レビュー
手のひらサイズの「PlayStation Classic」を一足先にチェックする
2018年11月27日 22:00
12月3日、初代PlayStationの小型版である「PlayStation Classic」が発売になる。この日は、初代PlayStation(PS1)の発売日(1994年)でもある。
発売前だが、実機をチェックする機会に恵まれた。24年前に生まれたPlayStationがどんな風に生まれ変わったのか、順に見ていこう。
本体をそのまま小型化。コントローラーは「USB」版の初代コントローラー
まずは「開封の儀」から始めよう。PlayStation Classicは、昨今多数発売されている「旧来の家庭用ゲーム機を、現在の技術で小型化し、ソフトをセットにした」もの。ある種のノスタルジー製品ではあるが、PS1で育った人々にとって、強く所有感を刺激されるものであることは変わりない。
外箱は、1994年12月3日に発売されたPS1のものを模している。ただ、あの時と異なり、これはあくまで「外箱」。今回は中に白い内箱があり、本体はこの中にある。
中には、PlayStation Classicの本体と2つのコントローラー、HDMIケーブルと、電源ケーブルを兼ねるmicroUSBケーブルが入っている。電源は入っていないので、スマホ用USB充電器などを併用する。テレビについているUSB端子から給電する、というパターンでもOKだ。PS1だが「アナログ用のAVマルチ端子」はない。
本体サイズはさすがにコンパクトだ。公式情報では、PS1と比較した場合、「縦横で約45%、体積で約80%コンパクト」とされている。手のひらに載るし、スマホ+α程度の大きさでしかない。デザインそのものは、PS1、それも1994年12月3日に発売された「SCPH-1000」に非常に近い。各種端子類は異なるのだが、最終的には使われなかった「拡張端子」が隠れているフタも再現されているし、メモリーカードスロットもある。ただし、どちらもデザインだけで、実際に使えるわけではない。CDトレイも開かない。
コントローラーはUSB接続に変わっているが、デュアルショックではなく、PS1発売時に使われていた、いわゆる「SCPH-1010」と同じデザインのものが入っている。サイズも同じだ。最近のコントローラーになれたせいか、今使ってみると驚くほど小さく、軽い。LRボタンもあくまで「ボタン」でトリガーではない。
ディスクを「OPEN」ボタンで切り換え。ソフトは20本のディスクイメージを内蔵
さて、では実際に電源を入れてみよう。まず画面には「SCE」のロゴではなく「SIE」のロゴが写る。もちろん、あの音とともにである。
PlayStation Classicは720pもしくは480pの画像を出力する。ゲームは480pだが、起動画面などは720pだ。
PS1は、ディスクが入っていると自動的にそのゲームが起動したが、PlayStation Classicは違う。まずは専用のUIが表示される。なぜなら、本体に入っている20本のゲームから、遊ぶものを選ぶ必要があるからだ。
本体のボタンはこの時に役に立つ。「電源」は電源のままだが、「リセット」ボタンと「OPEN」ボタンの役割は変わった。「リセット」ボタンは、今やっているゲームを中断して本体内UIに戻るためのもので、「OPEN」は、プレイしているゲームを切り換えるものになった。ゲームは物理的なディスクではなく、ディスクイメージで内蔵されているわけだが、「ディスクを交換する」感覚で「OPEN」ボタンを使うわけだ。
メモリーカードはないが、ゲーム毎に一枚ずつ組み込まれているような形になっている。メモリーカードの管理UIも、PS1で見慣れたアレである。
なお、内部にはメモリーカードの他に、ゲーム1本毎に1つずつ、「再開ポイント」が設定されている。リセットボタンを押すと、押した時の情報が「再開ポイント」として記録されるようになっている。だから、終了時には「再開ポイント」を押してから電源を消せば、次にはそこから再開できる。任天堂の「ニンテンドークラシック ファミリーコンピュータ」などでは4つの再開ポイントがあったのだが、PlayStation Classicは1つ。ここはちょっと残念である。
エミュレータとしてはシンプルな実装。コアにはオープンソースの「PCSX」系技術を採用
実際にゲームをやってみよう。起動すると、懐かしい「PSロゴ」が、やはりあの音と共にあらわれる。ここからは、画面出力は480pになる。
ゲームをプレイした感覚は、あの時のままだ。画質が向上しているわけでもなく、まさに「あのまま」である。これはエミュレータで動作しているので、厳密にいえば違いがあるのかもしれない。だが、そこまで筆者は違いに詳しくないし、検証する時間も短かったため、「とりあえず、体感的には同じ」とだけしておきたい。
権利表記を見る限り、PlayStation Classicでは、エミュレータとして、「PCSX ReARMed」というものを使っている。これは、オープンソースで開発されたPS1のエミュレータを、ARMプロセッサー向けに移植したものであるようだ。PS1は、MIPS系のR3000Aに、独自のGPUを組み合わせたハード。なので、PlayStation ClassicはARM系コアを使ったハードで低コストに開発したものなのだろう。おそらくは開発期間やコストの短縮が目的と思われる。PS1に関わる権利はすべてSIEに帰属しているので、どういう風に開発するのかはSIE次第といえる。とはいえ、PS1を作った大本が、オープンソースコミュニティで開発されたエミュレータをベースに製品を作るとは驚きだ。ただし、カスタマイズが行なわれたかどうか、行われたとすればどう変わっているかまではわからない。
遊んでみると、PlayStation Classicはかなりシンプルな作りだと感じた。「ニンテンドークラシック ファミリーコンピュータ」などでは、映像出力を「ブラウン管風」にしたり、ドットのアスペクト比を元のゲームに合わせる「ピクセルパーフェクト」などの画面モードがあったが、PlayStation Classicにはない。
PS1のエミュレータは、SCE時代からPS2(ハードだけでなく、ソフトとのコンビネーション実装だった)・PSP・PS1・PS Vitaと多数提供されてきたが、それらとPlayStation Classicは異なっている。「ニンテンドークラシック ファミリーコンピュータ」などに代表される「リバイバルハードウエア」に近い構成だ。これは、採用しているエミュレータの性質によるものだろう。ただ、ライバルに比べ少々シンプル過ぎる、とも感じる。
一方、重要なのはやはり「ゲーム」だ。20本のゲームはどれも面白く、あの時代を思い出す。こうしたゲームが「正規に」「低価格に」「コンパクトに」遊べることが、PlayStation Classicの最大の特徴だ。20本のゲームにどれだけ琴線に触れるものがあるかが、選択のポイントとなるだろう。
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