『ムッシュ・カステラの恋』

【コメディ】 2000年　フランス　112分 12月22日より銀座テアトルシネマにて公開 監督：アニエス・アニエス・ジャウイ 出演：アンヌ・アルヴァロ、ジャン＝ピエール・バクリ、アニエス・アニエス・ジャウイほか 配給：セテラ・インターナショナル

　中堅企業の社長、カステラは妻と2人暮しで、裕福ながら冴えない毎日を送っている。ある日、経営コンサルタントから英会話を習うよう促され、女性教師に会うがその場で断ってしまう。ところがその夜、付き合いで見に行った芝居の主演女優が、昼間会った女性教師であることに気がつき、恋心を抱き始める。

　本作は、そう簡単に「不倫の映画」と決め付けてはいけない。確かに状況だけを見れば、主人公カステラが抱く恋心は、倫理的には許されないものかもしれない。だがこの恋心には、今や失われつつある計算のない関係を望む純粋さが感じられるのである。

　結婚をしていることを棚に上げ、恋した女性を追い掛け回す中年男の姿は、時に滑稽に映るが、その滑稽さが“恋する男”の愛らしさや人間の無邪気さを浮き彫りにしてゆくのだ。カステラの恋に、否定的な見方はあるかもしれない。だが、きっと最後には、青春映画を見たときのような爽やかさを心に残してくれるはずだ。

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http://www.cinemacafe.net/theater/gtc/kasutera.html