トピック

泥水に浸かったHDD・SSDからもデータを復旧 デジタルデータリカバリーの卓越した技術

泥水まみれになった絶望的な状態からでもデータを救出するデジタルデータリカバリー

指先に乗るような⼩さなメディアで、今や数百ギガバイトからテラバイトクラスの⼤容量データを記録できる時代。誤操作や落下などで破損し、データが消えてしまったときのダメージは計り知れない。スマートフォンを⽔没させて壊してしまい、中に⼊っていたたくさんの写真データを取り出せず、泣く泣く諦めた⼈もきっといることだろう。

さらに、会社のサーバーが突然ダウンしてデータに一切アクセスできなくなり、事業継続が困難になったり、台風・豪雨・地震などの自然災害が頻発してHDDやPCなどの機器も被災したりなど、身近なところで大事なデータを失ってしまう危険性はますます高まっている状況だ。

そうしたこともあって徐々に認知が広がっているのが、業者によるデータ復旧サービス。なかでもデジタルデータリカバリーは、年間5万件近くの依頼に対応し、11年連続で国内売上No.1。一般の業者やメーカーで対応不可能と判断される困難な修復も手がけ、データ復旧率は実に95.2%を誇る(データを1つでも救出できたものの割合)。

個人や企業だけでなく、官公庁などからも引き合いがあり、業界で最も信頼を得ている企業と言っても過言ではない同社。東京・六本木ヒルズの森タワーにある本社では、実際のデータ復旧作業を行ない、さらには一般の人の施設見学も可能になっているという。データ復旧の現場が一体どうなっているのか、直接訪問し、話を伺った。

デジタルデータリカバリーのエンジニア3人に話を伺った

誰でも持ち込み、無料見積もり可能なデジタルデータリカバリーの復旧現場

デジタルデータリカバリーを運営するデジタルデータソリューションは、「世界中のデータトラブルを解決する」という理念のもと、HDD/SSD、USBメモリといったストレージだけでなく、データセンターなどの大規模データ復旧や、不正アクセス・情報持ち出しなどの証拠データの復旧など、幅広く展開する企業。データ復旧に関する相談実績だけでも、2022年8月の段階で累計36万件を超えている。

復旧を依頼されるのは、子供の成長記録など家族の大事な写真、放送局のドローンによる撮影データ、病院の電子カルテなどさまざま。ドライブレコーダーや防犯カメラの映像のように、警察の捜査協力につながるデータ復旧の依頼もたびたび受けている。時期によっては卒業論文や研究データが入ったストレージの復旧依頼が多くなることもあるといい、身近な場面での出来事から社会全体にかかわる事案まで、じつに幅広い場面で影響を与えていることに驚く。

個人や法人の重要なデータが入ったストレージをそれほどまでに大量に預かり、復旧するという事業の性質上、六本木にあるオフィスには厳重なセキュリティ対策が施されている。入口で最初に通過するのは、第三者機関の警備員によって各種探知機を使った検査を行なうセキュリティゲートだ。従業員も入室の際に私物を持ち込むことは禁じられており、万が一のデータ漏洩にも事前に対策している。

入口のセキュリティゲートで身体検査を行なう

セキュリティゲートを通過すると、数十名のエンジニアが働く見通しのいいオフィスフロアが広がる。向かって右⼿にはカウンターがあり、1日に入庫・出庫する機器は100件以上。機器類の初期診断をするにあたって、事前の状況確認や分解作業などが行なわれる。故障した機器は郵送や宅配などで届けることもできるが、直接このカウンターまで顧客自身が持ち込み、復旧を依頼することも可能だという。

広いフロアには専門技術をもつ多くのエンジニアが業務についている

一刻も早くデータを救出したい、もしくは業者による輸送中に振動などでさらに状況が悪化するのを防ぎたい、といった要望にも応える体制が整っているわけだが、直接持ち込むことでデータ復旧の現場を自分の目で確かめられ、安心感が得られるというメリットもあるだろう。デジタルデータリカバリーとしても、持ち込みや施設見学は歓迎しており、データ復旧の問い合わせには24時間365日対応、初期診断と料金見積までは無料で行なっているとのこと。

初期診断前の状況確認や分解作業が行なわれるカウンター
初期診断や復旧作業を行なうエリア。壁に敷き詰められた画面ではデータ抽出(別媒体へのコピー)が同時に複数実行されている

