行ない、足の任意の箇所の採寸を可能にする3D足型採寸技術。Visualizeはこの技術についてメディア向け説明会を実施、デモを行なった。

デモではメジャー等を使った実測の採寸と、ヴィジュアライズの採寸を比較することで精度を紹介。足の長さ、幅、足囲を計測した。なお足囲とは、胸囲や腹囲の足版で、足の特定の部分の1周の長さ。

足囲を採寸している様子
ヴィジュアライズで採寸している様子

実測値の結果は、長さ23cm、幅8.8cm、足囲21.2cm。これに対してヴィジュアライズの計測結果は、23.3cm、9.3cm、21.6cmで、実測値との差はすべて5mm以内。

左上に表示されているのが測定結果。上から長さ、幅、足囲

Jin Koh氏によれば、誰が作業をしても誤差は1cm以内という精度を実現しており、今回は光などの条件が良く、かつ慣れている人が作業をしたことで、より高い精度の結果となったと話した。目標としては誰が作業をしても5mm以内になることとしている。そのほか、使用するスマホについて、カメラの性能が高いほど、採寸の精度も高くなると説明した。

使用方法は、自身の足とその周囲を撮影するところからスタート。画面の表示に従って足の写真を19枚撮影。撮影自体はボタン操作の必要はなく、画面の指示通りの位置でスマホを固定すれば自動で撮影される。なお、デモでは被測定者とは別のスタッフがスマホを操作をしているが、1人で、椅子に座った状態での使用を想定しているという。また現在は19枚必要だが、より少ない枚数で採寸できるよう、技術を高めていきたいとも述べた。

自身の足の撮影から開始
ヴィジュアライズで採寸している様子。1人で使用することを想定しており、通常上から画面を見る態勢になるため、画面内の文字は逆さま

撮影が完了したら「Upload」をタップ。サーバーに画像が送られ、サーバー側で足の形状を構築。実測値との比較の部分に掲載した画像の通り、採寸結果と3D画像がスマホに送られてくる。

撮影が完了したらサーバーにアップロード

ヴィジュアライズの大きな特徴は、使用時にスマホしか使っていないことからもわかる通り、従来のスマホ採寸で使用していた採寸用のマットなど、基準となる長さがわかるものすら不要な点。これを実現するため、AR技術を活用しているという。

ARで床の分析を行なっており、床の水平を取ることによって基準物を使わなくても、足のサイズを取れる技術である説明した。ARを使って物の大きさを測る技術は、Visualizeが取得している特許の1つで、足以外にも幅広く活用できるという。

また、高精度な測定結果を出すためには、画像のクオリティも求められる。この画像を誰でも撮れるようにするため、ARの技術を活用したガイドを採用。この部分でも、Visualizeは特許を取得している。

3Dモデルについては、4Gモードと5Gモードを用意。5Gモードでは、より高精細な3Dモデリング結果が生成される。なお現在の4Gモードのファイルサイズは100KB、5Gモードは100MB。5G時代には1GBのさらに高精細なモデリング結果を生成するとした。

左が4Gモード、右が5Gモード

また3Dモデルは、スマホ操作で動かしながら見ることができる。

Visualize 足採寸3Dモデル

ヴィジュアライズの開発背景として、足は長さだけではなく、横幅や形状が異なり、特にECでは自分の足にマッチする靴を見つけづらいことを挙げる。それもあって、靴のECは返品率が高いという。ヴィジュアライズを活用することで、店側は既製品であれば採寸結果に応じた靴の提案ができ、オーダーメイドも可能となる。

オーダーメイドといえば職人が一つ一つ手作りするものというイメージがあるが、今の技術を使えば、採寸結果を利用して、3Dプリンターでオーダーメイドシューズを作ることも可能だろうと話した。

また今回画面に表示されているのは3つの計測結果のみだが、実際には足の様々な場所、角度を計測できる。例えば土踏まずのサイズや形状を計測することにより、インソール(中敷き)をカスタマイズできるという。

ヴィジュアライズは、ソフトウェアとしてBtoB事業展開を予定。パートナー企業は自社のWebサービスやアプリに、ヴィジュアライズの採寸ソリューションを導入でき、また導入企業のニーズに合わせた足の採寸可能部位のカスタマイズも可能としている。

身体のデータプラットフォーム構想と採寸技術の可能性

Jin Koh氏は、Bodygramアプリの技術とあわせた「BodyBank」構想を掲げる。

Bodygramでは、身体計測を行なうと、その計測結果がBodyBankというデータプラットフォームに送られる。BodyBankはエコシステムとして、広げていきたいという意図があるという。

このBodyBankをオープンにして、様々な人に使ってもらうということを考えているが、BodyBankに入ってくる身体に関する情報には、いろいろなものがあり得ると話す。

それは例えば、Bodygramで計測するような身体の外側に関する情報だけではなく、体内に関する情報もあるかもしれないし、ヴィジュアライズのような身体のある一部分の情報というのもあるかもしれない。

このような、身体のいろいろな情報がつながるBodyBankについて考えた時に、このエコシステムをすべて自前で進めるのではなく、オープンにするという考え方もできる。その点では、オープンにする方針であるという。

エコシステムをオープンにしたいという考えのもと、Bodygram以外の代表的なアプリを目指し、身体のパーツの一部にズームインしたヴィジュアライズを作ったと説明。今回は足だが、今後は手や頭の採寸なども考えているという。さらには人間ではなくペットの身体の採寸などによる、ペットの身体の情報のプラットフォームにもなり得ると述べた。

またヴィジュアライズに関して、小売りのほか、ヘルスケアへの参入が狙いの1つと話す。先に挙げたインソールのカスタマイズもその一例であり、インソールは正しい姿勢で立つために重要であることを強調。さらにディープラーニング技術を活用し、外反母趾など、3Dモデルから骨まで推定できるようにしたいという将来像を語った。

そのほか将来的な話として、身体以外の採寸についても言及。ヴィジュアライズとドローンを使って建築物のサイズを測ることもできるのではないかと話した。