レビュー
「Segway Drift」という電動スケート的なヤツが最高に楽しい
2019年5月2日 08:15
セグウェイといえば、初めて登場したのが2000年代初頭。目を疑うようなフォルムの立ち乗り用電動二輪車で、その未来っぽさが話題をさらったことは記憶に新しい。残念ながら日本では公道走行が不可能で、実質私有地でしか使えないことから、全く盛り上がらずに終息してしまったような雰囲気がある。現在は「モビリティロボット実験特区」となっているつくば市や、空港の警備、広い公園のガイドツアーなどで利用されている姿を見ることができる程度だ。
ところがここへ来て、そのセグウェイから新製品「E-Skate Segway Drift W1」(以降Segway Drift)が発売された。ホイールが1つしかない左右独立型の“一輪車”で、見るからに乗りこなすのが難しそう……なのだが、実際のところどんな乗り心地なのか気になる。ということで、新世代のローラースケート? なのかよくわからないが、この乗り物を試してみることにした。公式オンラインショップでの価格は59,400円(税込)。
移動用ではない、スポーツ用だ!
あらかじめ言っておくと、今回のSegway Driftもやはり公道走行は不可能。私有地での利用が前提となるので、用途はどうしても限定される。しかし、ここで「なーんだ」と思ってWebブラウザを「そっ閉じ」するのは気が早いと言わざるを得ない。
なぜならSegway Driftがターゲットにしているのは、従来のような移動用途ではなく、どちらかというとスポーツ用途だから。乗ること自体を楽しむ点に主眼を置いているのだ。移動が主目的ではないため、公道走行の可否はあまり関係がない。使える場所は、体育館のような広くてフラットな床がある屋内、もしくは凹凸のできるだけ少ない屋外の私有地。ようするに、従来型のローラースケートと同じということだ。
そのローラースケートを電動化したSegway Driftは、最高時速12km、充電式の内蔵バッテリーで稼働時間は45分間。……といったようなスペックはSegway Driftを語るうえではあまり意味がないかもしれない。ひとたび乗ってみれば、そんなささいなことは彼方へ吹っ飛んでしまい、特に最初のうちは「いかにして乗りこなすか」で頭がいっぱいになる。
最初はみんな「生まれたての子鹿」(一部例外あり)
見た目の通り、Segway Driftを乗りこなすのには一筋縄ではいかない。最初から縦横無尽に走れる人はまずいないだろう。筆者が一体どんな有様だったのか、初挑戦の模様をカメラに収めたのでご覧いただきたい。
動画の最後で他の人に言われているように、これぞまさしく「生まれたての子鹿」。乗り出すところから何度も失敗し、なんとか乗れても脚がプルプル震えてスムーズに進まない。これは筆者だけでなく、他の人に試してもらってもだいたい似たようなものだった。
ただ、こう見えて普通のローラースケートよりは安全だ。ローラースケートの場合、後ろにバランスを崩してしまうと(靴底に固定された)ローラーのせいで踏ん張りがきかず、滑って背中から転倒するしかないが、Segway Driftは地面に足をついて踏ん張れるので転倒リスクは意外に低い。
乗っているときの感覚としてはローラースケートよりもアイスホッケーのスケート靴に近い気もする。重心が前過ぎても、後ろ過ぎても安定しないので、最初は前進することよりもとにかく直立静止状態を保つことを目標にする。両足に均等に、まっすぐ体重を乗せることを心がけると、だんだんコツがつかめてくる。
Segway Driftは、本体が地面と平行であれば直立、前傾すれば前進、後傾すれば後退する単純な仕組み。けれども、実際にはそれを意識しないくらいの方がうまく乗れる。前進するときはなんとなくつま先に力を入れるだけ。停止したいときは力を抜き、後退したいときはその状態から足裏の真ん中で乗るように重心を移す感じ。
その案配がわかるようになるまで四苦八苦は避けられず、スネの筋肉がつりそうになるほど痛い。歩くよりも確実に疲れる。けれど、それもきっと最初の5~10分程度の話だろう。失敗しながらも何度かチャレンジし続けるうちに、あっという間に危なげなく走り出すことができるようになる。
そうやってみるみる上達していくのが自分で実感できるのもSegway Driftの面白いところだ。そんなこんなで乗り始めて30分ほど経過した筆者の様子が以下。この時点でわりと自在に乗りこなせている気持ちになっている。
ちなみにイベント会場では他にも何人かに試乗してもらったが、初トライでふらつかずに安定して乗ることができたのはモデルの人だけだった。ここから想像するに、Segway Driftを乗りこなすのに大事なポイントは、自分の体重を両足で等しく支える「姿勢」にあるのかも、なんて思ったり。
慣れていくにしたがい、左右の足の体重のかけ方を互い違いにして、その場で高速回転するような芸当もできるようになる。45分ほど乗って電池切れになったため、充電後、改めてチャレンジした様子が以下の動画だ。乗り始めからのトータル時間は1時間ほど。やや粗めの舗装路面だったので、ところどころ引っかかるような感触はありつつも、ほとんど気にせず走り回ることができている。
スピードもある程度出せるようになったが、最高速付近まで出すと怖いくらいだ。時速12kmといえども、体感速度はかなりのもの。ホイールが小さいことによる不安定さはどうしてもあり、急ブレーキをかけることもできないので、まっすぐ走るときもスピードをやや抑え気味にするのが最も安全で楽しいだろう。
さらに後日、トータル使用時間が1時間半程度の段階で撮影したのが以下の動画。自宅敷地内の狭いスペースでも前進・後退・回転が簡単にこなせるレベルになった。まだまだ上達の余地がありそうで、全く飽きることがない。
とはいえ、広いところで駆け回れないのはちょっぴりストレスではある。Segway Driftを携えて公園にお出かけしたい熱がふつふつと高まってくる。
めちゃ楽しくて、モテる!?
乗ってて楽しいのはもちろんだが、Segway Driftの個人的にうれしかったポイントが、イベント会場をSegway Driftで走り回っていると、モデルの女性やら、イベントコンパニオンの女性やら、売店の女性やら、その他大勢の男性やら、すわ「モテ期到来か」と思い上がるほど初対面の人にも頻繁に話しかけられたこと。それはもう、これまでの人生でかつてなかったくらいに。
もしかすると世のイケメンは常にこんな人生を送っているのかも……なんて思うが、自分がイケメンになったなどと勘違いしてはいけない。イケメンなのはSegway Driftなのだ。改めて言うが、価格は59,400円。公道を走れないのに約6万円は高いと見るか、めちゃめちゃ楽しくてモテる(勘違い)なら安いと考えるか。筆者は断然後者である。