見学可能なエリアにあるガラスケース内には、さまざまな種類の記憶媒体が陳列されており、USBメモリやSDカードは言うに及ばず、特殊な形状のストレージにも新旧を問わず対応できることをアピールしている。さらに故障したHDD内部のサンプルも展示され、ハードウェアトラブルでデータの記録面にドーナツ状に傷がついた、いわゆる「スクラッチ障害」という状態になっている実物も目の当たりにすることができる。しかし、そんな状態でも場合によっては復旧できるというから驚きだ。

さまざまなタイプの記憶媒体が陳列されている
右が「スクラッチ障害」の状態になっているHDDの中身

そして注目は、無菌手術室並みの極めて高度なクリーンルームが設置されていること。クリーンルームの内部では、微小なチリすらもスクラッチの原因になるHDDを安全に開封し、修復して、データを1つでも元通りにするべく、数人のエンジニアが専用の作業服で業務にあたっている。こうしたクリーンルームをもつデータ復旧業者は国内では非常に珍しいという。

わずかなチリの存在も許されないHDDの修復作業は、このクリーンルーム内で行なわれる

また、常時7,000個を超える「ドナー部品」をストックしているのも特徴だ。データが読み取れないというトラブルは、データの記録面だけでなく、それ以外の部品の物理的な損傷に起因しているケースもある。そのため、破損した細かな部品を交換してデータ抽出を可能にするために、同社では多種多様な「ドナー部品」を取りそろえているのだ。

たとえばHDD1台とってみても、ありとあらゆるメーカー・型番のものがあり、使われている部品は各々で異なる。10年以上前に販売されて現在は生産終了したモデルや、ほとんど市場に出回っていない珍しいモデルなど、同社に持ち込まれるHDDは実にさまざまなのだそう。持ち込まれたHDDと同様のモデルの在庫を用いて部品交換を行なうと、部品取り寄せの時間を短縮できるため復旧スピードが速いうえ、復旧率も高くなる。

ドナーとして対応する部品を用意できなければそもそもHDDを起動できずにデータ救出が不可能になってしまう可能性もあるため、ドナー部品の豊富さは復旧率とも直結しているのだ。もちろんそのように「復旧」できるのは、通常は⼯場でロボットが組み⽴てているような精密部品であっても、手組みで正しく動作するように直せる技術を同社エンジニアがもっているからこそ。

常時7,000個以上の「ドナー部品」がストックされている様は圧巻

その実力は、95.2%の復旧率だけでなく、8割の案件については依頼から48時間以内に復旧しているというスピードの速さ、他社や製造元のデータ復旧サービスが対応不可だったストレージでも累計3,000件以上の相談対応している、といった実績が物語っている。

このように、24時間365日の即応体制で、クリーンルームをはじめとした最新設備と個々のエンジニアの高い技術力、膨大な復旧件数からくるノウハウの豊富さなどが、デジタルデータリカバリーが個人や法人だけでなく官公庁からも信頼を得ている要因だろう。

泥まみれのHDD、暗号化データやMacBookのSSDもリカバリー

では、デジタルデータリカバリーはこれまでにどんな復旧を手がけてきたのか、実例もいくつか紹介したい。同社ではその復旧技術の高さや設備規模の大きさなどから、自然災害時のデータ消失事案に対して裏側で対応してきた。

台風・地震・豪雨などの災害の裏でデータ消失トラブルに対応しているデジタルデータリカバリー

そのうちの1つが、2022年8⽉に新潟県で発⽣した豪⾬により⽔没した、社会福祉法⼈の事業所の例。事業所が施設ごと被災し、日常業務のデータなどを含む全てのデータが消失したことで、事業継続すら困難になるほど甚大な被害を受けたというもの。

大雨被害でデータ消失したことで事業継続の危機におちいった事業者を救った同社データリカバリーサービス

デジタルデータリカバリーに依頼があったのは、故障したNAS(ネットワーク上のドライブ)の内蔵HDD 2台と、パソコンの内蔵SSD 3台の合計5台の復旧。しかしこれについては、わずか1日のうちに99.9%のデータを抽出することができたとのこと。

