2001年12月

vol.23『オーシャンズ11』

vol.22『プリティ・プリンセス』

vol.21『ピアニスト』

vol.20『アモーレス・ペロス』

2001年11月

vol.19『ハリー・ポッターと賢者の石』

vol.18『殺し屋1』

vol.17『ムッシュ・カステラの恋』

vol.16『インティマシー』

2001年10月

vol.15『Short6』

vol.14『メメント』

vol.13『GO』

vol.12『赤ずきんの森』

vol.11『ドラキュリア』

2001年9月

vol.10『陰陽師

vol.9『サイアム・サンセット』

vol.8『ブロウ』

vol.7『ブリジットジョーンズの日記』

2001年8月
vol.6『おいしい生活』

vol.4『キス・オブ・ザ・ドラゴン』

2001年7月
vol.3『まぶだち』

vol.2『がんばれ、リアム』

vol.1『眺めのいい部屋』


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  泣き虫の殺し屋イチが大暴れ! 三池ワールド全開の超過激&ヘンタイムービー登場

 

  イチ(大森南朋)は冴えない気弱な男で、すごまれるとすぐ泣いちゃうようなヤツだが、特製スーツを着ると無敵の殺人マシーンと化し、泣きじゃくりながら必殺カカト落としで相手の体を滅多切りにする。また、イチは暴力にのみ性的興奮を感ずる究極のサドだ。そんなイチを自在に操る謎のジジイ(塚本晋也)は、歌舞伎町のヤクザ達に派手な抗争を引き起こさせようと企んでいる。安生組の若頭である垣原(浅野忠信)は、痛めつけられることを異常なまでに求める究極のマゾ。そんな垣原は、失踪した安生の親分が、超サドの変態殺し屋イチによって消されたことを知り、期待に胸を躍らせながらイチを探し始めるが・・・。



  観終わった後に食欲なくなること必至。原作と同様に痛い痛いシーンが続々・・・

 

   有害度ノンストップ! 子供にゃ~絶対観せたくない変態作品がやってまいりました。原作はヤングサンデーに連載されて話題を呼んだ山本英夫の同名コミック。まあこの原作が歪んだ暴力と性を「これでもか!これでもか!」ってな具合に描いていた作品なわけで、それをあの三池崇史が映画化すると聞いただけで「うひゃ~~・・・すごそう」って感じですが、いやー想像した通りというか、これがもうやりたい放題ですがな。原作のマンガも「痛み」を徹底的に追求した作品で、女の子の乳首をちょん切って鉄板焼きにしちゃうとか、肛門に拳銃を入れてぶっ放すとか、男性の××を真っ二つにしちゃうとか「えーん、イタイよイタイよ~(涙)」ってな描写のオンパレードだったわけですが、映画でも「痛み追求シーン」はほぼ原作通り。手はもげるわ、足は輪切りになるわ、内臓は飛び出るわ、人間は真っ二つだわの惜しみない血しぶきシーンの連続!! 本作はスプラッター好きな人には文句ナシにオススメです。

  にしても単行本にして10巻という長編漫画の映画化とあって、映画も2時間8分というなかなかのボリューム。筆者は本作を見終わった夜に熱を出して寝こんでしまったのですが、食あたりならぬ映画あたりだったのやもしれませぬ・・・。とまあ、ここまで読んだだけでもこの映画のすごさは大体分かって頂けたと思いますが、この映画のイチオシはなんと言っても浅野忠信扮するスタイリッシュ版変態ヤクザの垣原。原作だとほんと気持ち悪い&怖い男の垣原だけど、浅野クン演じる垣原ったら、そりゃ完全にマゾだし変態だし、超暴力男なんだけど、これがとっても素敵(はぁと)。着てる服もとーってもお洒落だし(というか浅野クン、着こなし上手)、ちょっと脱力したセリフ回しもいい感じ。スプラッタが苦手でも、浅野ファンなら本作は絶対見るべき。垣原役をホント楽しそーに、生き生きと演じている浅野クンが拝めます。あ、それから泣き虫の殺し屋イチを演じている大森南朋君って、山崎まさよしの顔面を横に20%広げたみたいな顔してると思うんだけど、どうかな??


  暴力シーンの中にも笑いが満載。究極のバイオレンスエンタテインメント作品が仕上がった

 

  さて、映画と原作ではラストシーンが違うのだが、その他は細かいディテールを除いてほぼ原作通りにストーリーが進んでいく。ただ、原作には一応「いくら体を鍛えても、心を鍛えなければ人間は強くはなれない」といったテーマがあり、新宿の裏社会やそこにうごめく人々の歪んだ欲望、暴力と性といったものが丹念に描かれていたのに比べて、映画では三池調が全快。暴力シーンの中にブラックユーモアやギャグを盛り込んだ超残酷的バイオレンスエンターテインメント作品として仕上がっている。『DEAD OR ALIVE 犯罪者』なんかでも死闘の末に我々に爆笑(?)をもたらしてくれた三池監督だが、本作でも塚本晋也の抱腹絶倒のヌードシーン、松尾スズキの犬など、映画のあちこちに笑いのエッセンスが散りばめられている。

  ただ、映画にヤマ場がないというか、全編ヤマ場(というか、イタイ場?)なため、もうお腹いっぱいという気持になってしまう。物語的には一番悪い奴である真性マゾのヤクザ垣原とイチの対決がクライマックスなハズなのに、そこがいまひとつ盛り上がらないため、ちょっと不完全燃焼が残るのだ。そのため、映画全体に悪ノリというか、悪趣味的なところが少々目立つ(いや、もともと悪趣味なところがこの監督の魅力と言えるんだけども)。例えば映画のタイトルはとあるモノの上に表記されるのだが、それなど「おいおい、いくらなんでもちょっとやりすぎでは!?」といった感じ。とはいえ、この作品が衝撃作であることは間違いない。いまや世界中から注目される三池ワールドの最新作。心臓に自信のある方は是非ご覧下さいまし。

(R18指定映画)


(谷本 桐子)

12/22よりシアターイメージフォーラム他にて公開

監督:三池崇史
原作:山本英夫(小学館「週刊ヤングサンデー」)
脚本:佐藤佐吉
音楽:KARERA MUSICATION
撮影:山本英夫
美術:佐々木尚
衣装:北村道子
エグゼクティブ・プロデューサー:横濱豊行、三宅澄二
プロデューサー:宮崎大、船津晶子
製作:オメガ・プロジェクト、オメガ・ミコット
共同製作:EMG、STARMAX、スパイク、アルファグループ
製作協力:エクセレントフィルム
出演:浅野忠信、大森南朋、塚本晋也、Alien Sun、寺島進、SABU、松尾スズキ他

2001年/カラー/2時間8分/日本・香港・韓国/ヴィスタサイズ/dtsステレオ

配給:プレノンアッシュ

□OFFICIAL SITE
http://www.koroshiya-1.com/




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