こどもとIT

GIGAスクール、コロナ、プログラミング……2021年に注目を集めた記事(通常編)を振り返る

早いもので2021年も、あと数日となりました。今年最後にお届けする記事は、「こどもとIT」でこの1年間(2021年1月1日~12月25日)にアクセス数の多かった記事をご紹介します。年末年始の休暇に2021年の振り返りとして、ご覧いただければ幸いです。

全体的なアクセス数の傾向としましては、教育版マインクラフトに関する記事が非常に多く読まれ、「教育版マインクラフトで遊んでみた!充実の教育向けワールドからマルチプレイまで一挙解説」という記事が2021年のランキング1位に輝きました。教育版マインクラフトは今年5月のアップデートで、プログラミング教室や学習塾、非営利団体など、学校以外の教育機関や組織にライセンス提供が広がり、さまざまな教育関係者らの関心が高まったことが考えられます。

ほかにも、トップ10には教育版マインクラフトに関する記事が多くランクインしましたが、別のトピックもお届けしたく、「通常編」と「マイクラ編」に分けて2021年注目記事を紹介します。

GIGAスクール構想が本格始動した今年、読まれた記事は?

1位:「ガチガチiPad」から、生徒の好きな端末のBYODにした理由は?――湘南学園中学校高等学校の取り組み(前編)

なんと通常編で1位を獲得したのは、2021年に公開した記事ではなく、2020年7月に公開したこちらの記事になりました。GIGAスクール構想が本格的に始まり、学校現場では端末をどのように活用していくのか、安心・安全を守る「制限」と活用を広げる「自由度」の匙加減に頭を悩ませた教育関係者が多かったのかもしれません。また高校の1人1台環境整備も今年は注目の話題であったことから、BYODを実践する湘南学園の記事が非常に多く読まれました。

2位:子どもがスマホゲームを勝手に課金したとき、どうすればいい?

2位にランクインしたのも、2021年の記事ではなく、2020年9月に公開した記事になりました。こちらの記事は2020年の公開当時はアクセス数も目立っていませんでしたが、2021年になってから、じわじわとコンスタントに読まれるようになってきました。子どもたちのスマホ利用においては、ゲームアプリの課金がいつも問題になりますが、今年はそれに加えて、動画サイトのライブ配信で「投げ銭」のブームも広がり、課金のトラブルを心配する保護者が増えたようでした。

3位:大学入試用の日本語プログラミング言語「DNCL」に高校教育はどう対応するべきか?――手続き型のDNCLだけでなく、「社会で使える学習」のためにオブジェクト指向を

3位は、高校のプログラミング教育に関する記事がランクイン。2022年度から高校では「情報Ⅰ」が必履修科目となり、すべての高校生がプログラミングを学びます。また2025年度以降の大学入学共通テストでは、「情報」が出題されることも決まりました。こうした中、「大学入学共通テスト手順記述標準言語(DNCL)」に、日本語プログラミング言語「なでしこ」が対応したというニュースが発表。高校のプログラミング教育はどのように考えていくのが望ましいのでしょうか。現場の教員に語ってもらった記事は多くの読者に読まれました。

4位:不登校でも"出席"できる! 制度の利用方法と、人一倍敏感なHSCの子との関わり方――すららイベント「出席扱い制度説明会、HSC関わり方講座」

4位は不登校の子どもを持つ保護者を対象に、すららネットが開催したイベント「出席扱い制度説明会、HSC関わり方講座」のレポート記事が選ばれました。さまざまな理由で学校に通うのがむずかしい不登校の児童生徒は年々増えていますが、デジタル教材などを活用した自宅学習で”出席扱い”になる制度があり、その詳細を説明しています。また近年、子どもたちの間でも増えている「Highly Sensitive Child/Person(ハイリー・センシティブ・チャイルド/パーソン)」も取り上げ、保護者としてどのように関わっていくのが望ましいか、専門家の話を紹介しました。

5位:課題山積みでスタートしたGIGAスクール構想、学校現場は今どうなっているのか?――「GIGAスクール構想 現場のホンネ覆面座談会」レポート(前編)

