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ローソン銀行ATMはなぜ「現金チャージ」を強化するのか

ローソンゲートシティ大崎アトリウム店に設置された新型ATM

ローソン銀行ATMの新型機の導入が始まった。1月22日から一部店舗で導入を開始し、現在は5店舗に設置。試行期間を経て、全国のローソン店舗で順次導入を進める。ローソン銀行は、30日に報道向けの説明会を開催し、ローソンゲートシティ大崎アトリウム店の新型ATMを披露した。

新型ATMは、2024年7月から流通予定の新紙幣に対応。最大の特徴は、NFCを搭載し、QRコード決済やコード決済アプリや非接触カードへの現金でのチャージに対応すること。また、マイナンバーカード等を使った行政サービス連携も今後対応予定となっている。

ローソン銀行の鶴田直樹社長は、「店舗のキャッシュレス化が進む中、新しいニーズとしてATMの価値が高まっている。ATMをリアルな接点として、ローソンというリアル拠点ならではの価値を追求している」と新しいATMの狙いを説明。多くの金融機関がATM網の縮小を進める中、ローソン銀行ATMなどの“コンビニATM”はそれらを置き換える形で増加傾向にある。ローソン銀行でも、ATMと親和性の高い商業施設や流通事業者を中心に“コンビニ以外”での設置ニーズの取り込みを狙う。

ローソン銀行 鶴田直樹社長

その一つの要因となっているのが、キャッシュレス決済の進展に伴うATMからアプリへの「現金チャージ」ニーズ。ATMの利用件数は、2019年上期と2023年上期の比較で15%増加しており、その中でもATMチャージが増加。総利用件数の16.4%(2023年9月末時点)がATMでの現金チャージが占めている。つまり、現金とキャッシュレス決済を“つなぐ”役割として、コンビニATMが使われており、新型ATMはこうしたニーズへの対応を強化したものとなる。

ATM利用の16.4%が現金チャージ
NFC対応で現金チャージニーズの取り込み

あわせて大きく伸びているのが「海外送金カード」。コロナ5類への移行や円安による訪日客の拡大により、利用件数は2020年12月のサービス開始時から2023年9月には約174倍に増加。提携事業者も11社まで拡大した。また、ローソンのお店で働く外国人も増えており、店員を含めた在留外国人にニーズに応えるためにも、海外送金対応を強化していく。

ATMでPontaアプリを読み取り、Pontaポイントを加算する「ぽんたまATM」にも対応。さらに今後は新たな金融サービス対応なども進める方針。

筐体デザインは、車いす利用者でもアクセスしやすいよう、奥行きや足元部分の形状を工夫。操作パネルも画面の表示位置を下げられる「低位置表示」ボタンにより、車イスや身長の低い人でも操作しやすくするなど、ユニバーサルデザインに配慮した。

7月から発行される新紙幣にも対応。なお、従来のローソン銀行ATMもソフトウェアアップデートで新紙幣に対応予定。

新型ATMの導入スケジュールについては、先行店舗での施行期間の結果を見ながらエリアや台数を調整していくが、本格展開は2024年度からとなる。新型ATMの製造委託先は富士通。