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家を巨大宅配ボックスに! なんでも受け取れる究極ソリューション(かもしれない)

我が家そのものを宅配ボックスにすれば、なんでも受け取れる!?

自宅を不在にしているときでも宅配物を受け取りたい。そんな願いをかなえてくれる宅配ボックスや宅配ロッカーの普及が進んでいる。最近では日本郵便が置き配バッグの「OKIPPA」を無償配布したり、Amazonが地域限定ながら置き配に対応したりと、スムーズに受け取って再配達の手間を減らせる仕組みも少しずつ広がってきた。

ただ、それでも宅配におけるすべてのケースに対応するのはまだ難しい。宅配ボックスに入らない大きなサイズのものは受け取れないし、冷蔵・冷凍保管が必須のチルド商品などは原則手渡しとなっているからだ。どんな荷物にも対応するには、一体どれだけ巨大で、どれだけ多機能な宅配ボックスを用意すればいいのか……。

しかし、ふと我が家に目を向けたとき、気付いてしまったのだ。そこに便利な最強の宅配ボックスがあることに。そう、「家」という宅配ボックスである!

そんなわけで、さっそく我が家を巨大な荷物でも受け取れる宅配ボックスへと変えてみた筆者。自宅を宅配ボックス化するために何が必要で、何に気を付ける必要があるのか、実際に試してみた結果をご報告したい。

自宅の宅配ボックス化に向けての課題と解決策

戸建てやオートロックのない集合住宅を前提として、自宅を宅配ボックス化しようとしたとき、いくつかクリアしなければならない課題があることにすぐ思い至る。主だったところを挙げると以下のような感じだ。

1. 不在時に玄関扉を解錠・施錠する仕組み
2. 配達に来た宅配業者とやりとりする方法
3. 部屋の奥に侵入されないようにするセキュリティ

まずは1つ目の「玄関扉を解錠・施錠する仕組み」がなければ話にならない。さすがに普段どこかに隠してある鍵を宅配業者の人に使ってもらう、なんてわけにはいかないだろう。なので、ここではリモートから安全確実に解錠・施錠できるスマートロックを使うのが早道だ。以前レビューした「セサミ mini」のようなアイテムがベストだろう。

スマートロック「セサミ mini」

インターネット経由で操作できるスマートロックを使い、宅配業者が来たらスマートフォンアプリから解錠→荷物を玄関内に入れてもらう→扉を閉めてもらう→アプリから施錠する、といった流れで荷物を受け取れる。念のため受け取りのハンコが必要になることを考えて、玄関内の目立つところに印鑑を置いておけば完璧だ。

ここで問題になるのは、2つ目の「配達に来た宅配業者とやりとりする方法」だ。自宅を留守にしているわけだから、宅配業者の人と直接会話はできないし、そもそも自宅に来たかどうかすら知りようがないので、解錠・施錠のタイミングがわからない。

近頃はインターネットにつながるインターホン製品もあり、呼び鈴を鳴らした宅配業者の人とスマートフォンの画面を通じてビデオ通話することも可能ではある。こうした設備を導入するのも手だが、実はそんな回りくどいことをせずともコストをほとんどかけずに対処できるのだ。

それは、単純に「電話で連絡してもらう」というもの。ECサイトで購入した場合や、他人から送られてきた荷物も含め、宅配物に貼られているラベルや伝票にはたいがい(自分の)宛先電話番号が記載されている。配達時、不在だったらここに電話してもらうようにすればいいだろう。

宅配物のラベルには電話番号が記載されていることが多い

そのためにも、自宅のインターホン付近に「不在時は電話を」というような注意書きを表示しておくと手っ取り早い。配達に来た宅配業者の人から電話がかかってきたら話をして、荷物を玄関内に入れてもらうように促せばOKだ。これでほぼ自宅を宅配ボックス化できたことになる。コストもスマートロックの購入・設置費用だけで済みそうだ。

インターホン付近。目立つところに張り紙をして宅配業者がわかるようにしておこう

しかしである。宅配業者の人も人間だ。魔が差すこともあるだろう。電話口では「玄関扉を閉めた」と言いながら、家主がいないのをいいことに中へと侵入し、夜食用に大事にとっておいたカップラーメンをつるっと食べてしまうこともあるかもしれない。ともすると、食後のコーヒーまでゆっくり愉しんでから我が家を後にする、なんてことも考えられなくもないわけだ。もっと言うと、電話してきた相手が本当に宅配業者の人なのか、ということも疑わなければいけないかもしれない。

