2001年12月
『スナッチ』

『ターミネーター』

『グリンチ』

2001年11月
『キャスト・アウェイ』

『スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス』

『ショコラ』

『ゴッドファーザー』

スタンド・バイ・ミー』
2001年10月
『明日に向かって撃て!』

『羊たちの沈黙』

『バトル・ロワイアル』

アンブレイカブル』
2001年9月
『アラビアのロレンス』

『初恋のきた道』

『ペイ・フォワード』

クリムゾン・リバー』
2001年8月
『コヨーテ・アグリー』

『リトル・ダンサー 』

『ザ・セル 特別プレミアム版』

『火垂るの墓 -ほたるのはか-』

『17歳のカルテ コレクターズ・エディション』

2001年7月
『ダイナソー』

『宮廷料理人ヴァテール』

『グリーン・デスティニー』

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』


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原題:『PAY IT FORWARD』
監督:ミミ・レダー
製作:ピーター・エイブラムズ&ロバート・L・レビー/スティーブン・ルーサー
脚本:レスリー・ディクソン
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント/ケビン・スペイシー/ヘレン・ハント ほか

発売メーカー名:ワーナー・ホーム・ビデオ
定価:2,500円(税別)
■カメラの外では普通の子供? 天才少年、オスメントの素顔

 今、最も将来が嘱望されている俳優といえば、誰もがハーレイ・ジョエル・オスメントを思い浮かべることだろう。『シックス・センス』で見せた大人顔負けの演技で世界を驚愕させた彼。今夏公開された『A.I.』では巨匠スティーブン・スピルバーグと組むという世界中の俳優が夢に見る経験までしてしまった。

 本作では人気TVシリーズ「ER」や映画『ピースメーカー』『ディープ・インパクト』などを手がけたミミ・レダー監督のもと、世界を変えようとユニークなアイディアを思いつく普通の少年を演じている。オスメントと普通の子供。これほど結びつきにくいものもない。だが、「彼じゃなくて誰が世界を変えるの?」と監督は語る。確かに世の中を動かすだけの力を秘めた"特別だが極めて普通の少年"を演じられる者など彼の他には存在しない。アカデミー賞俳優であるケビン・スペイシーとヘレン・ハントを向こうに回し、堂々たる演技を披露しているのだから。

 メイキング映像に登場する監督、共演者たちはそんなオスメントに惜しみない賞賛を贈る。スペイシーは本作出演を決意した理由のひとつはオスメントだったと話す。オファーを受けたとき『シックス・センス』を観たばかりだったという彼は「この映画を支えられる人がいるとすれば、それは彼のような魂の持ち主だ」と考えたとか。監督は「人の意見を素直に聞き、演技に対してひたむきな俳優。彼は子役ではない」と評価する。ともに仕事をした誰もがその類稀なる才能の持ち主を、一人のプロとして扱っている様子をうかがい知ることができる。

 ただ、そうは言っても彼は現在13歳。今回は、『シックス・センス』のように特殊な悩みを抱えた少年役を演じた時と違い、子供らしさを垣間見せるシーンも少なくなく、観るものをちょっぴりほっとさせる。嬉しそうにゴーカートに乗る姿や、TVのプロレス中継を見ながら大はしゃぎする姿は素のオスメントだと監督は話す。だが、やはり天才俳優である彼にはこんなエピソードが良く似合う。映画の中で登場する親子喧嘩のシーンでのこと。母親役を演じたハントが息子を殴る場面があるのだが、その撮影の際、彼は本当に殴ってくれと強く言い張ったという。もちろんその意見は却下されたそうだ。音声解説でレダー監督が披露するのはこんな撮影裏話の数々である。ぜひあなたにも天才少年オスメントの素顔に迫っていただきたい。

■映画が秘める可能性

 11歳の少年トレバーは、社会科の授業で「世界を変るために何ができるか」という課題が出されたことをきっかけに、あるアイディアを思いつく。それが"ペイ・フォワード"。親切を受けたらその厚意を他の人へ贈ってゆくことで善意の輪を広げてゆこうというものだった。シンプルかつ奇想天外なこのアイディアは、いつしか複雑な世界に生きる大人たちの心を癒してゆくようになる。

 親切を受けたらその相手に恩返し=“ペイ・バック”するのでなく、別の誰かに厚意を贈り、善意を先へと広げてゆく。それが“ペイ・フォワード”のコンセプトだ。1人から始まった行為でも、常に複数に対して行われれば善意はネズミ算式に増えてゆくというものだ。非常に単純なシステムに思えるのだが、現実の世界でこれを実行するのは難しい。それは親切を受けた相手が、善意を広げてくれると信じてこそ成り立つものだからだ。つまり現実には、そんな些細な信頼ですら成り立ちにくいということなのである。主人公のトレバーが言うように確かに「世の中はクソ」なのかもしれない。だが、世の中がもっと単純で善意に溢れていた時代もきっとあったはず。世の中を複雑にしてきたのは大人なのだ。本作を観て、しがらみ、欲、意地など様々な理由から“ペイ・フォワード”を実行不可能、もしくは無駄な努力と決め付けている自分に気が付く人も少なくないだろう。

 原作者であるキャサリン・ライアン・ハイドはこのアイディアについてこう話す。「現実に上手くいくとは思わない。でも試して見る価値はある」と。また、出演者のスペイシーは「映画が提示したアイディアをどう受け止めるかはその人次第。家族を助けるだけでもいいんだよ」と言う。オスメントはこの発想について「とてつもないことだけど不可能じゃないよ」と話し、レダー監督はこう述べる。「人に何かをしてあげることで自分の命も救われるのよ」。

 この映画を観て、実際に“ペイ・フォワード”を実行した人がいるのだそうだ。これこそ本作が、大なり小なり、世の中を変えてゆく力を持っている証拠だろう。この映画が秘めている可能性を生かすか殺すかは、まさに観客の手に委ねられているということなのかもしれない。



■片面2層
■画面サイズ:ビスタサイズ(16:9)
■収録時間:本編約124分
■音声仕様
:1,英語 5.1chサラウンド
 2,日本語 2chサラウンド
 3,音声解説(ミミ・レダー監督による)
 
映像特典約13分
■ メイキング

音声特典
■ミミ・レダー監督による音声解説


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