だいたいのプロダクツにおいて“○○記念モデル”というのは、内容的には大したコトない。大胆なカラーリングを施しましたとか、特別なデザインですとか、専属プロのサイン入りですとか、スケルトンですとか、イルカの姿が入ってますとか。ハッキリ言って“見てくれだけ少々違うだけ”のプロダクツが多い。肝心の中身は別にナンのこたぁない従来品だったり、ヘタすると旧来品だったりもする。まあ、いろんなメーカーさんが出してる“記念モデル”にイチャモンを付ける気はないが、堂々と世に送り出すわりには内容が平凡過ぎだよなぁと思う俺であった。
 そんな俺は、正直なところ、今回の東芝の“DynaBook10周年記念モデル”も「あー記念モデルってアレだろ、記念しただけのモデルなんだろ~」って感じで、大した興味はなかった。が!! フタを開けたらビックリ。どのマシンもリキが入ってる。コンピュータとしてビシッと作ってあるのだ。さらに、どのマシンにも何か非常に力強い“自信”のようなモノが感じられる。記念してみました、とかいう軽いスタンスじゃなくて、記念碑をブッ立てたってんだよオラオラオラッ、というパワフルで積極的な姿勢が感じられるのだ。
 例えば、従来のモバイル指向はそのままに、さらなる実用性と面白さが盛り込まれた実用的かつ楽しめるギミックと性能を盛り込んだLibretto ff 1100。羊の皮をかぶった狼のような、ある種キレた性能を持つB5スリムPCことDynaBook SS3380。現在の先端的コンセプトを盛り込んだ、新たなスタイルのマシンであるDynaTop。そして、デスクトップリプレイスメントとして非常に魅力のあるハイパフォーマンスノートのDynaBook 2550X。どのマシンも「記念モデル」という(ある種のお祭り騒ぎ的軽薄を感じさせるイメージの)プロダクトとは思えないほどストイックであり、分厚い魅力に包まれているマシンたちなのである。  そう言えばホントに10年ほど前、DOSの時代、世界初のノートパソコンことDynaBookに触れた俺はずいぶんショックを受けた。先鋭的なパフォーマンスと未来的な効率を感じさせるハードウェア。世界標準のアーキテクチューを持ったその斬新なコンピュータは、まだまだ日本では異端的存在(日本のコンピュータ事情が異端だったとも言える)だったが、コンピュータの行く末というか希望的な近未来を十二分に感じさせてくれるマシンだった。それから10年経った今、10年前には予想すらできなかった世界が、ここに展開されている。いやマジでスゴいっスよ現在のマシンっつーのはも~。例えばB5でPentiumIIの400MHzでXGAなんて状態は当時のパソコン野郎が……おっとなんか話が逸れた。
 ともあれ、ここに紹介するマシンは単なる新型ではない。10年という歳月を経て磨き上げられてきた"DynaBook"の集大成であり、今触れられる最も先鋭的な"東芝の結論"なのである。

















 DynaBook10周年記念モデルのうち、もっともセンセーショナルなのがコレ、Libretto ffシリーズだ。最初のモデルが発売された当初から超デカい話題を呼び、今もなお多くのファンに支持されまくっているあのLibrettoの最新モデルには、これでもかというくらい実用的かつ面白い機能が盛り込まれている。
 特に目を引くのは、やはり、そのサイズと機能のギャップ。例えばLibretto ff 1100は、カメラ付きWindows98マシンとしては世界最小のマシンになるのだが、その実力たるや大したモンなのであり、俺などは気絶寸前、衝動買い半歩手前、明日の朝にでも俺の机上にこのマシンがありそうな気配だ。一見、カメラが付いてオーディオ用のリモコンが付いただけ、みたいな感じだが、詳細を見れば見るほど単なるAV指向マシンでないことがわかる。
 例えばカメラ関連。ハードウェア的にはフツーの首振りカメラだが、コレは取り外すことができ、Libretto ff 1100とケーブル接続できるうえに、静止画等の撮影(シャッター押下操作)はLibretto本体やソフトウェア上のシャッターボタンの他、i.Shuttleのシャッターボタン、SCOOPYのシャッターボタンでも可能。撮ることをマジメに考えた作りになっている。もちろんi.Shuttleは動画撮影にも使えるのだが、動画撮影時の記憶フォーマットがMPEG4というのがイケてる。Microsoft NetMeetingの使用等、動画のネット配信を見越してのシステムになっている。また、人間の顔を認識する顔認識ソフトことSmartfaceや、動画からパノラマ写真を合成するVideoBrushPanoramaなど、映像を利用し楽しむためのソフトウェアもヒジョーに充実している。
 それから、より多彩にモバイルするための工夫も多く見られる。そのひとつが、スマートメディアスロットの搭載だ。マシン本体にいきなりスマートメディアを挿せちゃうのである。あるいは前述のi.Shuttleを使えば、MP3オーディオデータ等をポータブルステレオ感覚で楽しめる。また、プレインストールソフトウェアを見ればおわかりいただけるように、誰でも来いの懐の深さだってある。ビジネス派だろうがホビー派だろうが、初心者だってしっかり受け入れてしまうのである。
 このマシン、調べれば調べるほど、そのサイズに似合わない奥深い仮想空間を持っている感じがする。ハードウェア的にもソフトウェア的にも、できることは全部やっている感じで、買う前からユーザーを飽きさせない濃い内容になっている。だから、老婆心で言うのだが、現役のリブユーザーはあ~んまり詳しく調べない方がいいと言えよう。調べると思わず買いたくなり、さらに調べるともはやショップへの注文電話を禁じ得ないのである。小さいけどその内容はすっげぇデカい、最新にして最強にして最高に楽しいLibrettoという印象だ。















