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「アロンアルフア」を徹底解剖 「EXTRA」「光」など20種以上からどう選ぶ?
2025年5月8日 08:20
瞬間接着剤の代名詞的存在で、多くの人が使ったことがあるであろう「アロンアルフア」。使いやすさを追求してラインナップを拡充し続け、現在は汎用シリーズのほか、専用シリーズ、EXTRAシリーズなど、その種類は20以上。これだけあると、どれを選ぶべきか悩んでしまう人もいるでしょう。そこで今回は、東亞合成 アロンアルフア事業部の田中莉那さんに、選ぶ際のポイントや売れ筋の商品などを聞いてきました。
個別の商品のお話の前ににアロンアルフアの基礎知識を教えてもらいましょう。
「アロンアルフアは1963年に工業用接着剤として発売されたのが始まりです。その後、1971年に日本で初めて家庭用瞬間接着剤として一般向けに発売されました。釣り同好会の方の『工業用アロンアルフアを仕掛けづくりで使って便利だった』という声が開発のきっかけだったと聞いています。現在も釣り具の使用に特化した『釣名人』というシリーズが残っています」
「アロンアルフアの主成分は有機化合物の『α-シアノアクリレート』で、この成分が空気中やくっつけたいモノの水分と反応すると瞬間的に硬化して接着する、という仕組みです。接着成分に水を混ぜてつくられている「のり」は水が蒸発して固まる仕組みですが、アロンアルフアはそれとは違い、化学反応が起こることで固まります。ちなみに、商品名は『アロンアルフア』で、『アロンアルファ』ではないんですよ。意外とご存じない方も多いのですが、最後の「ア」は大きいことも覚えておいていただけるとうれしいです」
一番売れているのは万能で素早く接着する「EXTRA速効多用途」
1971年に発売された最初のアロンアルフアは、現在は汎用シリーズの「一般用」として長く愛され続けている商品です。やはり一番の売れ筋はこの「一般用」なのでしょうか。
「確かに一般用は一番歴史が長く、多くの方に知られている商品ですが、現在一番売れているのは『EXTRA速効多用途』です。『EXTRA速効多用途』と『EXTRAゼリー状』は、幅広い素材に対応し、緊急の補修で使いやすいことが評価され、ホームセンターだけでなくコンビニでも取り扱われるようになりました。これにより、手軽に購入できる環境が整い、さらに多くの方にご利用いただけるようになっています」
「『EXTRA速効多用途』は名称通り『一般用』よりも速く接着でき、より多くの材質に対応しているため、1つ持っていればあらゆるものに使うことができます。その万能性から、当社でも『迷ったらこれ!』とおすすめしている商品です」
ちなみに、ホームセンターなど量販店で売られているものとコンビニでは、同じ商品でもパッケージが異なるそうです。
進化を遂げて対応する素材が増えたEXTRAシリーズ
アロンアルフアには汎用シリーズや専用シリーズなどもラインナップされていますが、シリーズとして売れているのもEXTRAだと田中さん。そこで、EXTRAシリーズのラインナップについても聞いてみました。
「まずはトップの売上げを誇る『速効多用途』。木材、陶器、ゴム、金属など幅広い用途で使うことができ、強力に瞬間接着できるのがポイントです」
「その次に売れているのが『EXTRAゼリー状』です。『タレない、しみこまない』が特徴で、こちらも多用途、高速接着で汎用シリーズ『ゼリー状』の上位グレート品になります。『速効多用途』には対応していない革に使うことができるのも魅力です。『EXTRAゼリー状』もコンビニで販売しているので、『出先で突然靴底がはがれてしまった時もすぐに補修できて助かった』というお客さまの声も多く聞かれます」
「名前の通り衝撃に強いのが『耐衝撃』です。アロンアルフアは瞬間で強力に接着できますが、衝撃に弱いという欠点がありました。主成分はそのままに、衝撃に耐えられるように配合を調整することで課題をクリア。特に金属の接着に適しており、ラジコンの組み立てやプラモデル、フィギュアなど、趣味性の高いものによく使われている印象です」
EXTRAシリーズの『速効多用途』『ゼリー状』『耐衝撃』の3つは大容量の『プロ用シリーズ』にもラインナップ。通常2～4gのところ、プロ用シリーズは20gもあるので、頻繁に使っていて「すぐになくなってしまう」という方はプロ用シリーズがおすすめです。
「小さいボトルに入っている『EXTRA スティック』は、キャップに棒状のスティックがついていてピンポイントに少量だけ塗布することができる商品です。スティックの先端が斜めにカットしてあるため、液量も思いのままにコントロールできます。細かな作業が多いアクセサリーづくりなどで使っている方が多い印象です」
「1回使い切りの小分け容器4本がコンパクトなケースに入った『EXTRA ミニ×4』は、保管や持ち運びに便利です。『一度使うと長く放置してしまい、きちんと保管できないので使い切りが欲しい』というお客さまの声に応えて開発した商品になります」
メーカーの推しは速効接着の「アロンアルフア 光」と強力な「タフパワー」
今も進化をし続けていてどんどん性能が良くなっていることもあり、田中さんが「ぜひおすすめしたい」という商品は比較的新しいもの。なかでもイチ押しだとご紹介いただいたのは、2023年に発売された『アロンアルフア 光』です。
「専用のライトを当てることで硬化を促進する商品です。今まではスーパー液のような液剤を加える形でしたが、これは専用のライトを照射することで、簡単に硬化スピードをさらに速めることができます。『アロンアルフア 光』の液自体も高速強力接着ですが、付属のライトを照射することでより速く接着でき、白化を防いできれいに仕上げることができるんです」
「これを使えば、プラモデルで穴を埋める『充填接着』や、どんどん盛ってコーティングできる『盛り上げ接着』も可能です。すぐにくっつくので、ホビー系の工作で細かい作業に慣れていない方にも使いやすい商品だと思います。付属の専用ライトを照射することで硬化スピードをさらに速め、白化も防ぐため、使い勝手が非常に良いと好評です。そのためリピーターの方も多くいらっしゃいます。さらに『ライトばかりたまってしまう』というユーザーの声を反映し、今年『ライトなし』を販売開始しました」
もう1つのおすすめは、2021年発売の「タフパワー」。『EXTRA 速効多用途』の接着速度と強度を維持したまま、耐水性、耐熱性が向上した商品です。
「耐水性、耐熱性がアップした『タフパワー』は『アロンアルフア史上最強の製品』と謳っています。容器は簡単ワンステップ開封、手にフィットするラバー素材を採用しました。さらに液量を繊細にコントロールできるようにスリムなデザインになっています。お風呂場のタイルなどの水回りや、熱がかかりやすい鍋敷きの補修などにもお使いいただけて非常に便利です」
汎用シリーズと専用シリーズの注目商品は?
