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フードデリバリーから飲食店のDX民主化へ。新「Chompy」

渋谷駅圏内など都内を中心にフードデリバリープラットフォームを展開しているChompyは、飲食店向けに新たなサービス「Chompy」(チョンピー)を開始する。

新サービスの「Chompy」は、小規模な飲食店でも高機能な公式アプリやWebサイトを持てるようになるサービス。公式アプリの提供やWebサイトを開設でき、モバイルオーダーやデリバリー、決済、クーポンといったサービスをオールインワンで提供できるようになる。お店のファンとのつながりをもちたい、リピーターを増やしたい、常連さんに快適に利用してもらいたいといった飲食店側のニーズに応えるものとなる。

今回のタイミングではベータ版だが、すでに6ブランドが導入、それぞれ提供を開始しているほか、50ブランド以上に導入が決定しているという。店舗側のサービスの利用にあたって初期費用・月額費用は無料で、エンドユーザーが利用した際の取引手数料のみがかかる。

アプリはオールインワンとして、モバイルオーダー、イートイン、テイクアウト、デリバリーなどの注文・決済サービスをカバー。必要な機能やデザインはカスタマイズが可能で、通知、スタンプ・クーポン、サブスク(月額制)などのマーケティング機能も備える。予めフォーマットが用意されており、従来は提供開始までに2~3カ月は必要なこれらのサービスを最短1週間で提供可能にする。なおデリバリーについては対応する地域のみとなるが、それ以外の機能は全国の飲食店が利用できる形。

店舗側の費用は、エンドユーザーによってサービスが利用された場合にかかる取引手数料のみ。これには決済手数料が含まれており、イートイン・テイクアウトで6%、デリバリーで16~26%となっている。イートインはキャンペーンにより当初は4%になる。

Chompyのベータ版を利用しサービスを提供しているのは、カレーの「北海道スープカレー Suage」、惣菜の「ototo DELI」、パンの「Bricolage bread & co」、サラダの「イテウォンボウルズ」、カフェの「FineDays」、カレーの「ゴーゴーカレー」、サラダの「GRIT TODAY」。

大手に掌握されるDXを“民主化”

Chompyは、渋谷駅3km圏内などエリアを絞り込んだフードデリバリープラットフォームとして事業を開始、23区内を中心としてサービスエリアを拡大していた。こうしたポータル型のフードデリバリープラットフォームは今後も重要になる局面が来るとして事業を継続する一方、今回発表した飲食店向けの公式アプリ/Webサイトの無料開設サービスの事業を「第二創業」と位置づけ、注力していく方針。

同社の推計によると、フードデリバリープラットフォームは利用が拡大し普及が進む一方、それを上回る勢いで参入店舗が増え、参加1店舗あたりの売上は右肩下がりになっているという。

またUberや出前館といったプラットフォーム間の競争の激化で、手数料には少なくない割合でプラットフォーマー自身の広告宣伝費用が常時含まれているほか、参入店舗(ブランド)間の競争や囲い込み施策も激しくなり、プラットフォーマーにとってはありがたい、店舗側の持ち出しで割引やキャンペーンを打つ、資本力のある店舗が人気を得やすい構造になっているという。

特に小規模な店舗側にとっては、どのようなプラットフォームを使うかは問題ではなく、ファン・リピーターが増えることが本質的で重要であるものの、現在のはほとんどのデータをデリバリープラットフォーム側が掌握、店舗は顧客との接点がなく“顧客が見えない”状況としている。

一方で、ユーザーにおいては、フードデリバリーサービスが目新しいものではなく日常的な存在になると、ヘビーユーザーでも特定の2~5店舗を繰り返し使うことが多いという傾向が明らかになっているという。

こうしたことから同社は、小規模な店舗であっても、大規模なデリバリープラットフォームに依存することなく、モバイルオーダーやデリバリーのサービスを利用できるようにして、素性の分かるリピーター・ファンに向け、コミュニケーションを図りながら本質的なサービスを提供できるのがChompy、と位置づけている。