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個人情報の使い方を自分で管理する情報銀行スマホアプリ「MEY」

マイデータ・インテリジェンスは、企業などが利用する消費者の個人情報を、消費者自身が管理するためのマイデータ・バンク「MEY」のスマホアプリ(MEYアプリ)の提供を開始。メディア向け発表会を実施した。

アプリは発表時点ではAndroidのみで、iOS版は近日リリース予定。

MEYアプリが提供するのは情報銀行サービス。情報銀行とは、消費者が自身の情報を預託することで、便益を消費者(情報提供者)へ返す事業者を指す。背景には、個人情報に紐づくデータを特定の企業が独占することにEUで異が唱えられ、消費者本人に自身の情報をコントロールする権利が定められたことがある。

MEYアプリは、この権利を行使、すなわち情報をコントロールするためのアプリ。

MEYに登録したユーザーの決済、移動、視聴閲覧、キャンペーン募集などのデータが、ID連携による企業経由でMEYに蓄積。これに加えてユーザーが直接MEYに登録したデータも蓄積される。

このデータを利活用したいというオファーが企業からあると、MEYアプリにおいてユーザーにデータ提供の可否の問い合わせる。提供可としたユーザーの情報のみ、オファーをした企業に提供する。

ユーザーは、データを提供した便益として、ポイントやクーポン、プレゼントなどのサービスが提供されるという。なおMEYでは、MEYポイントの付与を実施しており、MEYポイントは各種製品やギフト券などと交換できるという。

また企業から「1週間分の食事画像の提供」といったオファーが届くことがあり、そのオファーに対してユーザーが画像をアップロードする形で応えるというメニューもある。この場合、ユーザーにはおすすめの情報コンテンツや健康食品、健康サービスを提供することを、情報提供に対する便益の例として挙げた。

届いたオファーの一覧
食事画像提供のオファー
オファーに対して食事画像をアップロード

MEYが提供するデータについて、マイデータ・インテリジェンス 取締役執行役員 COO 森田弘昭氏は「ユーザーのライフカレンダーの変化を予測しながら企業に提供する」とし、また「ユーザーには同様の予測に応じた、タイミングごとに有益な情報を伝える」と説明した。

マイデータ・インテリジェンス 取締役執行役員 COO 森田弘昭氏

どの企業に、どのようなデータを提供したかはアプリで確認することができ、許諾の取り消しやデータの利用停止を行なうことも可能。

そのほかアプリの機能として、各種サービスのIDとパスワードの管理機能を搭載。サービスごとにログインURLやIDなどを登録しておける。

マイデータ・インテリジェンスでは、情報銀行をユーザーと企業が体験するための「情報銀行トライアル企画」を実施。ユーザーは事前公募にて登録した約12,000人、データ利活用企業としては8社が参加。

各社が設定する検証テーマに沿った、データ活用による事業課題への影響や、データ活用によるマネタイズが図れるか等、データ利活用の新たな体験や可能性の可視化を目指す。

参加するデータ利活用企業は、キリンホールディングス、DataCurrent、パーソルキャリア、ビジョナリーホールディングス(中核会社はメガネスーパー)、明治安田生命保険、金融企業、エネルギー企業、旅行・観光企業。そのほか、電通マクロミルインサイトが取り組みに参加する。

マイデータ・インテリジェンス 代表取締役社長執行役員 CEO 石井尚二氏は、MEYアプリおよび情報銀行トライアル企画について「生活者にとって安心・安全なパーソナルデータ運用環境をいち早く用意することが重要」と説明。その上で「情報銀行黎明期におけるこの取り組みは、情報銀行を目指している日本国内の各企業においても、興味深いことであろう」と述べた。

マイデータ・インテリジェンス 代表取締役社長執行役員 CEO 石井尚二氏