ミニレビュー

コスパだけで選んだデルの“2in1ノート”が意外と便利だった話

先日、仕事用ノートPCとして、初めて2in1ノートを購入した。ただ、「2in1」という機能が欲しかったわけではなく、選んだ理由は純粋にコスパ。

2in1は、一見普通のノートPCだが、キーボードを液晶の裏側に折りたたむ事で、タブレットとしても使えるのが特徴の製品だ。普通にノートPCを買うつもりだったので眼中になかったのだが、予算15万円以下で13インチ程度の4Kディスプレイ、メモリ16GBのノートPCを探していたところ、デルの「Inspiron 13 7000」の2in1モデルが目に付いた。似たようなスペックで比較すると、通常のノートPCである「クラムシェルタイプ」より安かったのだ。

クラムシェルタイプのほうが高いが、若干軽い。4Kか16GBかどちらかを捨てれば予算内だったが、結局重量を妥協した。正直、かなり適当な選び方をしたので多少後悔するかと思ったのだが、今のところなかなか満足度が高い。

デルの「Inspiron 13 7000」
2in1はキーボードを後ろに折りたためるのでタブレット風に使える

ただ、購入時点では「2in1」機能自体に期待するところはなかった。キーボードを液晶の裏側に折りたためる機構のせいで構造が複雑になって重い。そもそも1.4kg近くあるので気軽にiPadのような使い方ができるとも思えず、デメリットは予想どおり。しかし、iPadとはコンセプトが違うので当たり前だし、そこに文句を言ってもしかたない。

ただ、2in1で良かった、と思ったことがあるので紹介したい。それは、外付けキーボードを使う際、“少しだけ”便利だった、という点だ。

ノートPCでも外付けキーボードを使いたい

筆者は元々ノートPCを据え置きで使う場合、外付けのキーボードを使うのが好きだ。ノートPCのキーボードは独特な配列なものが多いのが嫌なのと、キーボードが摩耗してテカテカしてくるのが嫌だという貧乏くさい理由からだ。どんなにあがいても、いずれはテカテカしてしまうのだが。

実際、このモデルのキー配置も特殊。カーソルキーにページアップ/ダウンキーがくっついていて、押し間違いが多い。

カーソルキーにページアップ/ダウンキーが隣接していて使いづらい

問題はどうやって外付けキーボードを使うかだ。一番良いのが、外付け液晶ディスプレイを繋ぎ、本体は脇に置き、外付けキーボードを使うやり方。デュアルディスプレイにもできるし、一番良いやり方だと思うのだが、会社の環境では液晶ディスプレイが無いので却下。

次に思いつくのは、ノートPCを普通に開いて、ノートPCのキーボードの上に外付けキーボードを載せて使うやり方だ。これは意外と使いやすいが、ノートPCのキーボードを上に載せたキーボードが押してしまう場合があったりするので、機材同士の相性もある。ノートPC側の形状にもよるので万能ではない。今回はまさに「相性が悪い」ケースで、使おうと思っていたキーボードを載せると、勝手にキーが押されてしまうので諦めた。

キーボードの上にキーボードを載せるパターン。今回は使えなかった

ノートPCを奥に置いて、キーボードを手前で使う方法があるが、これだと画面との距離が微妙に遠くなってイマイチ。4Kの13.3インチディスプレイなので文字が小さいため、距離はなるべく近くしたい。

このパターンはディスプレイが遠くなってしまってイマイチ

2in1ならではの方法で解決

ここで、ひらめいたのが、2in1ならではの方法だ。2in1ならキーボードを普通のノートPCとは逆の位置まで曲げられる。それを利用してキーボードを後ろに持って行くことで、本体のキーボードが邪魔にならず、外付けキーボードを使えるのではないかと思った。

最初に思いついたのは下記の写真の通りで、キーボードを完全に後ろに折りたたまず、キーボード面を下に向けて、スタンドのように使う。これだと普通のノートPCと同じ感覚で外付けキーボードを使える。これはなかなかよい、と自画自賛したのだが、Inspiron 13 7000は指紋認証兼電源ボタンがキーボード側にあるのでこれだと押せない。若干不便である。

キーボード部分をスタンドに使う状態。ただし指紋認証キーが押せないなど不便
指紋認証キーはキーボードの右上にある無印のキー

また、液晶ディスプレイの位置はもう少し上に持って行きたい。筆者は肩こりがひどく、あまり前傾姿勢になりなくないので、目線位置を上げる意味もあって、自宅ではノートPCに外付け液晶を繋いで使う。ドライアイ対策で目線はなるべき下にする方がよいともされるが、下過ぎると姿勢が悪くなる気がするので避けている。

まずは目線の位置を上げてみようと思い、適当な空き箱を下に置いてみた。個人的には別にこれでも良かったのだが、通りすがりの人から「ミカン箱か」「自宅みたい」など、あまり芳しくない感想を頂いたので、やはりノート用のスタンドにしよう、と考えた。

適当な箱を置いてみた。あまり評判はよくない

そう思っていたところに、都合良く編集部に転がっていたのがこのノート用スタンドで、サンワサプライの「CR-35」という製品。誰かが使わなくなって放置されていた。やらせかドッキリかと思うぐらい、これが実に都合良く完璧なアイテムだった。

サンワサプライ「CR-35」

本来は下記の写真のように使う。これでもほぼほぼ問題ないのだが、やはりキーボード分、ディスプレイが奥にいってしまう。普通のノートならこれで諦めるところ。

本来の使い方

そこで、2in1ならではの方法で設置するとこんな感じ。これならキーボードが邪魔にならず液晶ディスプレイのように使える。ただし、電源ボタンが押せないのは相変わらず。

普通に置くと指紋認証キーが押せない

そしてこれが最終形態。スタンドのストッパー部分に本体を載せてしまうことで、高さをさらに確保できるだけでなく、電源ボタンも押すことができ、指紋認証も問題無い。すべての問題を解決した状態だ。キーボード部分も浮くので擦らないし、スバラシイ。

最終形態。ディスプレイをより近くで使えて快適

突起部分がゴム製なのでこの状態でも滑りにくいのが良い。また、指を入れられるぐらいほどよい高さと隙間が出来るのも完璧だ。

ストッパー部分に載せてしまうことで指紋認証キーが押せるようになった

予想外の便利さ

結局この状態で2カ月ほど使っているが、今のところなんの問題も無い。本来、ノートPCだったら邪魔になるキーボードを後ろに曲げることができる2in1ならではの方法といえる。ノートPCの液晶ディスプレイ化、というところだろうか。ディスプレイとの距離も適度に保てて、省スペースでもあり、快適である。

やはり見た目はちょっと変なので「何コレ?」みたいに言われることはあるが、ミカン箱よりはマシである。

結局、Inspiron 13 7000もノートPC用スタンドも全く正規の使い方をしていないのだが、使いやすければなんでもあり。ただ、いずれもメーカー推奨の使い方ではないので何かあった時は自己責任だ。真似する人もあまり居ないとは思うが……。

清宮信志