日本の教育に大きな変化をもたらしたGIGAスクール構想。学校現場では、ICT活用を広げようとさまざまな取り組みが進められる一方で、これまで直面したことがない課題も出てきています。GIGAスクール構想はどのように進めていくべきか。現場の教員や管理職、行政担当者や有識者など豊富な知見を持つメンバーが集結して「覆面座談会」を開催。現場で起きているリアルな課題や当事者の生の声を、前編・中編・後編の3本にわたってまとめました。こちらの記事も2021年を通してコンスタントにアクセス数を伸ばしました。

6位:20,500台のWindowsタブレットPC、1人1台環境のメリットを引き出す整備と運用体制――千葉県・市原市教育委員会の取り組み

6位にランクインしたのは、千葉県市原市におけるGIGAスクール構想の取り組みをまとめた記事が選ばれました。1人1台環境が本格的に始まり、ICTに苦手な教員も巻き込みながら市全体でICT活用を広げていくには、どのようなビジョンやステップが必要なのか。GIGAスクール構想に早い段階から着手した同市の取り組みを深堀りすることで、多くの教員が利用しやすいICT環境や教育委員会に求められる運用体制などをまとめました。

7位:iPadを文房具にした名門校の学びとは?子どもたちが自ら発表を楽しむ授業へ――洗足学園小学校の取り組み

GIGAスクール構想の影響も受けて、iPadの1人1台環境を導入する洗足学園小学校の記事が7位になりました。同校の特徴は、ICTに詳しい教員が現場にいない状況から取り組みを始めたところ。「重いかばんをなんとかしたい」という教員の想いからICT活用をはじめ、やがてApple Distinguished Schoolに選ばれるまでに取り組みが発展。現場ではどのようにiPadが使われているのか、子どもたちの声も盛り込んで記事にしました。

8位:コロナで浮き彫りになった教育行政と学校の課題と、GIGAスクール構想でめざす姿——「Withコロナ×GIGAスクール構想における公教育の転機と課題」レポート

コロナ禍の今、「コロナ」「GIGAスクール構想」というキーワードは読者の関心を引きつけるのでしょうか。8位は2020年7月に公開したこちらの記事がランクイン。記事の公開当時は、2020年3~4月に実施された休校措置に対する課題を振り返る時期でもあり、座談会ではさまざまな立場の教育関係者が、子どもたちの学びを継続するためにICTをどのように活用すべきなのか、また活用できない自治体は何が課題なのかを議論しました。ここで語られた課題は2021年になった今も、多くの教育関係者の関心を集めているようです。

9位:2021年度から様変わりする中学「技術」のプログラミングにどう対応するか?——みんなのコード「プログル技術」リリースイベントレポート

今年は中学校の学習指導要領が変わり、技術・家庭で新たに「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」に関する学習が始まりました。こうした学習を限られた時間内でどのように進めていけばいいのか、現場の先生方は課題を抱えられています。そこで、特定非営利活動法人みんなのコードは、多くの教員が利用しやすい無料のプログラミング教材「プログル技術」を2020年に発表し、説明会を実施。そちらの内容をまとめた記事が、今年になってアクセス数を伸ばし、多くの方に読まれました。

10位:Google、児童生徒向けのハンドブック『はじめよう!私たちのこれからの学び Google for Educationの使い方ブック』を公開

2021年はコロナの感染拡大も第4波、第5波と連続して起こり、学校生活も先の読めない事態に悩まされました。こうした状況の中、GIGA端末を活用した持ち帰り学習のニーズが高まり、学校はいつでも自宅学習ができるよう準備が求められました。また持ち帰り学習になると、保護者の協力が欠かせないことから、自宅で安心・安全に学習できる情報提供も必要となり、Googleは児童生徒や保護者に向けた使い方ガイドブックを発表。こちらの内容を紹介した記事もアクセス数を伸ばしました。

以上、「こどもとIT」で2021年に読まれた注目記事(通常編)の1~10位を紹介しました。引き続き、2021年に読まれた注目記事(マイクラ編)をご覧いただければ幸いです。

通常編のランキングを振り返りますと、2020年に公開した記事が今も読まれており、皆様に長くご愛読いただける記事がお届けできていることに喜びを感じております。編集部では、これからも子どもたちの学びがさらに豊かになるよう、保護者の皆様、教育関係者の皆様に有益な情報をお届けしたいと考えております。来年も「こどもとIT」をよろしくお願いします。

編集部