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日本の成長は「防衛産業」に 米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツが日本展開
2026年10月7日 19:03
米国の大手ベンチャーキャピタルであるアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)は7日、日本オフィスを開設し、日本への投資を本格展開した。日本のエコシステムとの連携を通じ、AIネイティブな経済発展の加速などを目指すという。重点領域は「防衛」「ロボティクス」で、日本代表には日本マイクロソフト社長や日本ヒューレット・パッカード社長などを歴任した吉田仁志氏が就任した。
アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)は、シリコンバレーを拠点とし、テック関連では世界で最も影響力のある大手ベンチャーキャピタル(VC)ファンドのひとつ。Facebook、Twitter(X)、Airbnb、Stripeなどの初期の投資家としても知られ、現在は複数のファンドを通じ1,000億ドル(15.8兆円)規模の資産を運用している。
Webブラウザの元祖ともいえるNetscapeを設立したマーク・アンドリーセン氏と、起業家・投資家のベン・ホロウィッツ氏が創業。共同創業者のホロウィッツ氏は「ハード・シングス」などの書籍の著者としても知られている。また、ポッドキャストやレポートなどのメディア的な活動も積極的に展開している。
5月には高市総理大臣や赤澤経済産業大臣らとも会談し、a16z初の海外拠点として東京オフィスの設置を発表。日本の起業家育成とともに、日本への投資を拡大していくとしていた。
日本で重点投資する「防衛」「ロボティクス」
今回日本オフィスの設立にあわせて、日本での投資を強化するほか、米国の投資先の日本展開のサポートや、日本の投資先の海外展開の支援などを行なっていく。重点領域としては、「防衛テクノロジー」「ロボティクス」「AI」「エネルギー」などを挙げている。
特に力を入れるのが「防衛」だ。日本政府は、安全保障環境の変化に対応するため、米国の求めもあり防衛費を増やしている。また、防衛装備においても、従来型の高額な装備から、コスト効率の高いドローンやAI制御技術などの重要性が高まりつつある。
ホロウィッツ氏は、「防衛・戦争において、200ドルの安価なドローンや自律型システムなどから社会を守るために100万ドルのミサイルが必要といった非対称が生まれている。また、AIによって制御される自律型兵器やシステムの重要性が増している。こうした中で、新しい企業においては、大きな機会が生まれている」とする。
またロボティクスにおいても、日本はモーターや部品など、ロボットのサプライチェーンや技術基盤において世界的にも重要な国であり、多くの企業・技術が存在する。こうした技術とともに、米国企業が強みを持つ「自律型システムのための制御ソフトウェア」と、日本が強みを持つ、「ロボティクスのサプライチェーンやハードウェア技術」を連携することが、大きな意味を持つという。
米国の防衛産業から日本のパートナーを求める声もあり、双方に成果をもたらせると説明。「国際的なパートナーシップは同盟国である必要がある」とホロウィッツ氏は語る。
日本の課題としては、ソフトウェアが主導した20年に遅れを取ったこと、AI時代に言語という障壁が無くなることで、海外との競争はより厳しさを増すことなどから、物理世界の機会を活かすことが必要と説明。一方、この10数年でスタートアップへの興味は高まっていることも重要で、a16zの日本展開を後押ししたとする。
変わる安全保障環境に対応するために
日本事業を統括する吉田仁志氏は、日本の起業家を育てるとともに海外展開の支援などに力を入れる方針を説明。「自分が社会にデビューしたときより、引退するときが良い社会になってほしい。私が社会人になった当時の日本には元気があったが、失われた30年と呼ばれる時間を経て、いまの若い人たちに、『今がいいよ』と言えるかというと疑問も感じている。a16zを通じて、若い優秀な人が存分に力を発揮し、日本の社会に切り込み、スキルを活かして、社会の基盤をつくっていくことを支援したい」と語った。
また、a16zの強みとして、「単に投資をするだけでなく、投資先やネットワーク、顧客企業との関係が広くて深い。それらをプラットフォームにまとめ、成功までサポートしていく。エコシステム、サステナブルなサイクルを持っている」とし、a16zの投資実績がそれを示しているとした。
投資先の選定については、大企業や大学にいる「優秀な若手人材」のトラッキングを行なっているほか、日本のVCとも連携しており、その出資先をa16zに紹介するといった形を想定。単に資金を共有するだけでなく、a16zがもつ顧客候補や人材、パートナーシップなどのネットワークを活用して成長を見込める企業などを見極めていくという。
防衛については、中国や北朝鮮などによる安全保障上のリスクが高まる中、「米国と連携できる技術が重要」(ガバメント・アフェア担当のアン・ニューバーガー氏)としており、具体的には、ドローン技術、アンチドローン技術、ロボティクス、新たなサイバー防衛・攻撃機能などを重視していく。また、日本の船舶や航空宇宙産業にも注目しているという。
a16zが防衛やロボティクスを投資対象として重視している一方、日本においては、戦争だけでなく「防衛」という言葉にも忌避感を覚える人が多いように見える。そうした質問に対し、吉田氏は「日本では、長年平和に過ごしてきたため『防衛』に違和感を持つ人はいるかもしれないが、日本の技術基盤を守り、若手が挑戦できる環境を作ることは必要。また、安全保障環境の変化にあわせて、民間における防衛技術の重要性や理解も変わっていくだろう」と言及した。
ホロウィッツ氏も、「(戦争や防衛に対し)人々が居心地の悪さを感じるのは当然のこと。しかし、日本においても中国や北朝鮮といった地域的な懸念・脅威が存在し、新しい攻撃者に備えることが重要だ。だから防衛を整え、脅威が現実のものにならないよう願う」と言及。アン・ニューバーガー氏も、「米国では『力による平和(Peace through Strength)』という概念が語られる。過剰な戦争を望むのではなく、国が十分な抑止能力を持つことが重要であり、新しい民間技術やAI自律システムがそれを支えることになる」と回答した。