 DynaTop6000を見てまず思ったのは、東芝も液晶デスクトップを発売するのかぁ~という平凡なコト。だったのだが、このマシンをいじくるにつれて、その第一印象はガラガラと崩れていった。
 このマシンは、液晶デスクトップではないのだ。ていうかデスクトップではない。ていうか、ノートパソコンが輪廻転生して現れたような存在なのだ!! ていうか、オールインワンノートをデスクトップで使いやすいようなカタチにアレンジしたマシンだ!! ってそんなに力説すんなよ!! それと!!マーク多用すんなよ>俺、という感じだが、このマシン、使用感が非常にオールインワンノートに近い。
 というのはまず、PCカードスロットや赤外線通信ポートをはじめとするハードウェア構成。一部の液晶デスクトップマシンにはあったが、わりと多くのデスクトップマシンにはないインターフェースがあり、柔軟に応用できる。また、非常にイイ感じなのが、マシンの静粛性と設置時のスッキリ感。例えば、CPUの状態に応じて冷却ファンの回転数が自動的に制御されるので、無駄な排気音はしない。本体につながるケーブルは、電源ケーブルとキーボード用のUSBケーブル(マウスはキーボード経由で接続)とモデム(もしくはLAN)ケーブルで、本体やキーボードにはこれらのケーブルをまとめる工夫がされている。つまり、DynaTopを机上に置いても、机の上でケーブル類がのたうち回るような状態にならず、非常にスッキリする。このあたりの使用感は、液晶デスクトップというよりもむしろノートパソコンに近いのだ。
 ある意味ノートパソコンのスッキリ感を上回っているのは、その大型液晶と本体の形状。15型でXGA表示の液晶は、デスクトップ機の大画面というイメージとその奥行きのなさのギャップから、ノートパソコンを上回る空間的な効率の良さを感じさせる。また本体の形状やサイズは、なんつーか“本体”っちゅーコトを感じさせないほどスッキリしていて、単なる液晶ディスプレイの足みたいな感じ。この中にホントにパソコンが入ってるんですか、という印象だ。  が、このクネッとした部分にホントにパソコン本体が入っていて、そのパソコンというのはCeleronの433MHzだしDVD-ROMドライブ搭載だしで非常にパワフルかつ愉快な内容。体感速度的には後述のSS3380に近い感じで、非常にスピーディな処理をやってのける。加えて、DVD-ROMドライブ部は東芝ならではの交換型ベイ方式ことセレクタブルベイなので、時には増設HDD、時にはFDDという感じで交換使用可能だ。それから、ちょっとおもしろいことに、DVDビデオソフトが付属しており、このマシンのエンタテイメントな側面も覗かせている。もちろん、DVDビデオはスムーズに再生され、ディスプレイも15型とかなりデカい感じ。ちょっとしたシアターになってくれる。あ、あとこのマシン、意外なほど消費電力が少ない。
 ハイパフォーマンス、DVD-ROMドライブ、超省スペース、そんでもって高静粛性で省電力。この全体像を見て思うに、やはりコレはパーソナルユースのメインコンソールという感じで、ずっと電源入れっぱなしで使うのがイイ感じだなぁ、と。メール端末としてずっと動かし続けつつ、コレで仕事をしつつ、夜はグラス片手にDVDビデオを観つつ……みたいな。あ、いや、別にママはメール、ボクはゲーム、お姉ちゃんはDVDビデオ、パパは家に帰ってきてまで仕事、というホームユースでもいいのだが、ともあれ、つけっぱなしにしてコキ使うのに、非常に都合のいい新スタイルマシンだという印象である。















