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脳卒中や心疾患を早期発見する“家”。積水ハウス【CES2020】

積水ハウスは、脳卒中や心疾患などを早期に発見する“家”の実現を目指す。「在宅時急性疾患早期対応ネットワーク HED-Net」として、2020年中に生活者参加型のパイロットプロジェクトを開始する。

HED-Netは、住宅のリビングと主寝室に非接触型のセンサーを配置し、心拍と呼吸数を検知する。

天井に非接触型のセンサーを備える
異常検知のアルゴリズムを開発

住む人のバイタルデータから脳卒中や心疾患などの可能性がある異常を検知した場合、緊急通報センターに通知する。オペレーターが呼びかけで安否を確認し、確認できない場合は、救急への出勤を要請。さらに救急隊が到着後には、玄関ドアの遠隔解錠・施錠までを一貫して行なう。同サービスは「安否確認システム」として国内のシステム特許を取得し、国際特許も出願中という。

CES 2019で「プラットフォームハウス構想」として発表したプログラムの一部で、地域や人数を限定し、数十戸の住宅で2020年内に実際の住環境で運用を開始する。住み手にストレスを掛けないために、非接触型センサーを採用。また、遠隔解錠・施錠技術やセキュリティ、救急への出動要請などは、パートナーとの連携して実現予定で、コニカミノルタやNEC、NTTコムウェア、プレミア・エイドらが参加する。

積水ハウスがHED-Netを推進する理由は、脳卒中をはじめとした急性疾患の「早期発見の重要性」。日本の脳卒中の年間発症者数は約29万人で、そのうち79%が家の中で発症している。脳卒中は、早期の治療が重要で、発症から4.5時間以内の患者を対象とした「t-PA」という有効な治療薬もある。しかし、家での発見の遅れから年間約1.5万人が住宅内で死亡していると推計される。HED-Netにより、家での急性疾患発症の早期発見・緊急対応が可能となる社会を目指す。

プレゼンテーションでは、エアバッグやABS(アンチロックブレーキシステム)の普及が交通事故死者数の減少につながっていることにも触れ、HED-Netでも急性疾患の領域で同様の効果の達成を目指すとした。また、HED-Netを始めとするプラットフォームハウス構想の実現により、要介護者・介護離職者の減少に貢献し、医療費の削減を図る。

パイロットプロジェクトは同社関係者を対象に数十戸規模で実施。急性疾患の検出が主目的ではなく、実環境での誤検出の有無や精度向上、出動要請のフローの確認などを想定しているとのこと。

事業化は、パイロットプロジェクトの完了以降になるが、開始当初は積水ハウスの戸建て住宅の付加価値として展開。将来的には他の住宅メーカーへ供給や供やHED-Netのプラットフォーム展開なども検討していく。

このHED-Netは、同社のプラットフォームハウス構想の第1弾。今後は「経時変化」や、病気の予兆などを検知する「予防」などの領域にも拡大。様々なバイタルデータの取得では、家電製品やヘルステック製品などとの連携も想定し、パートナー企業を募っていく。また、「健康」に加え、「つながり」「学び」へのサービス開発も予定している。