トピック

趣味と独断で紹介する「#東京モーターショー」のカッコいいクルマたち

東京モーターショーのメイン会場となる東京ビッグサイトの西展示棟・南展示棟

「第46回東京モーターショー2019」が11月4日まで開催される。筆者(西川善司)は、自他認める「最新技術好き」「映像技術好き」「ゲーム好き」で、ゲーム/PCグラフィックスからテレビなどの映像技術などを日々追いかけているが、クルマも相当に大好きだ。どのくらい好きかと言えば「実用的な車を持たず、日産GT-RとホンダS660の2台体制で生活しているくらい」、「過去の車歴は2ドアスポーツカーばかり」といえば大体察してもらえるだろうか。

ということで、Car Watchにも割り当てられた取材テーマについて記事を寄稿(その1その2その3その4その5 その6)しているが、それ以外にも“クルマ好き”目線で全力で取材している。ということで、かなり唐突だが主にスポーツカー好きの目からみた「東京モーターショー2019」の見どころをお届けしたい。

今年のモーターショー雑感と注意点

まずは東京モーターショー2019の雑感から。

来年開催の東京オリンピックにまつわる工事の影響で、これまで東京モーターショーのメインのブース展示の一角を担っていた東展示棟が完全に封鎖、例年とはだいぶ異なった展示レイアウトとなっている。

プレスデーの二日間は、「東京モーターショー慣れ」した我々メディアですらもブース巡りには戸惑っていたし、本来は困っている人を助けてくれるはずのインフォメーションスタッフも全貌を把握し切れていない状況で、みんなで探り合いつつ、情報を共有しながら回っていた。

モーターショーは11月4日まで開催しているので、これから行こうと思っている人も多いはず。2つほど注意しておきたいポイントを挙げておこう。

夜にはプロジェクションマッピングも行なわれている

1つめは駐車場問題。まずクルマで行く場合だが、前述したように東展示棟が閉鎖されている関係で、例年であれば最も便利だったはずの東棟屋外臨時駐車場は、駐車後、工事閉鎖中の東展示棟を迂回するように歩かされる。駐車位置にもよるが、およそ1kmは歩く。中央入口は西展示棟側なので、お子さん連れや年配者などは「東京ビッグサイト駐車場」というキーワードに惑わされず、国際展示場駅周辺の一般駐車場を利用した方が良いかもしれない。

東棟屋外臨時駐車場の様子。駐車位置によっては入口まで1kmほどある場合も

また、今回のモーターショーは、展示会場が2つに分かれており、みながイメージする「東京ビッグサイト」とは別の、青海展示棟でもブースが展開されている。青海展示棟は、今年4月から新設された展示ホールで、あの東京ビッグサイト(有明展示棟)からは約2km離れている。この青海展示棟ではトヨタ、スバル、ダイハツなどのトヨタグループ系ブースや日野自動車、三菱ふそうなどのトラック/バス/働く自動車系のブースが展開されていて、こちらはこちらで見応えはある。

なので、駐車場を選ぶときには、あえて、この青海展示棟付近を探すのも悪くはない。この青海展示棟は、パレットタウンやMEGA WEBに隣接しているのでそうした商業施設付近の駐車場を狙うといいかもしれない。

トヨタブースはパレットタウン側の方にある東京ビッグサイト青海展示棟の入口。いわゆる「東京ビッグサイト」のあの建物からは約2km離れている

2つめはシャトルバス問題だ。

今回のモーターショーは、メインの展示ホールが互いに2kmも離れてしまっているため、全てのブースを見ようとすると、この2kmを移動しなければならない。

運営側は「この移動も楽しめるように素敵な展示を屋外に用意しました」として、普段は「夢の大橋」「夢の公園」「夢の広場」として親しまれている遊歩道を企画展示「OPEN ROAD」として開放しているが、ブース内を歩き回ったあとにさらに歩くのはつらいという人も多いはず。

OPEN ROAD

70台近くのモビリティが展示される無料エリア「OPEN ROAD」

そこで運営側は2つの展示ホールを往来するシャトルバスを用意している。これに乗り込むためには会場内に出ている「無料シャトル」の案内を辿っていけば乗降場所にはたどり着けるのだが、注意したい点が2つ。

