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「とりあえずグラフを入れただけ」の資料はNG 添え書きと色で説得力アップ

ビジネスシーンでプレゼン資料を作ったときに、頑張って作ったつもりでも「結局何が言いたいのかわからない」「データがわかりにくい」などの指摘を受けたことはありませんか? とくに、数値の増減をアピールしたいのに、それをスライド上でうまく可視化できない……なんてことは多いものです。そんな悩みを抱える人でも、説得力を生むための最低限の秘訣を知ることで、相手に伝わる資料を作ることができます。ここでは、ビジネスシーンではよく使う「グラフ」の説得力をアップさせるポイントを紹介します。

この記事は2月20日発売のインプレス刊『一生使えるプレゼン上手の資料作成入門 完全版』(岸啓介 著)の一部を編集・転載しています(編集部)

色や添え書きを活用して「結局何が言いたいの?」がわかるグラフに変身!

グラフでは、重要性の低い情報を減らし、優先度の高い情報を目立たせることが基本です。余計な目盛り、数値、単位など、そのグラフを見る上で、なくてもいい情報は極力カットするのがオススメです。ただし、それだけでは、事実をグラフ化しただけの状態であることが多く、作成者の意図をきちんと相手に伝えることはできません。そこで、しっかりとメッセージを伝えられるグラフにする秘訣を紹介します。

事実をグラフ化しただけのスライド。伝えたいのは「5億円」という数値なのか、AとBの差なのか、それともそれぞれの伸びなのかが、情報が複数あるので、結局何が言いたいのかわからない
タイトル下のメッセージで言いたいことがひと目でわかる。また、Aの部分だけに色付けすることでBに比べ、Aが順調に伸びていることが明確

上の1つ目の作例では、売上の数値が目立つように表現されていて、PowerPointの初期設定の棒グラフに比べると情報が伝わりやすいと感じられます。ただし、それはあくまでも「売上の数値が見やすい」という観点。「この数値だから、何が言いたい」までには至っていません。

そもそもグラフはグラフ自体を見せたいわけではなく、何かを伝えるための素材の1つとして用います。そこで、このグラフで伝えたいメッセージ、つまり何が言いたいのかを明確にしましょう。

1つ目の作例からは、「AとBの合計が伸びている」こと、「製品Aの売上が伸びている」こと、もしくは「製品Bの売上が堅調である」ことの3つが言えます。今回は、製品Aの伸びについて説明するグラフにしてみます。

まず、1つ目の作例では製品ごとに色分けしていますが、このままではどちらが重要なのかわかりにくくなっています。ここでは製品Aに注目したいので、製品Bは灰色にします。製品数が3つ以上の場合でも、重要度の低いものの配色は控えめにしましょう。

また、AとBの売上の合計金額自体はAの伸びを伝える上では優先順位は低いです。目立っていると混乱するので、初期設定に戻し、代わりに製品Aの2023年の売上金額を目立たせます。仕上げに、タイトル下にメッセージを大きく入れます。

こうして完成したのが2つ目の作例です。誰が見ても何を伝えるグラフなのかがわかりやすくなり、説得力が生まれます。

メッセージがわかりやすいグラフにするコツまとめ

  • ただグラフ自体を見せるのではなく、「このグラフから言えること」を強調する
  • いつでも数値を目立たせればいいとは限らない
  • タイトル下にこのグラフで伝えたいメッセージを大きく入れる

伝わるグラフの添え書きレイアウト&アイデア4選

ここまでで紹介したグラフの添え書きは、メッセージの情報量に合わせてレイアウトを変えると見やすくなります。ここからは、グラフの添え書きが見やすくなる4つのレイアウトと見せ方のアイデアを紹介します。

1行メッセージはグラフ上部に入れて目立たせる

1行メッセージをグラフに添え書きとして入れたい場合、グラフ上部に横長でレイアウトすると、読みやすくなります。とはいえ、あまり長い文章だと読むのが面倒になってしまいますし、グラフも圧迫してしまうので、コンパクトにまとめると読み手に親切です。

1行メッセージ+解説は縦配置

メッセージを伝えつつ、それに付随した説明や理由などの情報を追記したい場合は、グラフの右側にメッセージと解説を縦にレイアウトするとスライドがすっきりします。上部横長のレイアウトよりは、情報量を比較的多く入れることができます。

数値の比較は色でも伝える

数値の比較に基づいたメッセージを伝える場合、目立たせたいグラフのデータラベルも同じ色で目立たせると関係性がより明確になります。途中の数値自体を省略してしまう方法もありますが、レイアウトが許す範囲ですべて入れておいたほうが、途中経過がわかるのでより親切です。

色分けで複数の項目をわかりやすく

積み上げ棒グラフのように、伝えたいメッセージの項目が複数ある場合は、凡例と組み合わせた形で、項目ごとに文字や枠線などを色分けして作成すると合理的で見やすくなります。色が似ていると各項目の関連性がわかりにくくなるので、派手になりすぎない程度に異なる色を選びます。

伝わるグラフの添え書きレイアウト&見せ方のコツまとめ

  • グラフの添え書きの情報量によりレイアウト方法が異なる
  • 添え書きはなるべく短くまとめたほうが読み手に親切
  • メッセージの主旨や数によっては色を効果的に使う
一生使えるプレゼン上手の資料作成入門 完全版

・価格:1,980円
・発売日:2024年2月20日
・ページ数:208ページ
・サイズ:B5変型判
・著者:岸 啓介
内容
INTRODUCTION 一発OKがもらえる資料とはどういうものか
LESSON 1 資料の「説得力」が高まる構成の基本
LESSON 2 言いたいことが伝わるスライドの基本
LESSON 3 OKを引き出す! グラフと表の効果的な使い方
LESSON 4 ビジュアルを使って見やすい資料にチェンジ
LESSON 5 見た目のイマイチを整えるテクニック
LESSON 6 資料作りがラクラク! パワポの便利ワザ
LESSON 7 パワポで作れるビジネス資料&動画アイデア