同社データリカバリー事業部でエンジニアを統括する立場にある井瀧義也氏。10年間に9000件以上のデータ復旧に携わる

メモリストレージ全般を手がける大下氏は、「SSDはHDDより水害に強く、きちんと洗浄できれば復旧しやすい。どうやれば直るのか、ノウハウが蓄積されているのでスピーディに復旧できる」と胸を張る。また、データリカバリー事業の復旧エンジニアを統括する井瀧氏によれば、残りの0.1%の消失データについては、水害以前からHDDに潜在的に存在していた物理障害によるものと推測され、その意味では100%復旧に成功したことになる。

USBメモリ、SDカード、SSDなどメモリ媒体全般の復旧を担当する大下敬一朗氏。前職が警察官というユニークな経歴をもつ

熊本県で2020年7月に発生した豪雨では、河川の氾濫や大規模な土砂災害が発生するなど深刻な被害をもたらしたことが記憶に新しい。そして、そこでもストレージが土砂に埋もれるなどの被害はやはり発生していた。ある事業者が使用していたパソコンなどの電子機器が大きな被害を受け、デジタルデータリカバリーには計52台が持ち込まれた。クリーンルーム内での慎重な初期診断をすべての機器で行なった後、実際に復旧作業を行なったのはHDD×32台とSSD×5台の合計37台。なかには今となっては珍しい光磁気ディスクのMOもあった。

イレギュラーな依頼にも最速で対応すべく、エンジニア10名がかりで復旧に取り組んだ。担当の1人である西村氏は、「特定の故障箇所のみ作業すればよい通常の復旧作業とは異なり、被災した機器はほぼ全てのパーツに損傷がみられる状態。開封・洗浄・丁寧な部品交換・ファームウェア修復作業など、分担しながら何度も作業を繰り返した」と、途方もないような当時の作業の様子を語った。

さらに同氏は、「機器は完全に泥水に浸かっていた。組み込まれたHDDは表面的にはきれいに見えても、開けてみると泥水が入り込み、乾燥した状態のものが内部のディスクに付着して通常の復旧作業では直せない状態。クリーンルームで診断し、傷がつかない⽅法で洗い流すなど試行錯誤を繰り返して少しずつ復旧した」と振り返る。

最終的には、140以上にもおよぶ工程をおよそ2週間ほどで完了。計37台の泥まみれの機器から、10%~100%のデータ抽出に成功した。

クリーンルームで復旧作業も行なう、西村裕貴氏。12年間に1万5,000件以上のデータ復旧を手がける

災害が日本のどこかで発生すると、その数日後から1週間後には復旧に関する問い合わせが増える傾向にあるため、天気予報を見ながら緊張感をもって体制を整えているとのこと。夏になると「スマートフォンを海で落として起動しなくなった」という人も増えるとのことなので、災害だけでなくレジャーの際にも1ユーザーとしては注意したいところだ。

さらに井瀧氏は、近年増加しているデータセンターに関する事例も挙げた。ある企業がサーバーを計画停電のため事前にシャットダウンした後、停電解消後に電源を⼊れても起動せず、データセンターへ出張復旧したというケースだ。「定期的に再起動するたびに、ファイルシステムやデータを修復する機能がOSとして備わっていたりする。が、24時間稼働し続けるサーバーだと再起動できず、裏で破損が進んでしまうことがある。複数のHDDを組み合わせて耐障害性を高めるRAIDにするだけで安心しがちだが、この例ではそもそもRAIDを制御するコントローラーの方にも異常があった」という。

このため、同氏はサーバー筐体側のRAIDコントローラーの故障とRAID設定を修復。4台でRAID設定していたHDDのうち1台に物理障害が発生して復旧不可となっていたため、他の3台からデータ抽出したのち、RAIDの仕組みを用いて4台分のデータ復旧に成功した。かかった時間は1~2日程度。「他社ではHDDのデータ復旧は得意でも、基板やコントローラー、RAIDの設定なども含めて対応できるところはほとんどない。他社がやっていない、機器全体を元通りにして復旧する、ということができるのが我々の強みでもある」と井瀧氏は話す。データをクラウド化しているからといって決して安全ではなく、突然故障するリスクとは常に隣り合わせということが分かる一例だ。

近隣のデータ復旧業者に持ち込み、技術力の関係で断られてしまったという相談は多いのだそうだ。こうした依頼にも全力で応えるのがデジタルデータリカバリーだ。他社では復旧不可能と判断されたケースでも、同社には多数の復旧実績がある。デジタルデータリカバリーでは、1つでも多くのデータを抽出して100%に少しでも近づけるため、時には独自のツール開発も行ないながら復旧作業を進めるという。

