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Google、「Bard」の数学やコーディング応答精度向上

Googleは7日、会話形AIサービス「Bard」の2つの改良を発表した。「暗黙のコード実行」と呼ばれる新しい技術によって、数学的なタスク、コーディングの質問、文字列操作を強化したほか、Google Sheetsへの新たなエクスポートアクションを追加した。例えば、「動物保護施設のボランティア登録のための表を作成して」と依頼してBardがその回答で表を生成した場合、その表をSheetsに直接エクスポートできるようになった。

暗黙のコード実行(implicit code execution)と呼ぶ新しい技術を搭載。Bardが計算プロンプトを検出し、コードを実行するのを補助し、数学的なタスク、コーディングの質問、文字列操作のプロンプトに対し、より正確に応答できるようになったという。

具体的には以下のようなプロンプトにより、高い精度で応えられるようになった。

  • 15683615の素因数は何か?
  • 私の貯蓄の成長率を計算する
  • 「Lollipop(ロリポップ)」という単語を逆さまにして

Bardなどが採用する「大規模言語モデル(LLM)」では、プロンプトが与えられると、次に来るであろう単語を予測して応答を生成する。そのため、言語や創造的なタスクでは優秀だが、一方で推論や数学のような分野では弱いという。

そこで、速く、直感的に思考するシステム1(LLM)と、ゆっくり、じっくりと思考するシステム2(従来のコード)を組み合わせる仕組みを提案。特に、数学的な計算は、システム2に近いことから、よりよい結果をもたらすという。この仕組みを「暗黙のコード実行」と名付け、Bardの回答精度を向上した。

暗黙のコード実行により、Bardは論理的なコードが有効なプロンプトを特定し、その結果を使用して正確な回答を生成する。この方法によって、計算ベースの単語や数学の問題に対するBardの回答の精度が、約30%向上しているという。一方、プロンプトの回答を助けるコードを生成しない、生成したコードが間違えているといったケースもあるとのこと。

Googleでは「構造化されたロジック主導の応答ができるようになった。Bardをより便利なものにするための重要な一歩」としている。