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「品格のある歩行」をサポートするセンシングインソール。NECなど開発

NECとFiNCは、「歩容」を計測し、正しい歩行姿勢へ導く歩行センシングインソール「A-RROWG」の先行予約販売をクラウドファンディングサービス「Makuake」で開始した。価格は2万円(税込)。目標額は100万円。

A-RROWGは、NECの小型の歩行分析センサーを搭載した専用インソールと、その人の歩容(歩行の質)状態をチェックして、適切な歩き方に向けたアドバイスをするスマホアプリとセットで構成される。

アプリイメージ

コンセプトは「品格をあげる歩行を。」で、30代から40代の男性をターゲットとしている。NEC 執行役員の藤川修氏は「良い姿勢は、品格の要素として挙げられる。かっこよく歩く、品格を持って歩くことが健康に繋がる」とした。クラウドファンディングでは、50人以上のユーザーから意見を募ることを計画しているという。

NEC 執行役員 藤川修氏

NECの歩行分析実績から導き出した理想の歩行と、最先端の歩容センシング技術を利用したNEC独自の「歩容推定モデル」を活用。センサーが計測した歩行軌跡をもとに歩行速度、歩幅、接地角度、離地角度、足上げ高さ、外回し距離を取得して歩容を推定する。

アプリ側では、FiNCの持つ理学療法士の知見を取り入れ、歩き方について、いくつかのタイプに分別して表示。姿勢や歩き方の癖を指摘し、適した歩き方に繋がるトレーニング方法などを提示する。

FiNC ライフサイエンス部 部長の村上真氏は、提示するストレッチや運動方法に関して、個人ごとの課題に対して最適なものを用意するほか、腰に痛みを感じる人には別ロジックにするなど、1人1人にパーソナライズされたものを提供するとした。

FiNC ライフサイエンス部 部長 村上真氏

専用インソールはS(23.5~24.5cm)、M(25.0~26.0cm)、L(26.5~27.5cm)の3サイズ。重量は約30g(Mサイズ)。厚さは前足部約3mm。

専用インソール

歩行分析センサーは、歩行時のみ検知し起動。徹底的に消費電力を抑える設計としている。1日3回程度、センサーを意識せずに自然に歩いている状態で計測し、翌日にその結果をアプリから確認できる。電池寿命は約1年で、電池の交換は不可。外形寸法は40×30.5×7mm。重量は約11g。

アプリイメージ(左)と歩行分析センサー(右)

従来、人の歩行状態を把握するには、歩行シーンの映像の活用や、ウェアラブルセンサを直接身体に装着する必要があり、場所や利便性、費用面で課題となっていた。今回、NECが開発する技術では、センサーを小型・軽量化し、靴やインソールに内蔵できるようになる。日常の歩行データを場所や時間にとらわれず収集でき、個人の健康状態に合わせたアドバイスが行なえる。

今後両社は、この取り組みをベースに共同でウェルネス・ソリューションを個人向けに提供。従業員の健康を意識する企業や、病院・介護事業者・学校などの公共・法人顧客への提供も目指す。なお、NECはこの技術を靴・インソールメーカーへのOEM展開も進めていくとしている。

センシングインソールを体験。「かかとから着地」とアドバイス

体験会で、試作のセンシングインソールが入った靴を履いて実際に歩き、アプリでの診断を受けてみた。歩いた際に異物感などの違和感はなく、30歩ほど歩いた結果、歩行姿勢が乱れているか、足首の可動域が狭くなっているといった内容の「タイプC」と判定。「かかとから着地しよう」というアドバイスを受けた。

体験会で使用した靴
インソールの裏側にセンサーが取り付けられている
30歩ほど歩いて評価を確認。スマホ画面右下の「C」が今回の結果
体験会で診断できるタイプと傾向

体験会ではリアルタイムで数値と評価を表示したが、製品版では、1日の平均値が計算され、数値と評価は翌日に確認でき、アプリで直接改善のためのトレーニング動画が再生できるという。