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レーザー距離計がリフォームで大活躍 ボッシュ「ZAMO 3」

ボッシュのレーザー距離計「ZAMO 3」と2種類のアダプターのセット

筆者は2020年夏の引っ越しで、部屋の中のさまざまな場所を測る必要があるだろうと予想し、ボッシュ(BOSCH)のレーザー距離計「ZAMO(ザーモ) 3」を購入した。

直線だけでなく、曲面や曲線も計測できる、別売の2種類のアダプターがセットになった「ZAMO SET」で、Amazon.co.jpでの価格は9,582円(税込)だ。本体のみの場合はもう少し安くなる。

レーザー距離計は、レーザーポインターのようにレーザーを発射し、照射している場所までの距離を正確に測れるというもの。「ZAMO 3」は、ボッシュの電動工具のラインナップの中ではプロ用というよりDIY用という雰囲気で、デザインも多少スタイリッシュになっている。本体のお尻の部分から、レーザーが当たっている場所までの距離を測定でき、測定範囲は15cm~20m、測定単位は1mm、測定精度は±3mmとなっている。小型・軽量で単4形アルカリ乾電池2本で動作する。レーザーが出る上部は、カバーを外すことで2種類のアダプターを装着できる。

小型で、プロ用とは少し系統の違うデザインだ
単4形アルカリ乾電池2本を使用

使い方はシンプルで、電源ボタンを押すとレーザーが出て測定が開始される。測定にかかる時間は0.5秒なので、ほぼリアルタイムでレーザーが当たっている場所までの距離が分かる。測定中に電源ボタンを1回押すとレーザーが止まり測定中の値がディスプレイに固定されるので、メモをする際などに便利だ。

電源ボタンを押すとレーザーが出て測定が開始される

ボタンを再度押すと、前回測定した値は上段に移り、レーザーが再び出て測定が可能になる。2回目以降もボタンを押すことで測定値を固定でき、上段に表示されている前回の測定値と比較が可能。前回と今回の2つの測定値が固定されている状態で、さらにボタンを素早く2回押すと、2つの値が掛け算されて、面積として表示される機能もある。

前回と今回の2つの測定値が固定されている状態(左)で、さらにボタンを素早く2回押すと、2つの値が掛け算されて、面積として表示される(右)

オプション(ZAMO 3 SETに付属)の「テープアダプター」は、裁縫用のメジャーのようなタイプで、柔らかいテープを引き出して長さを測るというもの。測定範囲は5mm~1.5m、測定精度は±1mmとなっている。

よくある裁縫用のメジャーと異なるのは、テープ自体は無地で目盛りがない点と、引き出した状態でテープを固定できない点。また、測定はあくまで本体のテープ引き出し口とテープ先端(どちらも赤い印がある)との距離であり、使い勝手は裁縫用メジャーと少し異なる。このため、小さなものに巻きつけるような測定にはあまり向かないのだが、1.5m以下であれば何かと便利に使える。

本体でのレーザー測距と同様に、ボタンを押すと測定値を固定でき、直近の2つの測定値の表示や面積の表示もできる。

上部のカバーを外すと接点が現れる
「テープアダプター」を取り付けたところ
テープを本体から引き出した長さを測れる

「ホイールアダプター」は、ホイールが転がった距離を測れるというもので、直線だけでなく、複雑な形でも測ることが可能。測定範囲は最大20m、測定精度は±5mmだ。

テープアダプターと比べると使い方にコツのいるアイテムだが、テープアダプターでは測るのが難しい複雑な形や長い距離を測る際には出番がくるだろう。測定値の固定や面積の表示が行えるのはほかと同様だ。

なお、2種類のアダプターはいずれも「ZAMO 3」の本体と電気信号をやりとりするもので、内部でレーザーが出ているわけではない。

「ホイールアダプター」。左右どちらに転がしても測定できる

3つの測定機能の一長一短

アダプターを含めた3つの測定機能をみると、まず本体に搭載されるレーザー距離計は、完全な直線を測る機能で、5m、10mといったかなり長い距離も余裕で計測できる。一方で、測距には向こう側にレーザーが当たる壁や突起が必ず必要になる。空間の中で特定の部分だけの距離を測るには、例えば木の板を用意してそれにレーザーを当てるといった工夫が必要になる。

