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ついに本格始動したコード決済共通規格「JPQR」。和歌山県など4県

8月1日より岩手県、長野県、和歌山県、福岡県の4県でJPQR普及事業が開始された

国内コード決済統一規格「JPQR」の普及事業が、8月1日より開始となった。JPQRは、キャッシュレス推進協議会が策定した国内コード決済の統一規格で、普及事業は、地域における加盟店開拓業務プロセス等の検証と、低廉な決済手数料率でのサービス提供等によるキャッシュレス化の進展の検証を目的として実施される。

普及事業の実施期間は2019年8月1日から2020年1月31日の半年間で、まずは岩手県、長野県、和歌山県、福岡県の4県で開始し、今後実施地域の追加も検討されている。

今回のJPQR普及事業では、利用者が決済用のコードを提示して店舗がそのコードを読み取る「CPM方式」と、店舗がコードを提示してそのコードを利用者が読み取る「MPM方式」の2方式で行なわれる。CPM方式はセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンのコンビニエンスストアチェーンや、実施地域の地元スーパーなどを対象として行われる予定。また、MPM方式は主に小規模な小売店や飲食店などを対象としている。

参加する決済事業者は、NTTドコモ(d払い)、Origami(Origami Pay)、KDDI(au PAY)、福岡銀行(YOKA!Pay)、みずほ銀行(J-Coin Pay)、メルペイ(メルペイ)、ゆうちょ銀行(ゆうちょPay)、LINE Pay(LINE Pay)、PayPay(PayPay)の9事業者。このうち、PayPayはCPM方式のみの参加となり、MPM方式にはPayPayを除いた8事業者が参加する。

また、決済方式や決済ブランドによって提供開始時期が異なっている。まず、8月1日より提供開始となるのはMPM方式のみで、CPM方式は10月1日の提供開始を予定している。決済ブランドごとの提供開始時期は、Origami Pay、J-Coin Pay、メルペイが8月1日、au PAY、ゆうちょPay、YOKA!Payが10月1日からで、d払いとLINE Payは開始日調整中だ。

JPQR普及事業は、2019年8月1日から2020年1月31日までの半年間実施される
8月1日より提供開始となったのはMPM方式のみで、CPM方式は10月1日開始を予定している

普及事業の実施地域となっている和歌山県では、JPQR普及事業に参加する和歌山市内の小売店舗などで、8月1日よりJPQR対応QRコード提示が始まった。その参加店舗のひとつ、東ぶらくり丁商店街の「お茶の諏訪園」では、普及事業開始初日の8月1日に、レジカウンターにJPQR対応QRコードを印刷したポップを設置するとともに、店頭の看板などにJPQR対応を示すステッカーなどを貼るなどして、JPQR導入をアピール。

JPQR普及事業に参加し、8月1日よりJPQRによるコード決済の提供を開始した、和歌山市の東ぶらくり丁商店街にある「お茶の諏訪園」

諏訪園の店主によると、すでに1年以上前よりクレジットカードや交通系電子マネーなどの電子マネーなどへの対応をすませており、コード決済の利用者数がどの程度になるかはわからないとしつつ、今後はコード決済も無視できない存在になると考えて、今回のJPQR普及事業への参加を決めたという。また、複数のQRコードを置かず、1つのQRコードだけで7ブランドの決済が可能という点も便利に感じているという。

諏訪園では、8月1日の時点ではメルペイの加盟店登録が終了していなかったため、Origami PayとJ-Coin Payの2ブランドのみでの開始となった。

また、8月1日と2日の時点では、J-Coin Payの決済が通らないというトラブルもあったそうだ。それでも初日から実際にJPQRで支払いを行なう利用客がいたとのことで、順調なスタートが切られたようだ。実際にOrigami PayでJPQRを利用した決済を行ってみたが、問題なくスムーズに決済可能だった。

レジカウンターにJPQR対応QRコードを提示。お茶の諏訪園では、8月1日でOrigami PayとJ-Coin Payに対応し、メルペイは加盟店登録完了待ちとなっていた
店頭の看板にもJPQR対応開始を告知するポスターなどを貼ってアピール
Origami PayでJPQRのQRコードを読み取り、問題なく決済できた
購入した抹茶ソフトクリームと焙じ茶のセット。お茶屋さんらしく、抹茶の味が濃くてとても美味しい

同じくJPQR普及事業参加店舗の、和歌山県白浜町の酒店「豊店(とよみせ)」では、7月31日までにJPQR普及事業店頭スタートキットが届いたという。

店頭スタートキットには、店頭に掲示するJPQR対応のQRコードが印刷されたステッカーや、対応決済ブランドのステッカー、ポップ、JPQR対応告知ステッカーなどが同封されている。普及事業開始日の8月1日は朝から忙しかったそうで、まだ実際に店頭にJPQR対応QRコードを提示できていなかったが、今後JPQR対応によって来客数の増加を期待しているとのことだった。

和歌山県白浜町の酒店「豊店(とよみせ)」もJPQR普及事業に参加している
8月1日は忙しくて、届いた店頭スタートキットもまだ開封されていなかった
スタートキットには、店舗掲示用QRコードや対応決済ブランドのステッカー、告知用ステッカーなどが同封されている

和歌山商工会議所によると、JPQR開始に備えて実施した説明会などを通して、和歌山市内で200軒を超える会員店舗が参加申し込みを済ませているという。ただ、普及事業開始となった8月1日時点でのJPQR対応店舗は10数店舗にとどまっている。

普及事業への参加申し込みを行なった時期によって対応開始時期が遅れるのは仕方がないとしつつ、今後順次対応店舗が増えていくことで注目度が高まるだろうと期待感を示した。

和歌山県内でのJPQR普及事業参加店舗数は、最終的には2,000~3,000軒を想定しているという。普及事業の期間を過ぎてもJPQRによる決済はそのまま利用できるため、商工会議所としては今後も会員店舗にキャッシュレス決済やJPQRの導入メリットを説明するなどして導入を働きかけ、和歌山市や和歌山県内でのキャッシュレスの機運を高めていきたいと説明した。

和歌山商工会議所によると、和歌山市内で200軒を超える店舗がJPQR普及事業に申し込みを済ませており、今後も会員に導入を働きかけたいとした