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2010年9月29日

いつもの音楽がもっと楽しめる!?
超小型の「ヤドカリ」スピーカー
「DN-VSP26WB」を使ってみた

 

上海問屋がラインナップする豊富な周辺機器の中から、旬の一品を紹介するこのコーナー。今回は、同社が最近密かに力を入れている(と筆者が思う)、オーディオ関連のアイテムの中から、変わり種スピーカー「DN-VSP26WB」をご紹介しよう。今回も上海問屋らしい、遊び心と実用性を兼ね備えたアイテムだ。

置いた周辺の板から音を出す
「ヤドカリ的」スピーカー

DN-VSP26WBの本体。本文でも紹介したが、ほとんどの人は、見た目からはスピーカーであるとはわからない形状だろう
内蔵アンプの音量調整は、付属のコントローラボックス(右)で行なう。調整はボタン式だが、目安となるランプなどはない。このあたりはできれば改善してほしいところだ
コントローラボックスの3つ並んだボタンは、写真左側から音量アップ/電源オン・オフ/音量ダウンだ。消音(ミュート)ボタンがないのが残念なところ

本機の特徴は、外観と動作原理にある。まずは最初の写真をご覧いただきたい。本体は、直径5cm、高さ5.2cmの円筒形になっているので、ぱっと見ると超小型スピーカーのように思える。

しかし本機は、正確にはスピーカーの一部でしかない。というのも本機は、本来はスピーカーが音を出すために必要な「振動板」を持たないからだ。

では振動板はどこにあるのか? というと、身の周りの机や床を使うのだ。つまり本機は、身の回りのものから振動板を借りる、ヤドカリ的なスピーカーなのだ。

本機の底面には振動板となった板や床に振動を伝えるように設計された「振動子」と呼ばれる部品が取り付けてあり、これを介して振動板を奮わせて音を出すのである。

また、本機の振動子には、粘着性のあるシリコン素材が貼り付けられている。これにより、机や床にピッタリと取り付けられ、設置後にもほとんどずれない。ただし本体重量が420gとそこそこ重いため、壁に貼り付けることはできない。

さて、こうした変わり種のオーディオ関連製品で真っ先に気になるのは「面白いのはいいんだけれど、音が悪いんじゃないの?」という点だろう。

これは筆者の主観も入るが、「高価なスピーカーにはかなわないものの、取り付ける場所を選べば、3,999円(税込/送料込)という価格なりの音が出せると感じた。

こう紹介すると、「取り付ける場所を選べば」という点が気になると思う。しかしこれは、「構造上、どこでもいい音で聞ける」というわけにはいかない……というニュアンスに近い。実は本機、意外と汎用性が高いのである。

本来振動板は、平らで固く、面積の広い板が理想的なのだが(低音が良く出るようになる)、本機は設計が上手いのか、たとえば段ボール箱などに付けても、そこそこの音を出してくれる印象だ。

また、周りに適当な場所のない場合の保険(?)として、本機の外箱が非常に便利に使える。というより、実はこの外箱、振動板としてかなり優秀だ。素材と作りが非常にしっかりしていることから、どうも組み合わせを想定しているのではないか? と思えるぐらいだ。

実際に購入した方が使われる場合、まずは外箱を使って音を鳴らしてみてほしい。そして、その音を基準に、ぜひいろいろな場所や素材の違いを楽しむ、というのがオススメだ。こうした「取り付け場所の素材や構造による、音の違いを楽しむ」という楽しみ方、これは、ほかのスピーカーではなかなか味わえない音楽の楽しみ方だ。

使いこなしには注意点アリ
安定な場所での利用が吉

入力端子は直径2.5mm仕様。コントロールボックスから付属コードで配線する。ちなみにボックス側には、出力端子のほかに、3.5mm仕様のライン入力端子と、DC入力(ACアダプタと接続)が用意される
本体の大きさを、ペットボトルの蓋(手前)や初代iPod nano(右)と比べてみたところ。かなり小さなモノであることがおわかりいただけるだろう

このように、本機は非常に面白いコンセプトのスピーカーなのだが、それゆえに注意してほしい点もいくつかある。いくつか紹介しておこう。

まず大事なのは、モノラルスピーカーであるということ。入力ケーブルなどはステレオ対応なので、「片方の音しか聞こえない」という事態にはならないが、ステレオとしては使えない。これはおそらく、1枚の板に、ステレオで聞こえるような距離で2個の本機を設置すると、お互いの振動が干渉してしまうからと思われる。

また、置く場所の安定性が悪かった場合、音が割れたり、濁ったりする点にも注意したい。

本機は見た目からは意外なほど、低音が入力されたときの振幅が大きい(手を触れると勢いよく振動する)。これはおそらく、一般のスピーカーと比べて原理的に低音が出しにくい分、アンプ側で低音を増強しているためと思われる。

こうしたチューニングは安定した場所に置く際は、音質的に好ましいのだが、不安定な場所に置くと、音割れや濁りといったデメリットとなってしまう。

また、周囲の音量にも注意が必要だ。というのも、本機のアンプ出力は定格(連続して出せる出力)26Wと強力で、なおかつ一般的なスピーカーとは違い、周囲360度に音を出すため、比較的距離を開けても、意外と大きな音が聞こえてしまうため。周囲の環境によっては、オープンエア型のヘッドホンのように、音量の気配りをしたい。

こうした点に注意すれば、本機は非常に遊び心あふれるスピーカーとして、かなり面白いアイテムだ。価格的も比較的手頃なので、コンセプトに興味を持った方は、是非とも試してみて欲しい。

なお、姉妹モデルとして、アンプ出力が3Wと小さい「DN-VSP03WR」が用意されている。こちらは2,999円とさらに安価だ。ただし本機を使った実感からすると、3Wでは出力が小さく、ソースや設置場所によっては小さい音しか出ない事態が考えられる。筆者としては本機の方がオススメだ。

■全方位対応 無指向性振動スピーカー (26W ブラック)
DN-VSP26WB 製品情報

http://www.donya.jp/item/18341.html

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