「テープアダプター」は、レーザーを当てる壁が不要で、1.5m以下という、両手を広げた程度の比較的小さいモノを測るのに便利。タイプとしては、DIYの中でも最も出番が多いかもしれない。ただのメジャーでいいのでは、という気もするが……「目盛りの数え間違い」が起こらず、画面の測定値を見るだけという簡単さと正確さは利点だろう。ウエストなどの身体の測定や、服の袖丈を測るといったことでも使えるので、裁縫用メジャーを持っていないなら、「ZAMO 3」と一緒に「テープアダプター」を買うのはアリではないかと思う。

「ホイールアダプター」は、測距の開始地点、終了地点に自由度があるというメリットがある。完全な直線として測定するのは難しいが、レーザー距離計のレーザーを当てることが難しい、中間の距離を測りたいケースで活躍する。上記で「木の板を用意する」と書いたが、そうしたことが難しい場合、ホイールアダプターで壁や床をコロコロと転がせば長さを測れる。出番は少なそうだが、使い勝手としてはレーザー距離計とテープアダプターの中間のポジションだろう。

アナログな金属製メジャーと使い分けよう

筆者は引っ越し直前に、DIYなどでは必須の金属製のメジャーを紛失してしまい、何かしらの距離を測るモノを買う必要に迫られていたのだが、その際に購入したのが本製品の「ZAMO 3」だ。

結果からいうと、レーザー距離計を買っても「金属製メジャーはもういらない」とはならず、金属製メジャーも購入している。

金属製メジャー(上)にも利点は多い。特徴を理解して使い分けたい

金属製メジャーが便利なのは、50cmとか1mとかの長さを引き出した後で、それを自由にあてがったり置いたりできる点。レーザー距離計は、測る場所を決めた上でレーザーを正確に対象に当てる必要があり、「長さをだいたい把握する」といったゆるい使い方ができない。また、すぐには手が届かない場所を測るのにも便利で、例えば「天井からエアコンの上部までは何cmくらいなのか」といったことも、金属製メジャーなら脚立に乗ることなく簡単に測れる。こうしたアナログなメジャーは「測りたい場所に目盛りを出現させる」というのがポイントで、自分の手や道具(メジャー本体)の位置はさほど問わないという自由度の高さがある。

一方、金属製メジャーが苦手なのは、例えば1.5m以上の長さや、床や壁にあてがえない、空間を経由した計測だろう。長くなると、引き出したメジャーが自重でたわんだり折れ曲がったりして、正確に測るのが難しいケースが出てくる。また、例えば箱の内側といった、開始と終了の2点ともが奥まった場所にある場合も、金属製メジャーを折り曲げるのには限界があり、正確な計測は難しくなる。

そうした場合はレーザー距離計が便利で、一般的な金属製メジャーでは一度に測定できない長い距離や、箱の内側も正確に測れる。筆者は、自宅の窓のリフォームとして二重サッシを発注する際に、窓枠の内側の距離を縦横それぞれ3カ所ずつ計測する必要があったのだが(最終的にスタッフの訪問による測定も行なったが)、例えば掃き出し窓は1辺が180cm程度あり、窓枠の形状も影響して、金属製メジャーではうまく測定できなかった。レーザー距離計なら、レーザーを当てる場所を慎重に操作する必要はあるが、2m近い距離の測定を簡単・正確に済ませることができた。

長い距離を測るなら金属製メジャーより便利

金属製メジャーは、DIY(日曜大工)の有無を問わず、家具や家電製品を置く場所を測るなど、日常生活にほぼ必須ではないだろうか。一方、もう少し踏み込んで、部屋の端から端まで測るなど、リフォームや大掛かりなDIYの予定があるなら、レーザー距離計には簡単で正確というメリットがある。そうした人は導入する価値があると思う。

太田 亮三