2001年12月

vol.23『オーシャンズ11』

vol.22『プリティ・プリンセス』

vol.21『ピアニスト』

vol.20『アモーレス・ペロス』

2001年11月

vol.19『ハリー・ポッターと賢者の石』

vol.18『殺し屋1』

vol.17『ムッシュ・カステラの恋』

vol.16『インティマシー』

2001年10月

vol.15『Short6』

vol.14『メメント』

vol.13『GO』

vol.12『赤ずきんの森』

vol.11『ドラキュリア』

2001年9月

vol.10『陰陽師

vol.9『サイアム・サンセット』

vol.8『ブロウ』

vol.7『ブリジットジョーンズの日記』

2001年8月
vol.6『おいしい生活』

vol.4『キス・オブ・ザ・ドラゴン』

2001年7月
vol.3『まぶだち』

vol.2『がんばれ、リアム』

vol.1『眺めのいい部屋』


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  ドジでサエない女子高生が実はプリンセスだった! 期待の新人アン・ハサウェイが少女漫画を地で行くヒロインをキュートに好演。

 

 ミア(アン・ハサウェイ)はサエない平凡な女子高生で芸術家の母と二人暮し。しかしある日、彼女はヨーロッパに住んでいる祖母のクラリス(ジュリー・アンドリュース)から、自分がジェノヴィア王国の唯一の王位 継承者であることを知らされる。突然のことにパニック状態のミアだったが、3週間後に行われる舞踏会に向けてプリンセス教育を受け、その上で自分の将来を決断すればいいと言うクラリス女王の提案を受けることに。こうしてミアをロイヤル・プリンセスにするための特訓が始まった!



  世の女性達のお姫様願望を実現する、現代のシンデレラ・ストーリーが誕生!

 

 「離婚してもいいからウェディングドレスは一度着てみたい!」 こんな願望を持つ独身女性は多いのでは? あれなんかも完全にお姫様願望だと思うんだけど、大半の女性が少女時代に一度はプリンセスになってみたいと願ったことがあるはず・・・。もちろん、実際のプリンセスというのは、公務などで多忙な毎日を送り、私生活だってないような大変な暮らしなわけだが、多くの女性のプリンセスに対するイメージは豪華なドレスに身を包み、晩餐会などで優雅に踊っている姿だったりするわけである。で、この映画ではサンフランシスコに住む普通 の女子高生のミアが、実はヨーロッパにあるジェノヴィア王国の王女であったことが判明し、平凡な人生が一変してゆくという、まさにうらやましいことこの上ないといったお話(実際は大変だろうけど)。

 ストーリはとっても古典的で教育的。クラスでも地味でサエなかった女の子のミアが、王女様教育を受けることによって、美しく洗練されていく。しかしプリンセスにとって必要なのは外見の美しさだけでなく、心の清らかさ。心の美しいミアは、一躍有名になったことによって、手のひらを返した周囲の対応に自分を見失うことなく、プリンセスとしての自覚に目覚め、最後はハッピーエンド♪ 単純明快だけど、このテの子供の頃の夢を実現させるようなファンタジー系の作品ではこういったストーリーで充分。

  大ヒット中の『ハリー・ポッター』などに対して、内容が薄いだなんだと言う人も多いけど、いいじゃん、濃い内容の映画は別 の作品で楽しめば。軽いタッチの映画って必要必要と、私なんかはつい思っちゃうけどね。ただこの映画、シンデレラ・ストーリーとしては結構地味~。本作はディズニー映画だし、『ローマの休日』チックなうっとりするような宮廷のシーンなどを期待していた私にとってはちと期待ハズレだった。サンフランシスコでの平凡な高校生活と、華麗な王女としての時間にもっともっとギャップが欲しかった。ハリー・ウィンストンのジュエリーなんかも使っているし、衣装や舞台には充分お金をかけているようなのだが、思わずため息が出ちゃうような豪華さに欠けるもんだから、いまひとつミアの置かれている重大な境遇にピンとこない。あと、アン・ハサウェイが最初からけっこう可愛い顔立ちだからか、ビューティ・エキスパートの手によって磨かれた変身後と変身前の落差が少ないのもちょっと物足りなし。


  こんな王女様とお友達になりたい! ピカピカの笑顔が魅力のアン・ハサウェイ

 

 とはいえ、この映画の魅力はなんといってもピカピカの太陽みたいな笑顔が可愛いアン・ハサウェイそのもの。自身もこの映画でハリウッドのシンデレラ・ストーリーを現実にした彼女。プリンセスにしては口がでかいけど、今後ブレイク間違いナシといったスターの輝きが感じられた。それから脇を固める役者陣も良い。アンの祖母で、ジェノヴィア王国のクラリス女王役のジュリー・アンドリュースはさすがの貫禄。また、ミアの親友リリー役のヘザー・マタラーゾが風変わりな女子高生役を魅力的に演じ、いい味を出している。

  この映画、『プリティー・ウーマン』『プリティ・ブライド』に続く、ゲーリー・マーシャル監督のプリティシリーズ第3弾(といってもこれは映画配給会社の宣伝文句で実際は単なるこじつけ)などと唄われ、ロマンチックラブストーリー映画のような印象を受けるけど、はっきり言ってミアの恋模様より、ミアとリリーの友情の絡みシーンが一番面 白かった。また、筆者がこの映画で一番いい気持ちになったのは豪華な晩餐会のシーン等ではなく、ミアが外見だけで人間を判断する、いぢわるなチアガールのクラスメイトにアイスクリームをべちゃっとなすりつけて「私はこれから立派な大人になるけど、あんたはバカのままよ!」と言い放つシーンだ。実際には人間はバカなままの方が幸せだったりするんだけど、これには胸がスッキリ致しました(笑)。

  アン王女のような可憐さは無いけど、今の時代、プリンセスにはミアみたいな女の子になって欲しいし、こんな王女様が居たらお友達になりたいなって思うような、同性から好まれる新しいタイプのプリンセスの誕生である。


(谷本 桐子)

2001年1月下旬、日比谷みゆき座他全国東宝洋画系にてロードショー

監督:ゲーリー・マーシャル
脚本:ジーナ・ウェンドコス
製作:ホイットニー・ヒューストン、デブラ・マーティン・チェイス、マリオ・イスコヴィッチ
原作:メグ・キャボット
撮影:カール・ウォスルター・リンデンローブ
衣装デザイン:ゲイリー・ジョーンズ
音楽:ジョン・デブニー
出演:ジュリー・アンドリュース、アン・ハサウェイ、ヘクター・エリゾンド、ヘザー・マタラーゾ、マンディ・ムーア他

2001/アメリカ映画/ビスタ・サイズ/ドルビーSRD/1時間55分

配給:ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)

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