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「リアルな会話はニュースへの関心を高める」。Twitterとニュースの親和性

Twitter Japanは、Twitterとニュースの親和性について、2018年に話題となったニュースを取り上げ、分析によって判明したユーザーの動きや情報流通のメカニズムなどを発表。Twitterでのユーザーの反応やユーザー同士の本音の会話がさらにニュースへの関心を高めていくとしている。

Twitter Japanは、Twitterの特徴を多くの人に情報が届くリーチ力、情報が早く届くリアルタイム性、Twitterオーディエンス(ユーザー)の特異性の3つとしている。

リーチ力について、日本のTwitter月間アクティブ数は4,500万人以上で、世界中のツイートのうち約20%が日本語のツイート。閲覧するだけでなく発信もほかの国と比較してアクティブな傾向にあるという。

分析の対象として、2018年話題になったニュースが取り上げられた。

取り上げられたニュースは以下の通り

・西日本豪雨
・大杉連さんの訃報
・渋谷ハロウィン
・フィギュア羽生選手金メダル
・カジノ法成立
・築地市場閉場
・安室奈美恵さん引退
・サッカーW杯日本戦
・猛暑

この9つのニュースの関連ツイートだけで、年間8,260万以上あったことから、世の中で話題になったニュースはTwitter上でも同様に多く語られているとしている。

取り上げられたニュースについて、ツイートしたユーザーを性別年齢で属性分けすると、内容によって偏りはあるが、ニュース全体としてみると老若男女がそれぞれ関心を持ってツイートしていることがわかったという。

ニュースの関連ツイートをしたユーザーの属性。カジノ法成立、築地市場閉場は40~50代の男性で8割を占めるなど、内容によって偏りが伺える

また、タイムライン上のツイートを時系列で表示する機能により、Twitterを開くと最新の情報を表示。特にこの機能を使っているユーザーが多い日本では、緊急性の高いニュースが広く早く拡散される状況ができているという。

Twitterのリーチ力を活かした海外の事例では、インド総選挙が挙げられた。インドの首相をはじめ、各政党がTwitterを中心にキャンペーンを展開、メディアもその話題をTwitter上で報道し、若年層も巻き込んだ話題の広がり方を見せているという。また、インドに限らず多くの国で政治関係でTwitterが活用され、情報が広められているとしている。

政治関係でTwitterを活用。インドでは若年層の関心も集めている

リアルタイム性について、Twitterは朝から夜まで1日中よく使われていることが調査でわかり、Twitterを開けば世の中の情報が得られるという認識が定着していると考察。TwitterとほかのSNSなどの魅力点を比較した調査でも、「出来事がリアルタイムでわかる」「地震や災害の情報が早い」「交通機関の遅延情報が早い」など、リアルタイム性で評価される結果になったという。

このリアルタイム性が顕著に表れた事例として、新元号発表時のライブ配信が挙げられた。Twitterを含む多くのプラットホームで配信されたが、発表の瞬間のリアルタイムでの視聴者数を比較するとTwitterは50万人と、他のプラットホームに大差をつけたことから、リアルタイムな情報はTwitterで見るという認識がユーザーにあると分析している。

新元号発表時のリアルタイムでの視聴者数

突発的に発生した出来事に対するユーザーの反応として、取り上げられた9つのニュースのうち、西日本豪雨、大杉連さんの訃報、渋谷ハロウィンでの軽トラック横転事件の報道前後の反応を分析。報道当日にすぐ反応が起きており、被害が大きく連日報道されていた西日本豪雨では、それに応じてTwitter上でも長く会話されていたことがわかったという。

西日本豪雨は最初の報道後もしばらく一定数の反応がある

また、ユーザーはニュースの情報を得て会話するだけでなく、自らが発信源となり情報を拡散している。その例として、ノートルダム大聖堂の火災が挙げられた。その場にいたユーザーが写真や動画、LIVE配信を利用してツイートし、リツイートによって拡散。同タイミングで、メディアが公式アカウントで速報をツイートすることで、信ぴょう性の担保がなされているという。

ノートルダム大聖堂火災の様子を発信する個人のアカウント

Twitterオーディエンス(ユーザー)の特異性について、Twitterは他のSNSなどに比べ「自分を見てほしい」ではなく、「これを見てほしい」という傾向が強いため、検索を利用することで様々な話題が得られ、検索エンジンでもヒットしない情報を探すためにも利用されるという。

また、日本では匿名で利用しているユーザーが多数を占めることもあり、普段周りに言いにくいこともTwitterでは発信でき、異なった考え方を持つユーザー同士が本音の意見で会話できる場としている。

熊本市議会での例が挙げられ、「飴を舐めながら質問をしている議員がいて議会がストップしている」というツイートをきっかけに、議会中ののど飴賛成派と反対派、Twitterの投票機能を使って意見を集めるユーザー、そもそも飴を舐めていただけで議会を止めるのはどうなのかという意見を出したユーザーも現れ、様々な意見が交わされていた。

1つのツイートをきっかけに様々な意見を持つユーザーたちが集まっている様子

そんなTwitterオーディエンスの特徴を活用した、海外の記者による報道手法が紹介された。記者自身がメディアから発信した記事を引用、記事に含められなかったサイドストーリーや写真を連投ツイートすることで、注目を集めている。ユーザーからの意見はタイムライン上ではなく、ダイレクトメッセージで募集することで、生の意見を聞きつつ、炎上のリスク軽減も図られているという。

記者が個人アカウントで記事に対する考えや補足をツイート

意見が飛び交うTwitterで、報道前からユーザー間で一定数話題が上がっているようなニュースとして、カジノ法成立、築地市場閉場を取り上げ、報道前後の反応や意見の変化を比較。

一定量の会話がある話題でも、ツイート量は報道の直後に増加傾向で、意見の内容に関しては、報道によって詳細が伝わったことにより、疑問や否定的意見の割合が報道前に比べて増加するなどの変化があったという。

Twitter Japanはこれらの分析結果から、ニュースはTwitterによってリアルタイムに広がり、話題になってユーザー同士の本音の会話、議論が生まれることで、さらにニュースに対する関心が高まっていくとしている。