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AIが雑誌の誌面を自動レイアウト。15年分の「暗黙知」を反映

大日本印刷(DNP)は、エー・アンド・ユー、新建築社と共同で、雑誌の原稿となる画像とテキストを入力すると、その内容や雑誌の持つブランドイメージにあった誌面レイアウトを、AI(人工知能)を活用して自動生成する技術を開発した。雑誌「a+u」8月号のレイアウト作成に一部活用する。

自動生成されたレイアウト。パターン1
パターン2

雑誌の編集作業では、編集者等が記事の内容や文字数、画像サイズ等を検討し、毎号、新たにページレイアウトを制作する。各雑誌のデザインポリシーやブランドイメージに合致させることが重要で、その制作ノウハウや暗黙知を複数の編集者で共有し、継承する必要がある。

DNPは、「a+u」の過去15年分の誌面データをAIに学習させることで、その“雑誌らしさ”をスコア化するモデルを開発。このモデルを活用し、テキストと画像のデータを入力すると、雑誌のブランドイメージに合った誌面レイアウトが自動的に提示する。

提示されたレイアウトを参考に、編集者、カメラマン、ライター等が議論を行なうことで、新しいアイデアが引き出され、誌面の質の向上につながるといった効果が見込まれる。また、編集者が毎回レイアウトを1から検討する必要がなくなり、業務効率の改善につながるとしている。

写真の配置や文字組などが非定型で自由度の高い雑誌レイアウトにも対応可能。あらかじめ定められたテンプレートにデータを流し込む自動組版技術とは異なり、高度な誌面が重視される雑誌用にも、多様なレイアウトを生成できるという。

蓄積した雑誌レイアウトのデータから、その“雑誌らしさ”を評価スコア化するとともに、AIがどの部分に着目したかを色で表示する「ヒートマップ」を提示。これを客観的指標として活用することで、制作者間のコミュニケーションを促し、“雑誌らしさ”の共有が図れるとしている。

AIがレイアウトを評価し、着目した部分を赤くしたヒートマップで表示。赤い部分が多い左側が高評価

3社は今後、本技術を「a+u」の編集に本格的に活用し、誌面レイアウト自動生成システムの実用化を図る。またDNPは、雑誌・書籍に限らず、パンフレットやカタログ、広告などへの利用も想定した、AIを活用した出版・編集支援サービスの構築を目指す。