いつモノコト

小説はKindleだけど、コミックは「BookLive!」で買う理由

電子書籍で「BookLive!」を選ぶわけ

電子書籍は、いつでもどこでも楽しめるというメリットはもちろん、シリーズ作品などの書籍の物理的なスペースを圧倒的に減らすことができるのも魅力。一方で、1つのサービスを使い始めるとなかなか他のサービスに移りにくい、というのも電子書籍の特徴だ。コンテンツは購入型のため他のサービスに移行すると書籍も買い直しになってしまうし、シリーズの続きからだけ購入しようとしてもそのたびに異なるアプリを起動しなければならない。

筆者も基本的には電子書籍サービスをできるだけ集約したい派ではあるのだが、最近は「小説などの活字系書籍はKindle、コミックはBookLive!」と2つのサービスを併用している。というのもBookLive!は、コミックのようなシリーズ作品の購入や管理にとても使いやすいからだ。

本稿では、筆者が愛用するBookLive!の魅力とその使い勝手について紹介する。

BookLive!は、サービスと同名称の株式会社BookLive!が運営。国内の電子書籍サービスの中でもトップクラスのラインアップ数を誇り、サイトのトップページでは常に累計の配信タイトル数が表示されている。リアルタイムでの取り扱いタイトル数を公式に表示しているサービスは少なく、ラインアップの自信があることの表れだろう。

BookLive!は元々凸版印刷子会社であるビットウェイが運営するサービスだったが、その後は株式会社BookLive!という会社として独立、現在は凸版印刷の子会社となっている。

電子書籍では「サービスが終了すると買った本が読めなくなってしまう」という点において、過去にも事業者の対応が問題視されることがあった。実際にはファイルを「購入」するのではなく「無期限レンタル」に近い契約形態の電子書籍サービスでは、書籍を購入すればするほど、そのサービスが終了してしまわないかは気になるところだ。

その点において、国内でもトップクラスの規模であり、会社として電子書籍事業のみを展開していること、親会社は国内印刷業界大手の凸版印刷ということは、確たる保証があるわけではないが「突然サービスが終了する確率が低いだろう」というのが筆者にとってBookLive!を使う理由の1つでもある。

続きを読む機能やシリーズごとの管理がコミックに最適

こうした経緯もありつつ、BookLive!を筆者が使う上で気に入っているのが作品の読みやすさだ。

コミックのようなシリーズ作品では、作品を読み終わると「続きを読む」ページが表示され、購入済みであればそのまま連続で作品を読んでいけるし、未購入であればそこから購入が可能。さらには購入していない続巻がある場合もコミックスの一覧に表示され、Androidであればそこから続巻を購入できる(iOSは仕様上アプリから購入できずブラウザから購入することになる)。

シリーズ作品は読み終わると続巻を続けて読むことができる
Androidはアプリ内から続巻を購入することも可能
コミックは自動的にシリーズ管理され、購入していない即品も一覧表示される

シリーズ作品はシリーズごと自動的にまとめて管理されているため、取り扱いもしやすい。購入した書籍は本棚を作成して個別に管理できる機能が用意されているが、新しく買ったシリーズ作品を本棚に分類するときも作品ごとまとめて移動できる。

前述の通り、筆者はBookLive!と並行してKindleも使っているのだが、KindleはOSによって動作がかなり異なり、Android版ではシリーズ作品の続きを読む機能が用意されているが、iOSでは続きを読むことができない。また、作品は2冊以上購入すると同じ作品がカテゴリとしてまとめられるのだが、Kindleに用意されている「コレクション」という分類機能で書籍を分類するときには1冊単位でしか指定できず、冊数の多いシリーズ作品を個別に管理するのはとても面倒だ。

KindleはiOS版だと続きをそのまま読むことができない
Android版は続きを読むことが可能。OSによって機能が大きく異なる
コレクション機能で管理する場合は1冊ずつ手動で設定する必要がある

当初のうちはすべての電子書籍をKindleで管理していた筆者だが、アプリの使いにくさに課題を感じて現在ではコミックの管理をすべてBookLive!に統一している。

新刊が発売されると通知してくれる機能も地味ながら便利。購入したコミックの続巻が発売されるとアプリはもちろんメールやLINEなどで通知してくれる。通知対象は新刊だけでなく、作者を通知対象とすることも可能だ。

BookLive!の新刊通知機能
LINEでの通知機能

一方で、すでに購入済み作品の無料お試し版なども通知対象になるため、持っている本が通知されるのはやや煩わしい。また、雑誌も新刊が通知されるのだが、コミックと違ってスポットで買うことも多い雑誌を、一度でも購入すると通知されるのはうざさを感じてしまうこともある。便利な機能だけに通知機能の改善もお願いしたいところだ。

日替わりで配布されるクーポン割引も魅力

BookLive!の魅力は機能だけではない。毎日のように行なわれるクーポンも、BookLive!をついついヘビー利用してしまう理由の1つだ。

BookLive!のWebサイトでは日替わりで引くことのできるクーポンが配布されており、かなりの確率で10%以上の割引を受けることができる。

BookLive!のクーポン機能
定期的に10%以上の割引が受けられる

クーポンはジャンルを問わないものから少年コミックのみ、×月×日までに配信された作品、などジャンルに指定があるものもあるが、クーポンは1日1度だけ抽選をやり直しできるため、毎日のようにクーポンをチェックしていると望みのクーポンを得られる可能性も高い。

LINE限定クーポンも

クーポンはこの日替わりに加えてLINEの友だち限定で配布されるクーポンや会員限定で配布されるクーポンなどさまざま。割引率も高いものでは25%まで割り引かれることもあり、最近では気になる本があっても対象のクーポンが出るまでカートに入れっぱなし、ということも増えてきた。

なお、BookLive! ではコミックなどの続巻が発売されると自動的に購入できる新刊オート購入という機能が提供されているのだが、この機能では自動で決済が行なわれてしまうためにクーポンが適用できない。便利な機能ではあるのだが、これが理由で使うことができず、新刊発売時の通知機能を頼りに毎回手動で決済している。

新刊オート購入機能。クーポンが適用できないため一度も利用していない

冊数が増えやすいコミックの管理に最適

電子書籍が普及する中でいまだ電子化されていない書籍もまだまだ数多いが、コミック市場では電子書籍化が非常に進んでいる。発売日に差がある……、という作品はまだまだあるものの、電子書籍で買うことができない、という作品は非常に少なくなってきた。

基本的には1冊単位、長くても数冊のシリーズがほとんどという小説に比べて、十数冊、中には百冊以上ものシリーズになっているコミックは、「物理的なスペースを取らない」という電子書籍のメリットが非常に大きい。筆者もここ数年は「電子書籍以外ではコミックを買わない」という方針とした結果、BookLive!で購入した書籍数は1,000冊を超えるようになった。

未だに小説はKindle、と使い分けているのは、電子書籍端末のKindleで読むこともあるだろう、という理由なのだが、最近は小説もほぼスマホで読んでおり、異なるアプリで管理する手間を考えたら小説もBookLive!でいいのでは、という気になってきた。

冒頭で述べたとおり、電子書籍サービスを切り替えることに気が進まない人も多いと思われるが、一度BookLive!に慣れるとKindleでのコミック読書、特にiOS端末での読書がとても負担に感じてしまった。BookLive!では無料のお試し配信も多数展開しており、ユーザー登録も無料なため、一度体験してみて欲しい。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。ライター以外にも家電ベンチャー「Shiftall」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