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AIが人の目の代わりになる!? 文字と画像を識別・比較して間違いを見つける校正システム

「校正」という言葉をご存知だろうか。文字や写真などに間違いがないかをチェックする作業で、紙メディアでもWebメディアでも、印刷や公開をする前に必ず行なっている。この作業は大きな時間と集中力を要する上に、人が行なっていることであるがゆえに見落としなどのミスをゼロにすることはできていない(すみません、気をつけます)。この校正にAIを利用するシステムを、方正とアスコンが共同で開発した。

今回開発されたのは、チラシ校正支援システム。チラシ原稿の文字データと制作結果の画像データを、AIが自動識別・比較することで校正漏れを発見するシステムだ。すでにアスコンのチラシ制作現場で実運用検証段階に入っているという。

システム開発の背景には、アスコンが抱えていた経営課題にある。アスコンは、スーパーマーケットやドラッグストアなどのチラシ制作・印刷や店内プロモーションの支援を行なっている。通常、折込チラシの制作は、発注主であるスーパーやドラッグストアと制作会社の間で3~5回の校正やり取りがあり、その際に発注主からは最新の価格情報を含めた商品情報がExcelなどで提供。制作会社はそれらの変更を反映し、PDFで校正データとして発注主に戻す。

制作オペレーターは、訂正原稿と最新の制作データを目視で照らし合わせながら変更作業、確認を行なうが、訂正漏れがゼロにはならない。最終制作物に誤りがあると、制作会社は発注主からペナルティを課される場合もあり、アスコンにとっては大きな経営課題であったという。

アスコンの経営課題を解決するために、長年協力関係にあった方正と共同で開発に取り組んできたのが今回のAI校正システムで、チラシ制作で利用している実際の運用データを用い、POC(Proof of Concept・概念実証)を繰り返すことで実現したとしている。

方正 代表取締役社長 管祥紅(左)とアスコン 代表取締役社長 中原貴裕(右)

今後AI学習を継続することによって校正精度を高め、全国の印刷会社や制作会社が利用できる校正支援サービスを共同で運営する計画。サービスモデルを想定した特許の出願を2社共同で済ませているという。