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マイナンバーカード、最短5日で再交付へ。「資格確認書」は1年限定

厚生労働省とデジタル庁、総務省などによる「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」の中間とりまとめが17日に発表された。「最短5日」でマイナンバーカードを再交付できる仕組みや、子供や介護が必要な人、障害を持つ人など、自分だけではマイナンバーカードを取得できない人のサポートなどの施策が盛り込まれた。

政府では、マイナンバーカードを「本人確認ができるデジタル社会の基盤」と位置づけ、普及促進している。その中でも、マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、「2024年秋」を目処に現在の保険証の廃止を目指している。一方で、積極的な推進により、国民が対応できない事態を防ぐため、対策を検討している。

保険証一体化のメリット

マイナンバーカードと健康保険証一体化のメリットの一つが、「オンライン資格確認」。医療機関・薬局の窓口で、患者自身の直近の資格情報)加入している医療保険や自己負担限度額)が確認可能になる。また、本人が同意すれば、過去の薬剤情報や特定健診情報などを医療機関や薬局に提供できる。

これにより、利用者自身のこれまでの薬剤服用歴などを正確に網羅的に医師に説明できるようになるため、説明の時間を省きながら、過去の健康・医療データに基づいた適切な医療を受けられるとする。

また、「転職・転居等による保険証の切替えや更新が不要」「窓口負担が安くなる」といったメリットもある。マイナンバーカードを利用した場合、患者負担が6円安くなる(4月から12月までは12円)。

医療機関も正確な患者情報の取得に加え、顔認証などの確実な本人確認とともに資格確認を一度にでき、システムへの資格情報の入力等の手間の軽減などが図れる。中間とりまとめでは、「まずはこうしたメリットを丁寧に国民・医療関係者へ伝え、マイナンバーカードと健康保険証の一体化の理解を求めていくことが重要」とする。

最短5日で再発行。出生届と同時にマイナカード申請

一方で、現状課題と認識されているのが発行・再発行の時間。マイナンバーカードでは平時でも発行に約1カ月、申請が集中している時期には2カ月以上かかる場合もある。そのためカード紛失時など、健康保険証が使えない等の問題が起きることも想定される。

こうした問題に対応するため、紛失時などに市町村の窓口に来庁し、申請を行なう「特急発行・交付」において、発行期間を短縮。カードの発行主体であるJ-LISから申請者に直接カードを送付し、申請から1週間以内(最短5日)で交付できる新たな仕組みを導入する。2024年秋までに、新生児、紛失等による再交付、海外からの転入者(約150万枚/年)を含め、合計360万枚/年(約1万枚/日)まで対応できる体制を構築する。

また、乳幼児のマイナンバーカードについても、申請・交付手続を見直す。具体的には、出生後すぐにカードを交付できるよう、出生届の提出にあわせてカード申請を行なえるようにし、特急発行の対象とする。1歳未満でのカード申請では、顔写真がないカードを交付する(有効期間は5歳の誕生日まで)。

障害のある人など、マイナンバーカードの取得が難しい人に対する、代理交付や申請補助などの環境整備も進める。

代理交付を幅広く活用できるようにするため、交付申請者が庁舎に出向くことが難しい場合に代理交付ができるケースを、従来より幅広く拡充し明確化。また、本人確認書類や顔写真証明書類の作成主体の拡充や明確化も検討し、申請手続の負担を軽減する。

さらに申請補助・代理での受取を行なう場合に向け、施設職員や支援団体等に、申請・代理交付等の支援の協力を要請。申請のとりまとめや代理での受け取り等に対する助成を行なう。

顔写真についても、宗教上の理由で顔の輪郭が分かる範囲で頭部を布などで覆う写真を使用する人や、乳幼児、障害のある人、寝たきりの人など、定められた規格(正面、無帽、無背景)を撮影できない場合でも申請しやすくする。現在は、申請書の氏名欄に理由を記載するか、マイナンバー総合フリーダイヤルに連絡することで使用可能としているが、こうした対応を年度内に改めて周知する。

暗証番号についても、設定に困難を抱える申請者に対しては、顔認証による使用を前提とする。

健康保険証の代わりに無償の「資格確認書」

健康保険証廃止後の資格確認では、「マイナンバーカードによるオンライン資格確認」が基本となる。

マイナンバーカードによるオンライン資格確認を受けられない場合は、氏名・生年月日・被保険者等記号・番号・保険者情報等が記載された「資格確認書」を発行する。この資格確認書は基本的には紙になり、有効期間は最長で1年。期間は各保険者が設定する。資格確認書の発行は、現行の保険証と同様に無償。

現在の発行済みの健康保険証は、廃止後1年間は有効とみなす経過措置を設ける。