1つは移動距離2kmのわりには移動時間がかかるという点。シャトルバスの運航台数がそれほど多くないため、とにかく待ち時間が長い。一般日よりも来場者の少ないプレスデーでも30分待ちはざら、一般日は1時間待ちもあったそうで、ある程度時間に余裕を持って使いたい。また、このあたりは交通量も多いので、移動時間は2kmながら15分から30分はかかる。バスに乗るまでの待ち時間も含めると移動を決意してから1時間はかかる計算だ。

2つの展示ホールを効率よく往き来するには、ゆりかもめ、りんかい線など、鉄道を利用した方が良いかもしれない。

シャトルバスはかなり混雑するので利用するかどうかは判断しどころである(出典:Car Watch)

「有明」「青海」に分かれた会場を徒歩と電車で往復

また、シャトルバスの最終出発時刻が「17:59」となっている点も注意。東京モーターショー2019は18時で閉幕するが、18時までブース巡りをしていると、最終シャトルバスに間に合わない。これは海外や地方からやってきた土地勘のない記者や来場者達には不評で、反対側の会場の駐車場に停めた車にどうやって行ったらいいかわからない、と途方に暮れている人達を見かけた。会場閉幕時刻が近くなったときには、できるだけ自分の駐車場、あるいは宿泊施設に近い側の展示ホールにいた方が良いだろう。

完全に筆者の趣味。見どころスポーツカー紹介

ここからは、今年の東京モーターショーで見かけた様々なクルマ達の中から、筆者が個人的に気になったモノを気が向くままにピックアップしていくこととしたい。スポーツカー好きのため、スポーツカーが中心となるのはご容赦を。東京モーターショーをより詳しく知りたい方は、Car Watchの記事を参照してほしい。

Car Watchのモーターショー特集

会場がコンパクトになったが、プレスデー初日もなかなかの混雑ぶりだった

今年は、海外自動車メーカーのブースが例年に比べて少ない。「東京モーターショーの世界自動車ショーにおけるプレゼンスが低くなりつつある」などとも言われているが、自動車ファンの立場からすれば、輸入車の最新モデルを見られる機会が減ることはシンプルに寂しいところ。

出展している海外メーカーは、メルセデス・ベンツ(とその傘下のスマート)と日産自動車とアライアンスを組んでいるルノーくらい。驚いたことに、日本で高い人気を誇るドイツ勢のBMW、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ、そして根強い人気のあるプジョー/シトロエンが出展を見送っている。

とはいえ、海外メーカーのクルマが見られないわけではない。それが南展示棟に展開されている日本スーパーカー協会のブース「TOKYO SUPERCAR DAY」だ。新旧様々なスーパーカーが列んでいるのでスーパーカー好きはチェックしておきたい。

70台近くのモビリティが展示される無料エリア「OPEN ROAD」

スーパーカー好きが最後に行き着くと言われるアストンマーチンのDBS。イギリス製なので右ハンドルである

そのすぐ近くには、毎年1月に幕張メッセで開催されている"もうひとつ"の自動車系ビックイベント「東京オートサロン」のブースも。東京オートサロンに出展されてきた数々の名車が展示されている。

ここには筆者も所有するS660のカスタマイズカーがあり、思わず足を止めてしまう。筆者は毎年ラスベガスで開催されている「CES」に出向いているため、会期の重なる東京オートサロンにはほとんど行けていない。今年の1月に注目を集めたホンダS660カスタムカー「Modulo Neo Classic Racer」の実物が見られたことに感動してしまった。

オートサロンでコンセプトとしてデビューし、その後ホンダのアクセサリブランドModuloから市販化もされたボディキット「S660 Neo Classic」を装着した上でさらにレーシングカー風に仕立て上げたのがこのクルマ。自分でマネしたいとは微塵にも思わなかったが(笑)、そのかっこよさに痺れてしまった。

