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iPad版Photoshop登場。Apple Pencilに最適化したレタッチツール

アドビ システムズは4日、Photoshop iPad版を提供開始した。Photoshopが含まれる全てのCreative Cloudメンバーが利用可能で、Apple App Storeからも購入できる。画像合成や写真修正ツールなどレタッチワークフローの中核機能を装備。PSDファイルに対応し、Creative Cloud上に保存することで、iPad/Mac/Windows間でシームレスに作業できるとしている。

Photoshop iPad版は、iPadとApple Pencilとの組み合わせの利用に特化した、デスクトップ版(Mac/Windows)とは異なった仕様のアプリ。デスクトップ版では、ペイントツールとしても使われているPhotoshopだが、iPad版では画像合成や写真修正の機能に特化。描く役割は、Creative Cloud上に保存した同じファイルで作業できるFrescoでカバーする。

アプリを起動してまず最初に表示されるホーム画面には「学び」のコンテンツを用意。デスクトップ版とは異なる機能へのアプローチを解説する。

「学ぶ」のコンテンツ

記者向けの体験会で触れたベータ版の編集画面は、Adobe Frescoと似たシンプルな構成。左側にブラシなどのツール、右側にレイヤーメニューが並んでいた。デスクトップ版の「ファイル」「イメージ」などといったツールバーが無く、フィルター機能を使った加工ができない仕様。ツールやジェスチャーの使い方は右上のヘルプアイコンで確認できる。

編集画面。左側にツール、右側にはレイヤーメニュー

レイヤーは、簡易表示と詳細表示の2種類を用意。ジェスチャーでも切り替え可能で、作業によって使い分けることで、iPadの画面全体を効率的に使えるとしている。

レイヤー簡易表示
レイヤー詳細表示

「明るさ・コントラスト」「レベル補正」「カラーバランス」などはレイヤーメニューから利用可能。補正をかけたいレイヤーを選択し、調整レイヤーを作成して利用する。

調整レイヤーから「色彩・彩度」を選択
色彩・彩度レイヤー

体験会では、用意された海底の画像と、ウミガメが映っている画像、会場に用意された海の生き物の模型を使った画像合成を体験。ウミガメの画像と、模型の写真の背景をマスクして、海底の画像に泳いでいるように配置する。

マスクする作業では、クイック選択ツールを使用。Apple Pencilを使い、ウミガメをなぞるだけですんなりと完了。拡大縮小がスマホと同じピンチイン、ピンチアウトの動作でできるため、細かい腕の先なども苦戦せずに選択範囲にできた。

Apple Pencilでウミガメをなぞって選択
マスクをかけて、海底の画像の上にウミガメだけを表示

大きさと角度を調整する際には、デスクトップ版の自由変形と似た機能を持ったツールを選択。画像の角度、大きさを調整し、5分もかからずに作業が完了した。

ウミガメを調整して配置

次にiPadのカメラを使って模型の写真を撮影し、ウミガメと同様の手順で合成。ツールの中の写真のアイコンから直接カメラを起動でき、撮影した写真はそのままPhotoshopに取り込める。

画像アイコンからカメラを起動
用意された鯨の模型を撮影

撮影した写真は、模型が芝のようなマットに乗っていたためか、クイック選択ツールでは模型以外の不必要な部分まで選択されてしまい、マスクに苦戦。体験会で時間が限られていたこともあって、ものすごく違和感のある画像ができあがったが、今回使用できなかった別のツールを使ってみたり、iPad版の仕様に慣れたりすれば、簡単な画像合成はデスクトップ版よりも楽にできそうな印象だった。

鯨の模型もマスクして配置。ウミガメの餌にされそうな構図

なおアドビ システムズは、IllustratorのiPad版も発表。Adobe MAXではプレビュー版が公開される。