水はもちろん微細なチリやホコリが入り込んだだけでHDDの記録面を破損してしまう、と西村氏

実際に、メーカー独自の暗号化がされているため他の業者では復旧不可と判断されたNASのデータも、部品交換やファームウェア修復、暗号化の解析などを行ない、最終的にデータを99.9%も取り戻すことに成功した。

他にも、通常は業者やメーカー修理でもデータ復旧が不可能なMacBook Proの内蔵SSDのデータ復旧を成功させた例もある。

特にMacBook Proについては、キーボードにお茶をこぼして電源が入らなくなったという、身近にありそうなトラブル。しかし、大下氏いわく「最近のMacはデータ暗号化のための専用チップが内蔵されていて、Appleの修理サービスであってもデータが消えてしまう。そもそもマザーボード上にストレージが直に取り付けられているので、取り外しての対応もできない」と、難易度としてはかなり高い事例だった。

分解して内部を確認したところ、水が入り込んだことによって回路が焼き切れている痕跡を見つけたため、大下氏はその代わりとなるマザーボードを入手するため同じ型番のMacBook Proをもう1台購入して修復し、電源が入るようにしてデータ抽出。結果的に作業自体はおよそ6時間半で済んだが、Macや電子回路の仕組みを知悉していなければ復旧不可能だったことは間違いないだろう。

初めに依頼する業者選びが最も重要

このように数々の困難な案件にも見事に対応し、高い復旧率という目に見える形で実績を積み上げてきた同社。それだけに、顧客がデータ復旧を業者に依頼するにあたって念頭に置いておくべき重要なポイントもいくつかあるようだ。

同社が強調したのは、「データ復旧は一発勝負」であるということ。

「最初にどういった処置を施すかが、最終的にデータ復旧できるかどうかに関わってくる」とし、そのためにも「最初に依頼する業者選びは慎重に行なうべき」と説明する。データが永遠に失われてしまうかも、という焦りから、できるだけ早く復旧したいと気持ちがはやると、身近にある業者に相談したくなるもの。しかし、そこでの対応が不適切であればさらに復旧が困難になる場合もあるからだ。

業者選びで重要なのは、何よりもまず「技術力があるか」。

データ復旧業者に依頼する際は技術力を見極めることが重要

例えば「復旧実績を公開しているか」、もしくは「自社の復旧ラボ設備やエンジニア人数が豊富かどうか」で、技術⼒をある程度推し量ることができる。

実は、復旧実績や復旧率を数値で公開している業者は非常に少なく、業者によっては⾃前で設備をもたず、実際の作業を他社に外注しているところもある。

今回紹介したような災害時の復旧や他社で復旧不可だった機器の復旧などは、相応の設備やエンジニアの経験値などがなければ対応できないもの。

エンジニア1~2名体制の小規模業者も多く、技術力については注意が必要だ。

また、「セキュリティの高さと法人取引実績の豊富さ」も判断の1要素となる。見学可能であればセキュリティレベルを確認しやすく、法人との取引が多ければそれだけノウハウも多いという意味になる。安くない費用をかけて依頼するわけで、高い確率で安全に復旧してくれる業者を見極めたいものだ。

その意味で、国内だけでなく時には海外からも噂を聞きつけ復旧を依頼してくるというデジタルデータリカバリーは、信頼度も安心度も格段に高い。会社の存続に関わるような重要なデータ、あるいは個人のスマートフォンやカメラ、パソコンのプライベートなデータについて、今後もしトラブルで読み取れなくなったときには、真っ先にデジタルデータリカバリーに問い合わせることで、復旧の確率を大幅に高めてくれるはずだ。

ちなみに同社では、単に失ったデータを復旧するだけでなく、そもそもデータを失わないように機器間の自動バックアップ機能や、クラウドストレージを使ったバックアップ機能を提供する「デジタルデータバックアップ」というサービスを提供中。加えて、安価な月額料金で、万が一復旧が必要な事態に陥ったときに無料でデータ復旧してくれるサービス「デジタルデータワランティ」も用意している。今トラブルが発生していなくても、これらのサービスを利用することで、さらなる安心感につながるのではないだろうか。

自動で安全にバックアップをとる「DDB PRO」サービスと万が⼀復旧が必要になったときでも、無料でデータ復旧してくれる「デジタルデータワランティ」サービス