もはや軽自動車には見えない迫力。この迫力を印象づけているのは左右には見出したオーバーフェンダーだ。標準状態のボディ幅から15cmも拡大しているらしい。

発表されたばかりのスポーカーで、日本発お披露目となるアルピーヌ「A110S」もスポーツカー好きであれば見ないわけにはいかないだろう。

アルピーヌは1955年創設のスポーツカー専業メーカーだったが、今はルノー傘下へ。1970年代、アルピーヌの代表作「A110」のオリジナルモデルが世界ラリー選手権で大活躍したことから、今でも「アルピーヌ」と「A110」は人気の高いブランドである。

2017年には、アルピーヌはこの「A110」をレトロモダン・アレンジし、252馬力を出力する1.8Lターボエンジンをミッドシップ搭載したライトウェイトクラスの2シータースポーツカーとして復活させた。

今回展示されたモデルは、この手のスポーツカーでは、よくある上位スーパーチューニングモデル。車重を1,114kgとほぼ据え置きしながら、サスペンション、ブレーキ、ホイールなどの足回りを専用チューニング。エンジンパワーは292馬力まで引き上げられている。価格は微増の899万円。日本への導入も決まっているそうだ。

ちょっとピクミンに出てくる敵キャラ「チャッピー」に似ている気もするが、可愛くもかっこいいデザインはお見事。1,000万超えしないスポーツカーとして、ライバルはポルシェ718ケイマン、ロータス・エキシージ/エリーゼ、そして日本の新型スープラあたりだろうか

日本メーカーで量産スポーツカーの新作は、あまり多くない。発表済みのマイチェン版ホンダの「NSX」や、筆者もオーナー目線で気になっている最終版と名高い2020年モデルの日産GT-Rなどは、大きなディーラーに行かないと見られないのでブースを訪れた際は近づいて見ておきたい。基本的に市販車なので車内にも乗れるはずだ

既に既発売のレクサスのラグジュアリークーペ「LC」のオープンコンバーチブルモデルのコンセプト。恐らく発売されるはず。内装が凄く豪華でかっこいいので中も見て欲しい
マイチェン版NSX。従来版との見た目の差は、グリル上部がメッキからボディ同色になったところ。納車はおよそ2年待ちなので欲しい人は早めにオーダーしよう(笑)
約500万円も値上げとなった日産GT-R NISMOの2020年モデル。フロントフェンダーのアウトレット、カーボンセラミックブレーキ、カーボンルーフ、新型レカロシートなどが先代からの変更点。タービンも新型になっている。筆者も今回の原稿料だけでこれを買う予定だ(無理!)
フェアレディZ生誕50周年記念モデル。2020年3月末までの受注受付の限定モデル
GT-R生誕50周年記念モデル。こちらも2020年3月末までの受注受付の限定モデルだ

令和元年の今年、「昭和(平成)の象徴」(?)とも言うべきものが、年末に終焉を迎える。それはスバルの「EJ20」という1988年に登場したスバルの2.0L水平対向エンジンだ。長らくスバルの象徴的な立場を務めてきたエンジンで、特に長らくスバルのスポーツセダンのインプレッサ/WRX/STIシリーズに搭載されてきたことから「インプレッサ/WRX/STI=EJ20」というイメージが色濃い。そんな30年現役を走り続けてきたEJ20エンジンが今年2019年12月を持って生産終了するのだ。これを記念したモデル「WRX STI EJ20 Final Edition」が555台限定で発売されることとなり、その実車がスバルブースに展示されている。

大迫力のフロント。赤の差し色がファイナルエディションの証。この車、タイヤハウスがもう少し大きくて19インチ、ないしは20インチのタイヤを履いていればもっとかっこよくなるのになぁ、といつも思う

スバル「EJ20」型エンジンが終了

基本性能はカタログモデルのWRX STIと同じなのだが、「最終仕様」を記念した特別装備が奢られるため、ファンはかなりのオーナーシップを掻きたてられることになるはず。

