『GO』

【人間ドラマ】 2001年　日本　122分 10月20日より全国東映系にて公開 監督：行定勲 出演：窪塚洋介、柴咲コウ、山崎努、大竹しのぶほか 配給：東映

　高校3年生の杉原は在日韓国人である。普段は国籍を意識しないものの、自分のアイデンティティを確立できず、苛立ちを隠せない。ある日、友達の誕生日パーティで美しい少女、桜井と出会い恋に落ちる。彼女と親しくなるにつれ、杉原は自分が「在日」であることを告白しなければと思い始めるのだが。

　在日韓国人が持つ複雑な問題をテーマにしながらも、本作は語り口が非常にポップである。現実に日本に存在する問題を軽すぎず、重すぎない調子で綴ることで現代社会の実情を見事に浮き彫りにしている。普段の生活では見えてこない人種への偏見の根深さ、何気ない差別などについてじっくりと考えさせられる作品だ。大人たちが敷いた見えないボーダー・ラインを、自らの力で乗り越えようと苦悩する若者たちの姿がとてもリアルに描かれているが、彼らが抱える葛藤は在日韓国人のみならず、すべての人が共感をできるものに違いない。

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