 DynaBook SS3380は、これは非常にヤバいマシンだ。ていうか俺はつい先日、DynaBook SS3300をゲットし、そのポータビリティとパフォーマンスとすげぇ安定性に惚れ込んでいたというのに、もっと凄まじいのがもう出ちゃったので、俺の精神状態がヤバい。くぅ~こっちの方がすげーイイじゃん!! イヤーン!! ダメダメぇ~ん!! ていうか最強に欲しまっている!! んガーっ!! みたいな。
 まあ俺のことなんざぁさておき、このマシンを触ってまず感じたのは、スコンスコンと軽快に処理しまくるそのパワー。モバイルPentiumII400MHzってのは速いんダということについて、頭ではわかっているのだが、実際こんなにスリムなマシンがこうも軽快に動いてくれるとある種のカルチャーショックを味わう。加えて7GB以上の空きを持つハードディスク容量。とどめはXGA(1024×768ドット)表示の液晶。さらにダメ押しでPCカードスロットが2基あったりオプションの大容量バッテリ付ければ最大約8.5時間も稼働したり……しかも世界最薄(Windows98搭載B5サイズ)でしょ……んでもって東芝製パソコンの怒濤の安定性でしょ……。なんつーか、去年あたりにノートパソコン買った人をガッカリさせるような、スパーッと鋭い性能とドオォオォンと構えた安心を兼ね備えたマシンである。
 俺に、どうしろと、言うのだ!! コレ買えってか!? ていうか次に買うならコレって感じの、俺的には文句ナシのノートなのである。もしかすると、いやもしかしなくても、十分にメインマシンとしてイケちゃうマシンなのである。で、買ったら、恐らく、まずはキーボード交換ですな英語キーボードに。で、少々使ったらマシン全体をカラーリングでしょ。しかもオレンジだ!! オレンジ!! しかも怒濤のハイパフォーマンスにてB5!! くぅ~っ、たまらねえ!! って思わず妄想に耽る俺なのであった。
 でもアレだ、ほんの2~3日前に「そうだB5とかのノートパソコンを買おう!!」なんて思い立った人は幸いだと言えよう。有力な選択肢であるSS3380が登場しているんだから。でもナンだ、パソコン歴3ヶ月でぇ~すなんて人がこのマシンを即買いしたら、俺としてはもはやスネちゃうしかないと言えよう。えーっのっけからいきなり最終回答マシンみたいなの買っちゃわないでよ~俺なんか20年とかパソコンやってんのにそうそうイイのにはお目にかかれないって言うのにさーも~、みたいに。あら、なんか俺のグチ羅列的文章になりつつあるが、ともかく、このマシン、掛け値なしで基本的にかなりイイっス、マジで。
 ともあれ、処理能力と言い、ポータビリティと言い、ハードウェア構成と言い、モバイルメインマシンとして、じ~っくり吟味してみる価値がありまくりのB5ノートだと感じた。















 DynaBook2550X(DVDモデル)は、ノート派の俺としてはかなり納得できるマルチユースマシンだ。処理性能的には先鋭的とまではいかないが、それでも十二分にスピーディに動くし、14.1型でXGA表示でDVD-ROMドライブも搭載してて(DVDTAモデルのみ)ステレオスピーカー内蔵というあたりは、まあたいていのコトができちゃう構成だと感じる。
 モノとしては前述のDynaTop6000のような感じでいろいろな目的に使える、便利で愉快でフレンドリーなマシンだ。が、単に便利っぽいというだけではなく、デスクトップ機の代替え機として真剣に考えられる、実用性の高いマシンでもある。
 仕事もできるし、趣味にも使えるし、DVDデッキとして遊ぶこともできる。オフィス系のアプリなんかサクサク動く処理性能は十分持ち合わせているし、何よりもプリインストールアプリとして最初から入っている。ソフトウェアに関しては、インターネット系、サウンド系、画像系、それから他機種とのデータシンクロナイズ用ソフトなども用意されている。DynaTop6000と同様に、DVDビデオソフトも付属するというから、ホームユースやパーソナルユースには非常に都合がよく、また、現実味を帯びた内容である。
 使ってみた感じは、DynaTop6000とかなり似た感じと言えばそうなのだが、個人的には、かつての東芝製フラッグシップノートパソコンであったTECRA780DVD(最強に強まっているしナイスだしアメイジングなハイエンドノートパソコンだヨ!!)のような印象がある。ちょうど、TECRA780DVDに、仕事用のソフト、通信用のソフト、それからオーディオやビジュアルを楽しめるソフトを入れ、さあコレで俺の環境は完成したゼこれ1台で仕事して遊んで楽しむゼみたいな状態。
 おおよそ使いそうなソフトウェアを全部入れたハイスペックノートマシンというのは、非常に安心感とスッキリ感とサッパリ感とポッキリ感が高く、我ながら“○○感”という造語を使いまくりでわけわかんねえなぁということで悔い改めていきたい!! で、マジメに書き直すと、そのノートマシンが自分の書庫であり書斎でありプライベートルームになってくれるというコト。そこには仕事場があり、ネットがあり、遊べる対象がある。何よりもそのノートマシンが情報の中核となるのだ。俺の場合なら、TECRA780DVDがデジタルな生活におけるメインステージであり、生活の交差点的な役割をしたのである。また、ノートパソコンということで、いざとなったらいつでも持ち出せるという点がいい。恐怖の大王が来ようが、借金取りが来ようが、コレ担いで安全な場所に走れば、何ら不便を感じることがない、という安心感がいい。
 そんな意味で、高機能・高性能でありかつ、最初からソフトウェア類が入っているDynaBook2550X(DVDモデル)は、自分のメインマシンとしてすげぇ持ってこいのマシンだと感じた。デスクトップマシンよりも軽快で合理的な、非常にパーソナルな情報基地として考えれば、ホームユースノートという位置づけからは見えてこない魅力が溢れ出す。


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LibrettoDyna TOP | SS 33802550 X