カタログモデルとの違いはというと、筆者が見てみた感じでは、赤のボディの前後に差し色が入り、STIのエンブレムがブラック地になっていたり、リアバンパーに派手なアウトレットが追加されていたり、ゴールド色のホイール、シルバー色のブレーキキャリパーに変わっていたり…とけっこう広範囲に渡っている。スバルファン同士にしか伝わりにくい違いだとは思うが、いずれにせよ、モデルがモデルだけにディーラーで実車を見ることはほとんど叶わないモデルだけにスバルブースを訪れたならばチェックしておきたいところ。

ちなみに555台の限定販売に対し10月下旬時点で5,000人の抽選申込が入っているとのこと。11月11日までは先着順ではなく、普通に抽選に申し込めるので欲しい人は急げ
エンジンにはFinal Editionのエンブレムが。実はこのエンジン、構成部品をバランス取りしたパーツで組まれており、いわゆるファイナル・エディション555台の全てが「アタリ」エンジンとなる。555台しか作れないのはこの手間があるため!
ホイールはゴールドに。ブレーキキャリパーはシルバーに。Final Editionだけの特徴。ここはWRX STIオーナー間の間では自慢できるポイントになるはず
内装もステッチ色や差し色がカタログモデルと違ってシルバー色に。

トヨタブースに個人的に感慨深い車が展示されている。それは東京モーターショー開幕直線に発表されたばかりのトヨタとダイハツがコラボレーション開発した「トヨタ コペン GR SPORT」である。

実は、ここに辿り着く前には色々あったのをご存じだろうか。

筆者は普段使いのコンパクトカーとして結果的にはS660を購入したが、実は別に購入をマジメに検討していたクルマがあった。それはトヨタが開発していたコンパクトスポーツカー「S-FR」だ。東京モーターショー2015に劇的に発表され、当時、クルマファンの間でかなり話題になったものだ。その後幾度となく、自動車関連ショーに量産モデルに近づいたコンセプトカーが展示され、発売はいつか……とやきもきしていたことを思い返してしまう。

2015年の東京モーターショーで発表された「TOYOTA S-FR」

2015年の東京モーターショーで「TOYOTA S-FR」発表

激怒したピカチュウみたいな顔が特徴で、4人乗りながら後輪駆動のスポーツカー。1.5L前後のNAエンジンを搭載すると言われていた。

しかし、突如の開発中止に。トヨタの豊田章男社長は兼ねてから「トヨタのスポーツカーは3兄弟でいく。長男はスープラ、次男は86、そして入門モデルとなる三男も必要である」という戦略を訴えていたそうだが、その三男のこれ、S-FRは開発中止に。そこで、急遽、開発されたのがこの「トヨタ コペン GR SPORT」というわけである。

もともと、コペンはダイハツが開発してきたクルマで、2世代目となる現行型は2014年に発売。その意味ではもう発売されてけっこう時間の経ったモデルなのだが、これをトヨタ側がプロデュースしてリファインしたのが今回の「トヨタ コペン GR SPORT」である。

けっこうかっこいい「トヨタ コペン GR SPORT」
車格を超えた贅沢なギミック。それは電動で収納/展開するハードトップルーフ。スタッフに頼めば、オープン/クローズドの変形を座席に座った状態で楽しめる!

ブースにいた担当者に話を訊いてみると「このトヨタ コペン GR SPORT、開発は主にダイハツが担当し、トヨタのテストドライバーが中心となったチームで『トヨタのGRブランドらしい乗り味にしよう』という方針のプロデュースが実践されました。ボディ周り、特に外観デザインは完全トヨタプロデュースですが、車体的には現行コペンそのまま」とのこと。

エンジンや車体構造などはとくに変更はなく、「トヨタプロデュースのチューニングカー」といえそうだ。

真ん前から見とるこの迫力。この写真では軽自動車に見えまい。

最大の特徴はトヨタの「ヴィッツ GR SPORT」とよく似た顔立ちとなったフロントバンパー部。注目したいのは、このバンパーの裏側の、フロントのタイヤハウス側の前側のところにあるアウトレット。説明担当者によれば、ここがトヨタワークスのレーシングテクノロジーが結実している部分だという。フロント開口部から取り入れたエアをここから放出してフロントタイヤ周りのクーリング効率を高めているらしい。