専用シリーズには「木工用」、「プラスチック用」、硬化促進剤のスーパー液がセットになった「スーパーセット」と「スーパーゼリー」がありますが、正直なところ「EXTRA 速効多用途」があればほぼカバーできてしまいます。
「ただ、接着する素材がプラスチックの場合は専用シリーズの『プラスチック用』を使うのがおすすめです。アロンアルフアのようなシアノアクリレート系の接着剤は基本的にプラスチックが苦手で、なかでもポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)は苦手な分野。でもこの商品は付属のプライマーを併用することでPPもPEも接着が可能になりました」
これだけ高性能な商品が揃っている中、アロンアルフアの先駆けとなった汎用シリーズはどのようなユーザーにおすすめかも聞いてみました。
「家の中で使うものであれば汎用シリーズで問題ないと思います。アロンアルフアは昔からこの形で、針を刺していた時代から使っている根強いファンもいらっしゃいます」
接着剤と合わせて使いたい「はがし隊」と「硬化促進剤」
「アロンアルフアを使うなら、ぜひ一緒に持っておきたい商品が2つある」と田中さん。まずは強力に接着してしまったものをはがすことができる「はがし隊」からご紹介しましょう。
「この商品は『アロンアルフアがはみ出てしまった』『白く硬化してしまった』などきれいに仕上げたい時や、『うっかり垂らしてしまった』『手についてしまった』といった緊急時に便利です。付着してしまった部分に液状の『はがし隊』をつけて揉み込むようにして溶かし、乾いた布できちんと拭い取っていただくと、アロンアルフアを取り去ることができます」
もう1つはスプレータイプの「硬化促進剤」。スーパー液と同じような働きをするものですが、手軽にシュッと、ピンポイントにも広範囲にも吹き付けることができる便利アイテムです。
「接着面が小さくてうまく接着できない、作業効率が悪い、接着部が白くなる、といった接着時のストレスを解消できるすぐれものです。接着部分に一吹きするだけでスピード接着。接着後だけでなく、接着前に吹き付けても効果があります。アロンアルフアシリーズ全商品に対応しているので、併せて使ってみてはいかがでしょう」
使用時の注意点や長持ちする保管方法は?
正しくきちんと接着するために、アロンアルフアを使う上での注意点を聞いてみました。
「とにかく付け過ぎないこと。使用量は10円玉のサイズに1滴程度が目安です。付け過ぎると接着に時間がかかりますし、挟んだ後にはみ出て白化してしまう可能性も高くなります。また、白化を防ぐために風通しのいい場所で接着するのがおすすめです。白化は、蒸発して空気中を漂っているアロンアルフアが再び接着部分に下りてくることで起こる現象。そのため、気化したアロンアルフアの逃げ道をつくれば白化する可能性も下がります」
アロンアルフアが手についてしまった、でも『はがし隊』を持っていない、という時はどう対処するのがいいのでしょうか。
「無理にはがすと危ないので、まずは慌ててはがさないこと。40℃くらいのお湯につけてよく揉み込めばはがすことができますので、この方法を試してみてください。もし接着剤が少し残ってしまっても発汗や新陳代謝で2、3日すれば自然とはがれるので問題ありません。アロンアルフアは有害有機溶剤を含まないのでご安心いただければと思います」
このほか、ユーザーからの意見で多いのは「保管している間に硬化してしまった」ということ。これは身に覚えがある人も多いのではないでしょうか。そこで最後に、長持ちさせるための保管方法も聞いてみました。
「使用後はノズルをキッチンペーパーや新聞紙など毛羽立たないものできちんと拭いていただき、内キャップがあるものは内キャップをきちんと閉め、最後にキャップをパチンと音がするまでしっかり閉め、冷蔵庫などの冷暗所で保管してください。商品自体にもキャップ部分に乾燥剤が入っていますが、乾燥剤と一緒にジッパー付きのビニール袋に入れて冷蔵庫に保管するとより長持ちさせることができます」
