特集

新年度、フレッシュなスタートを切るためのオススメPCは?(その1)

長く使いたいなら「ハイパフォーマンス」と「サイズ」を重視しよう

新生活が始まるタイミングで購入すべきノートPCとは

そろそろ新年度となる4月以降の進路が見えてきた頃。社会人として新たな一歩を踏み出す人もきっと多いことだろう。そんなタイミングで欲しくなる、あるいは必要となるのが、自分だけのマイPCだ。家族共用のPCを使っていた人も、これを機に自分用のPCを購入する、あるいは買ってもらう約束をしていたりするのでは?

特に4月から環境が変わるわけじゃないし、もうPCも持っているよ、という人も、今のうちに新しいPCを品定めしておくべきかもしれない。なぜなら、2020年1月14日にはWindows 7のサポート終了を迎えるからだ。現時点で延長サポート期間に入っているWindows 7は、期限以降になるとセキュリティに関するアップデートや有償サポートが一切提供されなくなってしまう。

データ漏洩やフィッシング詐欺などのセキュリティ問題が避けられなくなることを考えると、古いPCを使い続けるのはリスクが大きい。もしまだWindows 7搭載PCを使っているなら、将来的なことも考えると、ここでPCを新調しておいたほうが結果的に長く使えることになるはず。

そこで今回は、ビジネス用途を主眼とした持ち運び可能なモバイル型ノートPCに絞って、将来を見据えたとき、どんな用途にどんなPCが向いているのか、まずは基本的なところを紹介したい。

長く使うならハイパフォーマンスモデル。用途はまず考えずに

「どんな用途にどんなPCが向いているのか」と言っておきながら、それをさっそくひっくり返してしまうようだが、“長く使う”ことを考えるのであれば、できる限り性能の高いノートPCを選んでおきたい。ビジネスに使うにしろ、プライベートで使うにしろ、現時点で想定している用途のみで今後1~2年、もしくは3年、4年……と使い続けることはほとんどないと言っていい。せいぜい1年もすれば、仕事の内容も生活スタイルも当初とはまったく変わるものだからだ。

社会人になって20年目、ライターとして本格的に活動し始めて10年目を迎える筆者の経験上も、「なぜあのときマックスまでモリモリにしたスペックを選ばなかったのか……」と後悔することが何度もあった。原稿が書けて写真を少し加工できればいいかと思っていたら、1年後にはストレージが枯渇し、動画編集したりゲームを(もちろん仕事で)プレーしたりすることになり、CPUの処理性能もメモリも足りなくなった。2年目からは使い方を工夫しながら、なんとかもちこたえているような状態だ。

原稿を書けるスペックでいいかと思っていたら、なぜか動画編集も。当初とは明らかに仕事の内容が変わってきていると感じる筆者

仕事ではOffice文書を編集する程度だからとか、自宅ではWebや動画を見るのがせいぜいだから、みたいに、PCの用途を低く見積もってはいけない。もしかしたら高解像度の写真や動画を編集することになるかもしれないし、3Dゲームをプレーしたくなることもあるかもしれない。自動車の「かもしれない運転」ではないが、PCを選ぶ際にもそれと似たような「かもしれない」を想定しておいたほうが良いだろう。

もし「かもしれない」が現実になったとき、不可能ではないにしろ余計に時間がかかって仕事が思うように進められなかったり、物理的に限界を感じてすぐにPCを買い替えるはめになったりするのは間違いない。したがって、価格面でも許容できる、現時点で購入可能なできる限り高性能のノートPCを選ぶことを強くオススメしたいところだ。

「働き方改革」に対応可能なサイズを軸に選ぶ

だからといって、明らかにオーバースペックなものを選ぶべき、というわけではない。もちろんオーバースペック気味なものを選んでおいたほうが長く使えることは確かだが、想定している用途に合うサイズ感や機能といったものもやはり考慮に入れておく必要がある。