フロントバンパーの裏のアウトレットに注目。これはダイハツ側のコペンにはないギミックだ

それと担当者が力説していたのは、前述したトヨタのテストドライバーと詰めて開発したというサスペンション。ホイールから見える赤いバネとダンパーがその苦労の結晶だとか。「スポーツカーというとすぐ足回りを社外品に交換したがる人がいるが、このトヨタ コペン GR SPORTに関しては純正の足をまず堪能して欲しい」とは前出の担当者の弁。

ホイールから奥を覗いてみよう。赤いバネとダンパーが見えるはず。これがトヨタ/ダイハツ、コラボ開発のサスペンション部分。作り手が「社外品に変更するのは待ってくれ」というほどなので乗り味はどんなものなのか楽しみ
惜しむらくはリアブレーキが相変わらずドラムブレーキなところ。ライバルとなるはずのS660がディスクブレーキだけにちょっと残念。まあ、ドラムブレーキも制動性能的には何の問題もないのだが。スポーツカーはイメージも大事なので

これが未来? トヨタ次世代MIRAI。カッコいいSUVも続々

個人的に今年のモーターショーで、もっとも目を奪われたのは、トヨタの燃料電池車の「MIRAI」次期型。

燃料電池車とは燃料として入れた水素をエネルギー源にして発電して動く電気自動車(EV)のこと。排出されるのが水なので、クリーンなクルマとして訴求されており、「MIRAI」とはトヨタの燃料電池車のモデル名。

次期型MIRAIはほぼこのまま2020年末に発売されるようだ。価格は未定だが現行型が約670万円。車格アップの印象なので値上がりは避けられないか?

現行型のMIRAIは、それこそ「私、環境に気を使っているクリーン人間です」アピールが強めの未来感溢れすぎたデザインで、ややとっつきにくい印象があったのだが、来年、ほぼこのままのカタチで発売されるという、次期型「MIRAI」は、普通のスポーツセダンとしてかっこよくできている。トヨタの主力スポーツカーの現行型マイチェン後「86」を大型化してセダンに仕立て上げたようなスリーク(Sleek)な"いでたち"で、高級車な雰囲気も漂う。

しかも、この車、スポーツカーファンも納得の後輪駆動なのだ。まさにスポーツセダン!! 現行型MIRAIは前輪駆動車だったので、このあたりのトヨタの英断が素晴らしい。

ボディサイズやタイヤサイズは、なんとドイツの名門スポーツカーメーカーが作るスポーツセダン「ポルシェ・パナメーラ」とほぼ同じ。たしかに、この実車を路上で目の当たりにしたときの威圧感はパナメーラに優るとも劣らないかも……。なのにエコカー。なんというかジキルとハイド的な二面性もかっこいい。

このフロントマスクの威圧感はとてもエコカーに見えない。スポーツカーの顔だ
実は後ろ姿がポルシェ・パナメーラによく似ていたりする

さて、この次期型MIRAI、意外なことに、トヨタブースには展示されておらず、トヨタブースのある青海展示棟に隣接した東京モーターショーの特別企画展「FUTURE EXPO」の2階に展示されているのでお見逃しなく。ちなみに、FUTURE EXPOは、普段はトヨタの体験型総合ショールームとして運営されている「MEGA WEB」内で行なわれている。

FUTURE EXPOプレスカンファレンスレポート

ボディサイズはほぼポルシェ・パナメーラと同等。大径20インチのホイールを履くが、これもポルシェ・パナメーラと同じだ!

