小寺信良のくらしDX

第44回

指輪でアンチエイジング!? 目的が先鋭化するスマートリング

CUDIS 002 SPORTYモデル

IT機器をウェアラブルにするという取り組みが行なわれて、もう10年以上が経過する。その中で最も成功したのが、スマートウォッチだろう。時計としての機能のほかに、スマートフォンの通知やナビ、搭載センサーでバイタル情報も取れる。小さいがディスプレイがあるという点で、ウェアラブル機器としては最もユーザーに受け入れられた。

一方でブレイクしそうで、まだしていないものが、スマートリングだ。指輪程度の小さいものに電子部品を搭載する難易度に加え、指輪をつける習慣がない人には響かない。技術的には成熟しつつあるが、スマートウォッチほどの市場は作れていないのが現状だろう。

現在スマートリングは、NFCを搭載して電子決済や鍵の解錠などに利用する認証系、スマートフォンの通知を受け取る通知系、健康維持のためにバイタルデータを取る健康管理系の3つに分類できる。最も製品が多く、競争が激しい分野は、健康管理系である。

バイタルデータを取って健康管理をするというのは、スマートウォッチが開拓した分野であり、それで十分間に合っているとも言える。ジョギングやジムトレーニングなど、アクティブな使い方が主流だ。その一方で、スマートウォッチは駆動時間が短いため、長期的な睡眠データが取りづらいという課題がある。つまり集中的でアクティブな使い方には向くが、じんわりした使い方が苦手と言える。

スマートリングは、その弱点に注目し、低消費電力を武器に、長期的なバイタルデータの記録・分析という方向性に活路を見出そうとしている。

米国のスタートアップが開発したスマートリング「CUDIS」は、長期間のバイタルデータを取得することで、アンチエイジングを支援するという。取得した情報はAIが分析して、日々のアクションを提案する。また健康についてAIに相談することもできる。一般にウェアラブルデバイスでAIを使うには、サブスクリプションへの加入が必要になるケースが多いが、CUDISはサブスクなしの買い切り型として展開している。

CUDISは、製品としては「002 SPORTY」(64,400円)と「002 CLASSIC」(56,300円)の2モデルがある。今回はテストのために002 SPORTYを提供いただき、1カ月ほど使ってみたところである。

CUDIS 002 SPORTYモデル

年齢とともに気になってくる「回復力」

002 SPORTYのポイントは、リングの外装部分を取り替えられることだ。色が付いた部分はゴムになっており、自分で好きな色に交換できる。この機構があるために、指輪としてはちょっと厚みがあるが、これのおかげで当たりが柔らかい。例えば金属やガラス製のものを触っても、指輪で傷をつけることもないわけだ。もちろん、指輪自身も傷が入らない。

外周のゴムリングは交換できる
指輪としては若干厚みがある
充電器はイヤホンケース風

装着して専用アプリとリンクさせると、バイタルデータがアプリに送られ、分析が行なわれる。最も力を入れているのは、体力回復と睡眠の解析だ。毎日の状況がスコア化され、日々の変化量が読み取れる。また熟睡のためのサポートプランが提示され、日々の運動量や寝る前のスクリーンフリー、午後2時以降のカフェイン抜きなどを入力することで、よい睡眠のための進捗が示される。

専用アプリトップページ
日々の睡眠がスコア化される
サポートプランで睡眠を進捗として管理する

飲酒状況も良い睡眠に関係すると思われるが、飲酒のパラメータはない。最近の若者はお酒を飲まない人が多いからだろうか。AIに睡眠とアルコール摂取の関係を聞いてみると、ちゃんと的確な答えが返ってきた。

AIに睡眠や健康に関する相談ができる

運動のセンシングに関しては、歩数は自動で計測できるようだが、自主的な運動(アクティビティ)は自動では計測されず、自分でアプリから開始を選択する必要がある。指輪自体はGPSを受信できないので、運動の自動判定まではできないということだろう。

歩数は自動的にカウントされる

個人的に気に入ってるのは、アプリから運動しろ運動しろと言われない事である。スマートウォッチではこうした運動トレーナー機能が鬱陶しかったりするのだが、CUDISはSPORTYモデルでありながら、そのようなことはない。

CUDISのユニークな機能は、老化速度が試算できるところである。この計測結果が出るまで20日ぐらい連続的なデータ収集が必要だが、筆者の場合は老化速度が0.9で、実年齢よりも1歳ぐらい若いそうである。

老化速度が試算できる

63歳と62歳では大した差はないのだが、もうすぐ64歳になるので、そこまで現状が維持されるなら2歳若いということになる。いやそれも誤差だろうと思われるかもしれないが、本人にとっては気持ち的に嬉しいところである。指輪をしただけで、よくここまでのデータが取れるものだと感心する。

もうひとつユニークな機能は、アクティビティを達成したり記録をちゃんと付けたりすると、ポイントがもらえるところである。溜まったポイントはCUDISストアでの買い物に利用できるようだが、日本ではまだ機能していない。カラーのゴムリングは3,100円もするが、これがポイントで購入できたら楽しみが増えるだろう。

ポイントとストアの連携はまだ機能していない

目標を設定されたり、頑張ることを強要されるのはダルいが、日々の記録を淡々と分析してくれるスマートリングは、筆者のようなアラ還の年齢にはちょうどいい具合である。

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「小寺・西田のマンデーランチビュッフェ」( http://yakan-hiko.com/kodera.html )も好評配信中。