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電動のこぎりで身体の一部を切断する事故を受け注意喚起。消費者庁

消費者庁は、電動のこぎりおよび電動丸のこは使い方を誤ると手指を切断するなどの事故につながるとして、使用方法について注意喚起をしている。中には、大腿部の受傷に伴う出血多量による死亡事故が起きているという。

電動のこぎり
電動丸のこ

「電動工具(丸のこ)を使用していたところ、何らかの理由により、右大腿部を負傷し、死亡」として、電動のこぎりによる重大事故等が、消費者安全法第12条第1項の規定に基づき、2019年6月26日に通知。また、医療機関ネットワーク事業に参画する医療機関から、電動のこぎりに関する事故情報が2010年12月から2019年6月末までに87件寄せられているという。

被害者の年代別の傾向では、年代が上がるほど事故情報の件数が多くなり、全体の61%は60代以上であるとしている。

被害者の年代(消費者庁資料)

被害者の危害部位別では、手指の受傷が最多、次いで大腿・下腿が多い。

危害部位及び危害程度(消費者庁資料)

電動のこぎりを使用する際の注意点として、以下の5項目を挙げている。

  • 使用する前には取扱説明書を必ず読み、書かれている注意事項を必ず守りま
    しょう
  • 意図しない方向に刃が跳ねる可能性を認識して慎重に作業しましょう
  • 作業は明るく整理整頓された場所で行ないましょう
  • 作業は適切な服装で行ない、防護めがね、防じんマスク、耳栓などの安全防護
    具を利用しましょう
  • 家族などへ声を掛けてから作業を開始しましょう

電動のこぎり・丸のこによる事故の原因の1つとして、「キックバック現象」を挙げる。キックバック現象とは、材料の反りやたわみによって刃が詰まって動かなくなったとき、その反動で電動のこぎり本体や材料が作業者側に跳ね飛ばされるもの。作業者が意図しない方向へ電動のこぎり本体が突然飛ばされ、大きな事故の原因となるという。

国民生活センターの再現テストによれば、電動のこぎりでゴム製の板を切ったところ、途中で材料が切れなくなり、電動のこぎり本体が暴れだし手前に飛ばされたという。

電動のこぎりでの再現テスト(国民生活センター)

また、電動丸のこで木材を切断中、刃の回転が遅くなり、10数センチ手前に戻されたという。

電動丸のこでの再現テスト(国民生活センター)

キックバック現象による事故を防ぐためには、切断中に材料が反ったりたわんだりしないよう、固定できる場合には材料をクランプや万力などで固定し、電動のこぎり本体は確実に保持して作業することが重要としている。

また、刃が詰まって動かなくなったときは、無理に刃を材料に押し付けたりせず、スイッチを切り、のこ刃の動きが止まってから刃を抜くよう、注意を促している。