'90年代後半から始まったミニバンブームは落ち着き、今や世界的なSUVブームとなっている。アパレル・ファッションと同じく、自動車にも流行の栄枯盛衰があるのであった。

最近では、普通のクルマのフェンダーに黒いプラスチック部品を華飾して車高を上げただけの「なんちゃってSUV」が横行しているが、2ドアスポーツカーしか興味を示さない筆者すらを惹き付ける新型SUVの何台かにも遭遇した。

1つめはマツダのMX-30。最近のマツダのSUVへの力の入れようはとんでもないことになっていて、マツダが販売する車種は全部で11種類なのだが、そのうち3分の1がSUVだ。CX-3、CX-30、CX-5、CX-8がその4車種で、さらに海外では大型のCX-9までが投入されている。それで今回さらにMX-30というSUVが発表されちゃったのだから、もはやマツダはSUVメーカーなのか、と言われてもしかたないほど。

今回のMX-30はサイズ的には、CX-30とほぼ一致。プラットフォームは共通だ。最大のトピックは完全な電気自動車であるということ…なのだが、スポーツカー好き視点から見ると、後部席のドアが観音開きするところに注目せざるを得ない。

これはマツダの最後のロータリーエンジン・スポーツカーのRX-8のドア構造と同じなのだ。身の回りにいるRX-8オーナーからのタレコミによれば「構造やデザインがほぼRX-8のものと同じ」とのこと。興味がある人は近くに寄ってこのドア回りを観察して欲しい。

「MX-30」。いまやSUVメーカーとなった感のあるマツダからまたまた新SUVが登場。今度はEVだ。新モデルはマツダSUVのブランド「CX」ではなく「MX」から始まるのが面白い

ダイハツの「11月正式発表で市販予定」「だけど車名は伏せさせて」という異例の形式で展示されているのが「ダイハツ新コンパクトSUV」だ。この車、クルマ好きの間ではかなり話題になっていて「車名はロッキーでしょ」「いやいやビーゴでは?」「コンセプトカーの時の名前、DNトレックを忘れないで頂きたいな」という議論が交わされている状況。スポーツカー好きの筆者はあまり興味がなかったのだが、「話題になっているから見るだけ見に行くかー」という感じで通りすがりついでに見たのだが、なかなかどうして。めちゃくちゃかっこいいのである。

かなり上級な車格クラスに見えて、ボディも大きく見えるのだが、なんと、5ナンバーサイズで全長も4mなく、車重は1トンを切る980kg。エンジンは三気筒ターボ。価格は未定ながら100万円台後半から200万円前後というから凄い。ブースにいた担当者によると「国内専用モデルのため、ここまでのコンパクト化、軽量化が実現できた」とのこと。売れそうである。

ダイハツ新コンパクトSUVは、デザイン的に秀逸。スズキのスポーツハッチバック「スイフト」の面影もちょっと見え隠れするが、ドイツ社風のフロントマスクは大人気の予感。横から見たときの塊感もいい

軽自動車にまでSUVブームを巻き起こした張本人、スズキは、「ハスラー」をモデルチェンジ。ハスラーのデビューから5年も経つのを忘れるほど、人気は継続的だった。最近では、同門ライバルとして「ジムニー」の人気も高くなっているから、ここにきての「ハスラー」新型は、スズキのSUV総合力をさらに高めそうである。

この新型「ハスラー」、かなり「開き直り」度の高いキープコンセプトで、ほとんど現行と「間違い探し」レベルに似た見た目となっている。ただ、細部に目を注ぐと、シティー派SUVだった現行ハスラーよりも、ジムニーに近い本格オフローダーテイストが盛り込まれていることに気が付く。もともとジムニーはSUVというよりは本格オフローダーなので、あの「ジムニーのカタチ」に憧れているだけのファンは、納車待ちが続いているというジムニーを待つよりは、こちらを選択することになるかもしれない。

メーカーでクラスやカテゴリが微妙に違うが、この国内メーカーSUV対決、ますます白熱しそうである。

軽自動車SUVの人気モデル「ハスラー」がモデルチェンジ。こちらも人気が出そう

本当は、今回の東京モーターショーで初披露となったホンダの新型「フィット」とか、各ブースで展示されていたVR体験などについても触れたかったのだが、どんどん原稿が長くなってしまうので、涙をのんでここまでとしたい。

ちなみに、モーターショーの会期は11月4日までで、入場料は2,000円(税込)。筆者なりの視点で振り返ってみたが、ぜひ皆さんもモーターショーを楽しんでほしい。

東京モーターショー2019特集