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新年度、フレッシュなスタートを切るためのオススメPCは?(その2)

“節約”したいなら「拡張性」に注目するべし

節約しつつ、長く使えるノートPCは拡張性が鍵

2019年はポジティブな意味でも、ややネガティブな意味でも、さまざまなイベントが目白押しの年。「働き方改革」の推進でワークスタイルの多様化が進み、リモートワークの機会が増える人もいるはず。4月には労働基準法の改正で一定以上の有給休暇取得が義務化され、これは見方を変えれば有給が取得しやすくなるということ。さらに、5月の新元号移行前後のゴールデンウィークは最大で10連休になるとも言われていて、PCをプライベートで楽しむ時間も多くなるだろう。

消費税が10%になるのは今年の10月と少し先ではあるものの、ワークスタイルやプライベートのライフスタイルの変化はすぐ目の前に迫ってきている。しかも2020年1月14日にはWindows 7の延長サポート期限が到来し、いずれにしても古いPCを使っている人は買い替えを余儀なくされるわけだ。であれば、さまざまなことが変わる新年度スタート前後のこの時期に、新しいPCに変えるのがベストタイミングと言えるだろう。

長い目で見て“節約”するなら、まさに今がそのタイミング。では、今購入すべきノートPCとはどんなものだろうか。前回は「パフォーマンス」と「サイズ」に着目して紹介したが、今回は「拡張性」にフォーカスして紹介しよう。

性能に妥協せざるを得ないなら、拡張性の高さに目を向けよう

前回、「長く使うなら可能な限り高性能なノートPCを選ぶべき」という話をさせていただいた。もちろん、誰でもスペックの高いPCが欲しいのは当たり前。けれど、だいたいの場合、予算というものには上限がつきもの。予算に合わせるとCPUやGPU、ストレージ容量などでどうしても妥協しなければならなかったりする。

そんな風に、もし処理性能の面でハイエンドとは言えないPCを選ばざるを得ないときはどうすればいいのか。重要なのは、いずれ用途が変わってきたときに、それにも対応できるポテンシャルを秘めているかどうかを見極めることだ。

その“ポテンシャル”の1つの基準となるのが、USB Type-Cポート。なかでも、USB Type-C Gen.2ポート、もしくはThunderbolt 3ポートを搭載しているかどうかが分かれ目になる。USB Type-C Gen.2は最大10Gbps、Thunderbolt 3は同40Gbpsという高速なデータ転送速度を実現する拡張インターフェースだ。この2つは、どちらも同じUSB Type−Cポートの形状となっているので、ノートPCを選ぶ際にはどちらの規格を採用しているのかしっかり確認しておきたい。

FMV「LIFEBOOK UH-X/C3」のインターフェース。HDMI端子の左に見えるのがUSB Type-C Gen.2とGen.1のポート
「MSI P65 Creator 8RF-777JP」はThunderbolt 3ポートを備える

さて、この2つの高速なインターフェースで何ができるかというと、当然ながら高速なデータアクセスということになる。たとえばノートPC内蔵のストレージが不足気味になった場合でも、USB Type-C Gen.2ポートがあればその読み書き速度に匹敵するか超える性能の外部ストレージを容易に導入可能だ。Thunderbolt 3なら、より高速なストレージはもちろんのこと、外付け型のGPU(eGPU)を接続するのにも利用できる。

eGPUはノートPCの内蔵GPU(多くの場合はCPU内蔵グラフィックス)を肩代わりして処理をこなすためのもので、画像や動画の編集、ゲーム、人工知能の学習処理などの高速化を図ることができる。予算の都合でグラフィック性能の高いノートPCを購入できなかったとしても、後でeGPUを追加すればカバーできるわけだ。

Thunderbolt 3でeGPUに接続したファーウェイ「MateBook X Pro」

すでにスマートフォンやカメラなど、さまざまな機器で採用されているUSB Type-Cポートだけに、PC周辺機器においても今後間違いなく対応デバイスが増えてくる。反対に、一般的なUSBポート(Type-A)のデバイスは相対的に減ることになるだろう。Type-Cポートを搭載しているノートPCを今のうちに選んでおくのは、もはや必須条件の1つと言えるかもしれない。

しかも、機種によっては付属ACアダプターだけでなく、USB Type-Cポート経由での給電に対応しているものもある。USB PD(Power Delivery)と呼ばれる規格に対応していれば高速な充電も可能。スマートフォンやカメラなどの機器と充電器を統一できるだけでも、使い勝手は想像以上に改善するものだ。