ということで、まずはサイズの選び方を考えてみよう。現在のノートPCのトレンドとしては、持ち運びのしやすさと性能のバランスが良いとされる13インチクラスが鉄板。だけれど、それより少し大きめの14インチクラスにも注目が集まり始めている。というのも、ノートPCによっては13インチと同等のサイズで14インチディスプレイを搭載しているものがあるからだ。

13.3インチディスプレイのFMV「LIFEBOOK UH-X/C3」

これは、狭額縁でも十分な強度の確保を可能にする技術革新が進んだことが大きいだろう。ディスプレイの精細化も進み、そのサイズが視認性に一段と直結するようになった今、頻繁に持ち運ぶ場合でもできるだけ大きなディスプレイを搭載しているモデルを選びたくなる。13インチクラスのサイズで14インチディスプレイのモデルは、そういう意味でも狙い目だ。

業務における生産性を高める目的で「働き方改革」を推進する企業は、今後ますます増えてくるものと思われる。毎日オフィスの決まった席で仕事するのではなく、その日の仕事内容や気分によって毎回異なる席を利用するフリーアドレスを採用している場合もある。カフェやコワーキングスペース、自宅などでリモートワークする可能性だってゼロではない。そうした多様性のある働き方に対応するには、やはり持ち運びに適した13~14インチクラスが向いていると言える。

モバイルに特化した12インチ以下のモデルも使い方によっては便利だが、他にメインとなる据え置き型のノートPCやデスクトップPCがあって、その補完的な意味合いで利用するケースが多い。“長く使う”ための性能を持ち合わせていないこともあるし、どちらかというと“玄人向け”な印象の強いサイズだろう。

13インチクラスと同等の12.5インチディスプレイをもつ「NEC VersaPro UltraLite タイプVH」。スペック面ではメインPCとしても活用でき、それでいて持ち運びが極めて容易なサイズ

13~14インチより画面を大きくしたいなら、15インチ以上のノートPCも選択肢として考えられる。筐体サイズに余裕があるぶん高性能なハードウェアを詰め込むこともでき、最近ではクリエイター向けやゲーマー向けに、デスクトップPCで使われるものに近い高性能なCPU、GPUを搭載するタイプも増えてきた。そういう意味では、15インチクラスは“長く使う”ことに最も適したサイズと言えなくもない。

ただし、15インチクラスは頻繁に持ち運ぶのには苦労するサイズ。一般的なビジネスバッグにギリギリ入るとしても、バッグにも、それを運ぶ人にも負担がかかることは否めない。職場でも自宅でも、据え置いて使うのがメインとなるはずだ。今後のワークスタイルの変化に対応するには、新たに別のPCを購入する必要性に迫られる可能性が高いことも頭に入れておきたい。

15.6インチのクリエイター・ゲーミング向け、「MSI P65 Creator 8RF-777JP」

自分に適切なサイズのなかで、高性能なものを

やみくもにパフォーマンスばかりを追い求めると、どうしても据え置き用の15インチクラスのノートPCになってしまう。それよりは持ち運びの頻度をある程度考慮して、適切なサイズを判断したうえで、そのなかでも可能な限り性能の高いモデルを探す、という順番で考えるのが良さそうだ。

とはいえ、今やどのメーカーもノートPCの縦横サイズや薄さを極限まで抑え、持ち運びや扱いやすさにこだわって開発している。仮に性能が同じであれば、結局は好みのデザインかどうかで決まってしまうこともあるだろう。しかし、新生活を有意義なものにするノートPC選びにおいては、もう1つ重要なポイントとなる「拡張性」についても考慮したい。

デザインや機能性も目を引くhpのプレミアムモバイルノートPC「Spectre x360」と「Spectre 13」

そんなわけで、次回は「拡張性」という点にフォーカスして、何かと出費の多い新生活でも節約しつつ、満足度の高いノートPC選びのポイントをご紹介しようと思う。