2001年10月
「シブヤ・シネマ・ソサエティ(S.C.S)」 総支配人 山下章さん

「シネクイント」支配人 斉藤 智徳さん

「ユーロスペース」劇場支配人 北條誠人さん

2001年9月
「シネアミューズ」劇場支配人 佐藤順子さん

「東宝株式会社」菊地裕介さん

「アップリンク」中村美穂さん

「セテラ・インターナショナル」加賀谷光輝さん

2001年8月
「ザナドゥー」杉山淳子さん

「ブエナ ビスタ インターナショナル ジャパン」石井恵美子さん

「スローラーナー」遠藤麻早美さん

2001年7月
「有限会社リベロ」武田由紀さん

「日本ヘラルド映画」島田いずみさん

「UIP映画」宮下恵理さん

「オンリー・ハーツ」中村洋子さん

「プレノン・アッシュ」佐藤美鈴さん


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朝日新聞の求人欄で見つけました

 オンリー・ハーツの中村さんは1977年5月28日生まれの24歳。学習院大学法学部法学科を卒業後、オンリー・ハーツにアルバイトとして入社した。3ヶ月のアルバイト期間の後、正社員になった。「大学4年生の時に英国に1年間留学していたんです。単位はすべて取ってしまって、論文も書いてしまっていました」と中村さん。違う環境に身を置いてみたかったこと、英語を喋れるようになりたかったことが留学の理由だという。

 留学前は1年間ほど英会話学校に通っていたそうだが、「英語を話せるようになるにはやっぱり現地に行った方が近道だ」と実感した。そして渡英。帰国は99年の暮れだった。

 しかし、留学から帰ってきても就職活動を行っていなかったために、職がない。元々映画配給の仕事がしたかったこと、(英国留学もその一端を担う)、たまたま読んでいた朝日新聞の求人広告欄にオンリー・ハーツのアルバイト募集広告を見つけたことが、入社のきっかけになった。

 

作品に『名作感』を出したいんです

 現在、中村さんは『ヴィクトール 小さな恋人』の宣伝を担当している。資料の製作から試写会の手配、各種メディアへの宣伝活動までその仕事は幅広い。

 「『ヴィクトール 小さな恋人』の中心ターゲット層は20代の女性で考えています。だから女性誌をメインに宣伝活動を行っています」と中村さんは言う。作品のイメージとして「名作感を出したい」ということもあり、女性誌の他、全国系の新聞に対する宣伝活動にも力を入れている。このような戦略は、配給会社の宣伝担当の腕の見せ所である。

『ヴィクトール 小さな恋人』
1998年 フランス 88分
監督:サンドリーヌ・ヴェッセ
出演:ジェレミー・シェイ、リディア・アンドレイ、マチュ―・ラネほか
配給:オンリー・ハーツ

7月28日より俳優座トーキーナイトにてレイトロードショー

□オフィシャルサイトへ

 

 
それが苦じゃないのは、この仕事が好きだから

 宣伝活動には大なり小なり困難な条件が伴う。『ヴィクトール 小さな恋人』の場合、六本木の俳優座トーキーナイトでの単館ロードショーという点で、雑誌によっては作品紹介記事の掲載が難しい場合がある。そして午後9時40分のレイトショー(8月20日~9月2日はモーニング上映)という時間的な制約もある。だがそんな厳しい条件にありながら、中村さんは、良い映画には必ずお客さんは集まるという信念のもと、六本木界隈や原宿、表参道などのカフェ、洋服屋といった若い女性が集まりそうな場所にチラシを置いて貰うべく、この炎暑の中を走り回ることもあるという。「それが苦じゃないのは自分がこの仕事を心底好きだから」と中村さんは笑いながら言う。

 そんな苦労も、フランス映画祭参加のために来日したサンドリーヌ・ヴェッセ監督(『ヴィクトール 小さな恋人』の監督)が一瞬で吹き飛ばした。最新作「マルタ・マルタ(MARTHA...MARTHA)--日本での配給先は未定--」でカンヌの国際批評家連盟賞を受賞したヴェッセ監督のインタビューが各誌を飾る予定であり、『ヴィクトール小さな恋人』の認知度向上が十分見込めるからである。

 

失敗はもちろん、たくさんあります

 ヴェッセ監督は妊娠3ヶ月にもかかわらず来日したという。同様に「マルタ・マルタ(MARTHA...MARTHA)」の主演女優であるヴァレリー・ドンゼッリも妊娠6ヶ月の身で来日。東京を案内した中村さんは、彼女らのテンションに圧倒された。「2人とも妊娠しているにもかかわらず来日されて、原宿のキディランドで大はしゃぎをしたり、渋谷の109で大量に買い物をしたり、そして夜の12時頃までバーでワインを飲んだり・・・、とにかくあのパワーは凄かったです。彼女たちを案内した2日間はとても楽しかったですね」。とはいえ、実際の中村さんの仕事は「そういう派手な事ばかりじゃなくて、資料を袋詰めして雑誌の編集部に送ったりとか、ファックスをしたりとか、けっこう地味」なものらしい。しかし「学生の頃に新聞部で新聞を作っていた経験があって、マスコミの仕事が派手なものばかりじゃないということはなんとなく分かっていました。だから、そういうものなのかな、という感じですね」と至ってクールである。

 「失敗ですか?たくさんありますが・・・。最近では、ヴェッセ監督のインタビュースケジュールを勘違いして、監督に待ちぼうけをさせてしまったことですかね。幸い、監督は部屋でお休みになっていらしたんですけど・・・、反省しています・・・」。

 

 
膨大な量の石の中から宝石を見つけるような仕事です

 「将来はやっぱり買い付けの仕事もしたいですね。今年初めて仕事でベルリンに行ったんですけど、そこで、買い付けの魅力に改めて気づいた気がします。要するに、膨大な量の石の中から宝石を見つける仕事だと思うんですよ」。英語を使う仕事、そして、好きな映画に携われること、さらに宝探しという側面、この3つの要素を兼ね備えた映画の買い付けという仕事こそ、中村さんが望むものだった。「オンリー・ハーツは、規模こそあまり大きくはないですが、逆になんでも経験できるので、自分にとってはすごくプラスになります」。中村さんの夢は今始まったばかりである。

(谷古宇浩司)

 

 

 
 
・・・LINK

□オンリー・ハーツ
http://www.onlyhearts.co.jp/

□『ヴィクトール 小さな恋人』オフィシャルサイト
http://www.onlyhearts.co.jp/source/vic.htm

□MOVIE Watchミニシアター情報
http://www.watch.impress.co.jp/movie/minitheater/2001/05/30/70.htm

 



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