また、USB Type-Cケーブルを1本接続するだけで、映像出力とノートPCへの給電を同時にこなせる外部モニターも続々と登場している。USBハブ機能や有線LANポートを内蔵し、映像と給電を含めすべての機能をUSB Type-Cのケーブル1本で利用できる場合もある。職場や自宅にこうしたモニターがあれば、デュアルモニター環境を気軽に活用できるだけでなく、まるでデスクトップPCのような使い勝手も実現でき、生産性を高めることにつながるはず。まさに働き方改革の第一歩を踏み出せるわけだ。

USB Type-C対応モニターにUSBケーブル1本で接続。ノートPC側に給電され、モニターによってはUSBハブや有線LANポートも使える

意外に使い勝手に影響するSDカードスロットと有線LANポート

SDカードスロットを標準で備えているかどうかも用途によっては使い勝手を大きく左右するポイントとなる。デジタルカメラの写真データを読み込んだり、他の人と写真をやりとりすることが多い場合、内蔵スロットでスムーズにSDカードにアクセスできる機能は重宝する。もしSDカードスロットを備えていなくても、USB接続の外部リーダー機器で対応できるとはいえ、ノートPC本体とは別に持ち歩く必要があり、使用時にいちいち着脱するのも手間がかかる。

FMV「LIFEBOOK UH-X/C3」のSDメモリーカードスロット
「NEC VersaPro UltraLite タイプVH」のSDXC対応カードスロット

その他、ノートPCでも意外に活躍する場面が多いのが有線LANポート。最近のノートPCならほとんどの機種でIEEE 802.11acのような高速な無線LAN機能を標準搭載しているので、無線LAN環境がある自宅や職場はもちろん、公衆Wi-Fiスポットでも簡単にネットアクセスが可能ではある。ただ、会社のコンプライアンスの都合上、無線LAN設置に及び腰な場所はまだまだ少なくない。有線LANでしか社内LANやインターネットに接続できないという場面もあるのだ。

有線LANポートだと、無線LANよりも安定した通信が行えるというメリットもある。たとえばプライベート用途だと、オンラインゲームの協力プレーやゲームの実況配信、高画質動画のストリーミング再生のような用途では特にその恩恵を感じやすい。

でも、コンパクトなノートPCだと有線LANポートは装備していないのでは?と思うかもしれない。が、近頃は極めて薄型のノートPCでも、折りたたみ収納式のLANコネクタの採用で有線LANポート内蔵を実現していたりする。コンパクトなノートPCを考えているからといって有線LANポートを諦める必要も最近ではなくなってきたのだ。

「NEC VersaPro UltraLite タイプVH」。薄型ノートPCながら折りたたみ収納式のLANコネクタを採用。しっかり有線LAN接続できる

さまざまなイベントを控える2019年、PCその他を新調するなら今!

冒頭でも紹介したとおり、労働基準法の改正や新元号化に伴う連休の長期化、消費税の増税など、2019年はいろいろなことが待ち受けている。どれも気になる出来事ではあるけれど、やはり多くの人にとって一番影響が大きそうなのは消費税が10%になることではないか。

10月の増税実施直前ともなると、駆け込み需要が増えることが容易に想像できる。品不足になって納期に時間がかかってしまうこともありそうだ。人気商品だと2020年1月14日に到来するWindows 7の延長サポート期限にも間に合わない、なんて事態が起こらないとも限らない。そうなる前にPCのような大きな金額の買い物は早めに済ませておくのが吉と言える。

Windows 7時代に発売されたノートPC。Windows 10にアップグレードしてパーツ交換するなど、工夫次第で使い続けることはできるが、追加コストに見合うほどその後長く使えるかというと微妙なところかも

早めに買い物したほうがいいのは、何もPCに限った話ではない。10月以降に何かしらのイベント、たとえば結婚、出産、旅行などの予定があるとすれば、そこで必要になりそうな家電、カメラ、キャリーバッグといった高額になりそうなアイテムも今のうちに手に入れておけば、直前になって焦ることもないはずだ。

いずれは購入することになるのであれば、その使い方に慣れるという意味でも早めに手元にあった方がいい。それに、新しいモノは、単純に今すぐ楽しめたほうがうれしいに決まっている。PCをはじめ、今のうちにやっておくべき買い物を見つくろって、新年度から新鮮な気分で一気にスタートダッシュをかけてみてはいかがだろうか。