そこで重要なのが3つ目の「部屋の奥に侵入されないようにするセキュリティ」だ。玄関扉が二重になっていればベストだろうけれど、そんなリッチな作りの家はそうそうないはず。代わりに、遠隔から監視できるWebカメラのようなものを導入するなど、「人の目」を意識させる形でセキュリティ対策を施すのが良さそうだ。あらかじめカメラで監視している旨を相手に伝えておけば、めったなことでは悪さをしようと思う人はいないだろう。万一奥まで侵入されたときは、すぐさま通報するといった対策も取れる。

以上、3つの課題をクリアできる目処がたったところで、自宅を宅配ボックス化してみた。世間はちょうど夏休み。筆者も家族みんなで瀬戸内の島へバカンス(死語)に出かけることになっていて、かつそのタイミングで大きめの荷物が届く予定にもなっていた。対面で受け取ることが絶対に不可能な状況で、我が家は問題なく宅配ボックスとして機能してくれるだろうか……。

スマートロックとセキュリティカメラ「Arlo Pro 2」を利用する

玄関扉を解錠・施錠する仕組みは、すでにレビューしているスマートロック「セサミ mini」を使った。専用Wi-Fiアダプターと組み合わせ、インターネット経由で解錠・施錠できるようにセットアップ済みだ。宅配業者向けには、インターホン付近に注意書きをして、大きな荷物があったときは電話してもらうようにした。ここまでは簡単だが、一番肝心なのはセキュリティだ。

「セサミ mini」のWi-Fiアダプター。これを使うことでインターネット経由でスマートロックを制御できる
インターホンに張り紙して、大きな荷物があるときは電話してもらうようにお願い

今回はテックウィンドにご協力いただき、セキュリティカメラ「Arlo Pro 2」(2台セット。実売価格56,000円前後)をお借りして玄関を監視することにした。元々はネットワーク機器メーカーのネットギアが開発したArloシリーズは、現在は独立した会社で展開している。そのシリーズのなかでもArlo Pro 2は内蔵電池で動作するワイヤレスタイプの最新型で、配線が不要なため自由度高く設置できるのが特徴だ。

セキュリティカメラ「Arlo Pro 2」(2台セット)のパッケージ
カメラのほかにマウントやベースステーションなどが同梱されている

屋内だけでなく雨のかかる屋外でも使用できる防水性能を備え、専用のベースステーションを通じて既存のインターネット回線と接続することで、フルHD(1,920×1,080ドット)の精細な映像でリアルタイム遠隔監視ができる。赤外線カメラも備えているので暗闇のなかをはっきり見ることができるうえ、指定した範囲内に動きがあったとき、あるいは音が鳴ったときにそれを検知して、スマートフォンに通知すると同時に自動で録画を開始する機能もある。

ベースステーション
ベースステーションは既存の固定回線のルーターなどとLANケーブルで接続する
Arlo Pro 2のカメラ本体
コンパクトで卵形のかわいらしい形
大容量の充電式バッテリーを内蔵
電池駆動なのでワイヤレスで使える
充電はマイクロUSB端子で
カメラ本体の背面の凹みにはマグネットが仕込まれている
金属製の壁掛け用のマウントと強力にくっつく。この構造のおかげで取り付け角度を比較的自由に設定できる

監視映像はスマートフォンアプリから見ることもできるし、PCのWebブラウザー上で見ることもできる。複数のカメラの映像を1画面にまとめて表示させられるので、今回のように2台あるカメラのうち1つは玄関内を監視し、もう1つはリビング・ダイニングが見えるところなどに置いておけば、万一自宅内に侵入されてもラーメンを食べている様子までしっかり把握でき、コーヒーまで飲んだという証拠映像も残せる。

玄関内を監視するカメラについては、付属している壁面取り付け用のマウントとネジで、手の届きにくい高い場所から見下ろすような形で設置した。フルHD解像度ということで、玄関扉に取り付けているスマートロックが施錠されているかどうかもはっきり視認でき、二重の意味で安心度が高くなった。映像は5秒ほど遅れるようなので、宅配業者の人とやりとりするときはそこだけ注意して対応する必要がありそうだ。

付属のネジでマウントを壁に取り付け
マウント自体はガッチリ固定、というよりもぶら下がる感じなので、垂直の壁までが限界。天井に取り付けるのは難しい
カメラ本体を取り付ける
玄関のかなり高い場所に、意外と目立たずさりげなく設置できた
アプリで動作を確認
映像を拡大するとスマートロックの状態もちゃんとわかる
「警戒」に設定しておくと、映像内の動きや音を検知したときに通知し、録画を開始してくれる
動作検知する映像内のエリアを設定することも可能

