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ビニール傘は卒業。メインで使える折りたたみ傘 厳選3ブランド

梅雨の時期や、季節の変わり目で天候が不安定な時期に活躍する折りたたみ傘。“臨時の傘”という位置づけで使っている人は多いと思いますが、近年は性能や機能が進化しており、“メインの傘”として十分使える折りたたみ傘が各社から発売されています。

耐久性の高い製品を選べば長く使い続けられますし、長傘より「置き忘れ」しにくいのも利点。吸水生地の付いた傘カバーに収納してバッグに入れておけば、お出かけ先で長傘のように邪魔な荷物になることもありません。傘に関するたいていの問題は「高性能な折りたたみ傘」で解決できます。

今回紹介するのは厳選したブランドの折りたたみ傘です。ドイツの傘専門ブランド「クニルプス」「ユーロシルム」のほか、アウトドアブランドとして有名な「ザ・ノース・フェイス」の折りたたみ傘も紹介します。長傘やビニール傘の代わりになることにフォーカスし、小ささや軽さよりも、機能や耐久性を重視したセレクトになっています。

クニルプス

クニルプスのWebサイト

ドイツのクニルプスは、1928年にハンス・ハウプト氏が折りたたみ傘を発明したところから始まり、1965年には自動で開く傘の生産に成功するなど、機能性の高さに定評のあるブランドです。全シリーズで耐風性能試験が実施され、風速41.6km/sに耐える品質、開閉試験1,000回、反転(裏返ってしまうやつ)は300回以上をクリアするという耐久性の高さも特徴です。

加えてファッション性も高く、アーティストとコラボレーションした柄の生地を含めて、おしゃれな柄の傘が多数ラインナップされています(もちろんシンプルなものもあります)。高性能な折りたたみ傘が欲しい、人とはちょっと違うこだわりの折りたたみ傘が欲しいと思ったら、まずチェックしてみてほしいブランドです。

T.220
T.220を開いたところ
T.220をベースにしたコラボレーション生地「彗星」

中でもオススメなのは、「T.220」(8,250円)をはじめとした、自動開閉の折りたたみ傘で「セーフティ・システム」を搭載したモデルです。これは、傘をたたむ際、シャフトの押し込みを途中で止めてもスプリングの反発が起こらず、途中で止まったままになるという安全機構です。

ボタンで自動開閉する折りたたみ傘はとても便利ですが、収納時にシャフトを縮める操作で手元が滑って、バチーンとシャフトが反発して痛い思いをしたという人はけっこういるのではないでしょうか。このセーフティ・システム搭載モデルはシャフト収納時の操作に無駄な“緊張感”がなくなり、文字通り本当に安心して使えるので、クニルプスの折りたたみ傘を初めて買うなら、まずは「セーフティ・システム」搭載モデルがオススメです。

筆者愛用の、収納時にフラット形状になるモデル「TS.220」。傘を閉じて、シャフト収納前の状態
「チキチキチキ」という音ともにシャフトを押し込みます
途中で止めても反発せず、そのまま止まります。この状態では開閉ボタンを押しても開きません。「カチッ」と音がする奥までシャフトを押し込むと開閉ボタンが機能します

最近になって、素材からサステナブルな折りたたみ傘「VISION」(8,250円)も登場しています。100%生分解可能なプラスチックの「Trifilon Switch」が採用されているほか、傘の生地はリサイクルペットボトルから作られています。PFCフリーの生分解可能な撥水防汚コーティング「ecorepel」も採用され、細部まで素材にこだわった仕様。もちろん自動開閉機能付きで、シャフトの不意な飛び出しを防ぐセーフティ・システムも搭載されています。

「T.220」は使用時の直径が約97cm、収納時の長さが約29cm、重さは約345gです。「VISION」は使用時の直径が約97cm、収納時の長さが約28cm、重さは約335gです。

ユーロシルム

ユーロシルムのページ。A&Fが取り扱っています

ドイツの「ユーロシルム」は、1919年創業の傘専門メーカー「EBERHARD GOBEL」(エバーハルト・ゴベル)のブランド。素材からこだわった、高品質・高機能な傘が特徴です。生地の色はアイスブルーやイエローなど明るい色も用意されています。

例えば折りたたみ傘の「ライトトレックウルトラ」(7,150円)は、アルミリブやカーボンを使用したブランド最軽量(175g)のモデルで、トレッキングに携行できると謳う、アウトドアでの利用も意識したモデルです。自動開閉機能付きの折りたたみ傘は「DANTYオートマチック」(6,050円)で、こちらはブランドで最も小型のモデルです。収納時は円筒形ではなく平たいフラット形状になります。

ライトトレックウルトラ
DANTYオートマチック

「ライトトレックウルトラ」は使用時の直径が98cm、収納時の長さが約27.5cm、重さは約175gです。「DANTYオートマチック」は使用時の直径が約93cm、収納時の長さが約22cm、重さは約334gです。

ザ・ノース・フェイス

ザ・ノース・フェイス「モジュールアンブレラ」のページ

一般的にアウトドアブランドは傘よりも防水ウェアに注力していますから、“アウトドアブランドの傘”と言われても、ブランドロゴを付けただけのお土産のような商品と思われるかもしれませが、ザ・ノース・フェイスの「モジュールアンブレラ」(9,350円)は一味違う仕上がり。なんと分解可能で、壊れたパーツを(自分で)交換できるという、パーツ分解・交換に対応した折りたたみ傘です。

具体的には、「石突き」「生地」「骨」「中棒」「ハンドル」の5つのパーツに分解できるオリジナル構造を採用しており、このうち破損が多い「生地」「骨」「中棒」をオプションパーツとして別途購入できるようになっています。骨は1本から購入できます。分解や組み立ては自分で慎重に行なう必要があり、簡単ではありませんが、壊れたら捨てるのではなく、必要なパーツだけを購入して自分で修理でき、より長く使い続けられるというコンセプトの製品です。

5つのパーツに分解可能。「生地」「骨」「中棒」が別売りのパーツで販売され、交換できます

通常のアウトドア・アクティビティにおいて、片手が塞がる傘の使用は安全とは言い難く、あまり推奨されないと思いますから、本製品はカジュアルなキャンプや都市生活者、日常生活に向けた製品だと思います。それでも、自分で修理できるようにしてなるべく廃棄を減らすという、環境配慮を強く意識するアウトドアブランドらしいアプローチで製品化したのは見事だと思います。

実際の製品も素材は高品質で、パーツはアルミとFRPが主体で強度と軽さを両立しています。生地は耐久性のある40Dジオリップ30%リサイクルナイロンを使用。生地表面には独特な模様があり、高価なアウトドアウェアのような満足感も得られます。また生地はUPF15-30、紫外線カット率85%以上のUVケア機能も備えており、日除け傘としても使用できます。自動開閉機能のない、シンプルな手動開閉の折りたたみ傘です。

シャフトのハンドル部分は小さなポケット構造になっており、キャップを開閉して傘袋を収納できるほか、外したキャップをバッグの取っ手などに通し、ループを閉じる(キャップを元に戻す)ことで外に吊り下げることもできます。

ハンドル部分に傘袋を収納できます

「モジュールアンブレラ」は使用時の直径が100cm、収納時の長さが27cm、重さは約250gです。

太田 亮三