石野純也のモバイル通信SE
第108回
Googlebookを触ってきた AIをOSに統合した「PixelみたいなPC」
2026年9月30日 08:20
PC向けOSの「ChromeOS」と、スマホやタブレットなどのモバイル機器で幅広く使われている「Android」を統合する方針が明かされてから1年強、ついにグーグルから「Googlebook」が登場する。当初は米国、英国、アイルランド、フランス、ドイツ、オーストラリアの6カ国に展開される予定で、残念ながら日本は初期発売地域に含まれていない。
一方で、端末には日本語設定や日本語キーボードも内蔵されており、そう遠くない時期に、発売される可能性はありそうだ。GooglebookはChromebookやAndroidと同様、プラットフォームの開発をグーグルが手がけ、各PCメーカーがそれを搭載したPCを販売するビジネスモデルを採っている。
当初名乗りを上げたのは、HPやDell、Acer、ASUS、Lenovoといった、Windows PCやChromebookでおなじみのメーカー。HPとDellがクアルコムを、残る3社がインテルのチップセットを採用する。価格は899ドル(約14万円)からとアナウンスされており、低価格なモデルが多かったChromebookとは住み分けを図っている。
Googlebookは「思っていた以上にAndroid」 PixelっぽいPC
筆者は、9月22日(現地時間)に米ハワイ州で開催された「Snapdragon Summit 2026」で、Snapdragon搭載版のGooglebookを触ることができた。その第一印象は、AndroidをそのままPCにしたというもの。ChromeOSとAndroidの統合と聞くと、その中間的なプラットフォームを想像しがちだが、Googlebookは思っていた以上にAndroidの要素が強かった。
例えば、通知や設定ボタンのデザインは、スマホやタブレットのAndroidそのもの。誤記が残っているということで撮影はできなかったが、設定画面もほぼAndroidと同じ。キーボードの「G」ボタンを押下するとアプリの一覧(ドロワー)が表示されるところも、Androidでおなじみのユーザーインターフェイス(UI)だ。Androidスマホを使った経験があれば、特に迷うことなく操作できるだろう。
グーグル自身のスマホであるPixel的な要素も備えている。共通機能として天板に配置された「Glowbar」は、「Pixel 11 Pro」シリーズに搭載された「HiLight」のよう。通知を知らせるだけでなく、Geminiとの会話をする際に点灯するところも共通点だ。
また、AIがユーザーの行動を先読みする機能として、「Magic Pointer」を搭載。これを呼び出し、テキストや画像を選択すると、その文脈を理解し、次にユーザーが取るであろう行動の選択肢が表示される。さらに、Pixel 11シリーズで搭載された、AI音声入力にも対応する。Googlebookそのものはメーカーが手がける製品だが、Androidっぽいのに加え、PixelっぽいPCと言えるだろう。
実際、Snapdragon Summitに登壇したグーグルのVice President、ジョン・ソロモン氏が「Androidテクノロジースタックを採用しているため、Androidスマートフォンとシームレスに連携する」と語っているように、Androidスマホと連動させることが重視されている。
「Antigravity」で欲しいアプリを作れる
同じくイベントでGooglebookを紹介したVPのプラジャクタ・グダヘ氏は、GooglebookがLinuxカーネルの上にNative Android Stackを載せ、さらにデスクトップ用の機能を加えていることを明かした。
Chromebookの要素はどこ? と思ってしまったが、こうした構造になっていることもあり、スマホ連携だけでなく、Google Playで配信されているAndroidアプリをほぼほぼそのまま利用できる。これも、Googlebookのメリットだ。
今どきなのが、バイブコーディングを全面的に取り入れていることだ。Googlebookには、Androidのホーム画面と同様、デスクトップにウィジェットを配置できるが、Googlebookではそれを自然言語で“自作”できる。Android 17の機能をそのまま取り入れているというわけだ。試しに東京の1週間の天気が表示されるウィジェットを作成してみたが、数十秒でウィジェットが完成した。機能だけでなく、デザインも指定できる。
さらに、Googlebookには、AIエージェントの「Antigravity」が内蔵されている。AntigravityはWindowsやMac用のアプリが存在するが、Androidアプリとして動くものは初めて。これを使うと、簡単な指示を出すだけで、アプリそのものをGooglebook上で作成できる。
AndroidにインストールできるAPKファイルを作ってもらうこともでき、直接それをGooglebook上にインストール可能。必要なアプリがPlayストア上になければ、自分で作ってしまえるというわけだ。
こちらも、Androidのイースターエッグとして呼び出せるような簡易的なゲームを作らせてみたが、数分程度のわずかな時間でWebアプリとして動作するものが完成した。
Androidベースということもあり、WindowsやMacのようなデスクトップ向けアプリの“資産”は少なくなってしまうが、足りないものはAntigravityで自作してしまえばいいというわけだ。
また、Android向けアプリを作る開発者は、Googlebook上で直接アプリを作り、検証できるのも利点になる。実機テストの一部を、そのままGooglebookで済ませてしまえるからだ。
AIをOSレベルで統合し、Androidスマホとの連携を完璧にしたのがGooglebookの位置づけと言える。
一方で、当初は個人向けに提供されるため、どこまでPC市場に食い込めるかは未知数だ。
逆に、日本ではGIGAスクールの開始を機にChromebookが教育市場に食い込んでおり、高いシェアを誇る。Googlebookが、そこからステップアップするための1台として選ばれるのかにも注目したい。

