瀬戸内に浮かぶ島で優雅に過ごしつつ、東京の自宅で荷物を受け取る

スマートフォンやPCを使い、自宅のWi-Fiではなくモバイルネットワーク経由でArlo Pro 2の映像がきちんと見られること、スマートロックが正しく機能することを確認したうえで、いざ配達当日。あらかじめ時間帯指定で届くように手配していたので、その10分前には瀬戸内のとある島のグランピングエリアで、映像監視用のノートPCと通話&スマートロック操作用のスマートフォンを目の前に置き、準備万端の状態で待ち構えた。

夏休みの数日間を過ごした島のグランピングエリア
子供たちも遊び疲れてぐったりである
荷物をいつ届けに来てもオッケーな、準備万端の体制で待ち構える

が、それから20分ほどたっても連絡がなく、本当に注意書きを見て電話してくれるのかどうか不安になってくる。注意書きに気付かず、荷物を持ち帰ってしまったらアウトだ。さらには屋外で待機していたせいで蚊にめちゃくちゃ刺されてしまい、そそくさとモンゴルテントのパオへと避難するが、エアコンがないのでめちゃくちゃ暑く、痒いわ暑いわ痒いわでさっさと帰りたくなったのはここだけの話である。

パオの中はエアコンがなく、ハンパない蒸し暑さ。しかし蚊に刺されるよりマシなので仕方なく中に入る

それはそうと、さらに10分ほどしてようやく電話が鳴った。もちろん宅配業者だ。すぐに玄関前で待ってもらうように伝え、スマートフォンアプリからスマートロックを解錠し、PC画面上でカメラの映像を監視する。宅配業者の人も慣れたもので、こちらからハンコの場所を教えると、荷物を玄関内に置いた後、さっさと伝票にハンコを押して玄関を閉めたので、再び施錠して配達が完了。拍子抜けするほどスムーズだった。

電話が来た!
解錠して宅配業者の人が荷物を置き、さっと扉を閉めてくれる。ほとんど一瞬の出来事

やりとりしていた時間は、通話履歴を見るとわずか1分35秒。対面で受け取るときや、宅配ボックスで受け取るときも、サインの手間やダイヤルロックの設定などがあるわけで、これは宅配業者にとっても受け取る側にとっても、かかる時間はさほど変わらないのでは、と思う。

さらに玄関内に大きめの冷凍・冷蔵庫なんかを置いておけば、チルド商品も不在のまま受け取れるだろう。ヤマト運輸のように宅配ボックスからの発送に対応する業者であれば、自宅玄関から大型の荷物を送ることも可能なはずだ。これはもしかして、我が家は最強の宅配ボックスになってしまったのでは!?

家は最強の宅配ボックスかもしれないが、日常的に活用できるかというと……

が、そうは言っても弱点がないわけではない。今回レポートした通り、あらかじめ決まった日にちの決まった時間帯に配達されることがわかっていれば対応できるけれど、そうでなければ難しいことも確か。スマートフォン1台でカメラによる映像監視も、スマートロックの操作も、電話でのやりとりもできるとはいえ、配達のタイミングによってはスマートフォンがとっさに使えないときもある。移動中で電話に出られないこともあれば、電波が弱くて通信できないケースもあるだろう。配達員の負担という意味でも、頻繁に使うのも迷惑だろう。

なので、この自宅宅配ボックスは、決まった日時に届くことが最初からわかっていて(配達日時指定をしていて)、通常の宅配ボックスに入らない、もしくは他の荷物で使われているような状況で、かつ不在になるタイミングでどうしても受け取りたい荷物がある場面……というわりと限定されたシチュエーションで役に立つ方法と言える。宅配業者の人が確実に電話してくれるとも限らないので、やきもきしながら待機するストレスもかなりのものだ。

そういうことを考えると、自宅を宅配ボックス化するだけでなく、やはり通常の宅配ボックスも組み合わせたいし、せっかくセキュリティカメラを導入するのであれば、自宅の宅配ボックス化だけを目的にするのはもったいないと感じる。もっと重要性の高い防犯などをメインの用途に据えつつ、自宅の宅配ボックス化はあくまでも副次的な効果として捉えるべきだろう。

比較的リーズナブルに導入できる宅配ボックスもある。設置できる環境なら、こちらも組み合わせたい

ただ、いずれにしても、今回の件で自宅は究極の宅配ボックスになりうる存在であると確信した。戸建てだけでなく、自分で宅配ボックスを設置できない集合住宅でも導入できるし、玄関扉の縦横幅を超えないものでない限り、受け取れないものはない。なんでもバッチコイ、という万能感はすごい。そして何度も言うように玄関に冷蔵・冷凍庫があれば、ネットスーパーで購入した生鮮食品を受け取るのにわざわざ在宅している必要もないかもしれないのだ。これこそがまさしくスマートホームというものではなかろうか!