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  • 【第6回】新素材を活かすカギは、本体の構造設計にあった
    妥協のない軽量化の苦労話
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新素材を活かすカギは、本体の構造設計にあった
妥協のない軽量化の苦労話

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 素材ばかりに話題が集中するLaVie Zだが、その新しい素材を活かし、そこからどのように筐体に仕立て上げるかで、本体のイメージは大きく変わる。しかも今回は、世界最軽量のみならず、国内最薄、クラス最小レベルという難関もクリアできている。これらについて、米沢事業場を訪ね、この斬新なUltrabookの構造設計に関わった梅津秀隆氏(商品開発本部設計技術部)に話をきいてきた。

NECパーソナルコンピュータ株式会社 商品開発本部設計技術部 梅津秀隆氏
NECパーソナルコンピュータ株式会社
商品開発本部設計技術部
梅津秀隆氏

―最初にマグネシウムリチウムを使うことが決まったそうですが、構造設計に影響はあったのでしょうか。

梅津 まず、NECとしては金属プレス成形品に使うのは初めてなんですよ。成形品の特徴として内部に、部品を固定する為のボスや補強リブなどの形状を形成することができない点があります。そこで、どうすれば部品を筐体にしっかりと取り付けられるかがキーとなりました。
 あとは、成形品の端面の保護でしょうか。こればかりは、構造だけではどうしようもないところがありました。デザイナーといっしょにトップカバーと底板の合わせ目をどうするかなどで悩み、最終的にRを持ったシルエットを想定して、上の筐体に押し込むようなフォルムを作りました。
 新素材で且つ初めてだったことも重なって、プレス工程の制限がまだわからなかったために、試験金型を作って何回もトライしています。外周側面の絞り形状を作るだけでもたいへんでした。
 結局、最終的なデザインガイドラインを作るために、いろいろ試す必要がありました。まあ、実践しながらガイドを同時に作ったようなものですね。
 世界初という点で、強度がどのくらいあるのか見当もつかず、ねじ穴の配置などには苦労しました。今更変えられないよとか、やりとりがありましたよ。変更があって、内部で1ミリずれるともうたいへんです。スピーカー穴同士をどのくらいくっつけていいものかなど、とにかく初めての素材なので何もわからないわけですから。

―構造設計の点で軽量化へのチャレンジはどう進められましたか。

梅津 ある値を切れという指令がくだってきて、それがそのままターゲットとなりました。要するに、世界一をめざせということです。
 実は、商品企画サイドが最初思っていた重量と、技術サイドが思っていた重量との間にはギャップがあったんです。企画サイドが想定していた重量では世界一は無理でした。でも、今回は技術サイドが世界一を主張しました。つまり、技術がターゲットを決めたんです。
 当然、企画はそれにのってきますよね。それどころか、めざすところが、13インチだけど、13インチじゃないように見せようと技術側が主張したりと、もう、技術側のこだわりようはすごかったです。


超軽量新合金パネル採用のカギは、本体の構造設計の貢献だ

―底板素材だけではこの軽量化は実現できませんよね。

梅津 もちろんです。たとえば、筐体一体型LCD設計も、軽量化に大きな貢献をしています。パートナー企業から、通常のLCDを購入してきて、それを組み付けているわけではないんです。当然、液晶のその中身は介入できないところはありますよ。そこはブラックボックスですから、設計でも見れないというところがあります。
 通常は、LCDを囲むようにして、LCDをモジュール化するんですが、今回は、軽量化のためにその金属フレームを排除して、金属重量を軽減しています。筐体に直接LEDバックライト、フィルム、ガラスなどを組み込んでいるのです。
 基板についても、従来の1.0mmから1.2mm厚を、約0.8mmまでダイエットして軽量化に貢献させています。
 バッテリに関しては、6セルで、合計3000mA/hとなっています。容量が小さいと思われるかもしれませんが、実用的なバッテリ駆動時間は確保できています。
 バッテリそのものもフィルム状で基板上に重ならない様に配置しました。片側はハードケースで覆われていますが、片側はハダカです。普通は両面を覆うのですが、装置全体としてバッテリを守る構造を作りました。そのことも軽量化に貢献しています。
 ファンの位置については、いろいろ考えたんですが、最終的に左奥にしました。申し訳ないのですが、右利きを優先しています。マウスを使ったときに、温風が手に吹き付けるのを嫌ってのことです。
 無線アンテナについては、本体側に入れることも考えたのですが、「電波の見える化」などのテストの結果、やはり、天板側に持って行きました。
 ビスの位置なども工夫しています。ゴム足を通じて外部から力が入っても基板にダメージを与えないような位置的配慮です。ゴム足もずいぶんいろんなものを試して、今のものに落ち着いています。
 変わったところでは、トップカバーの立ち壁の端面を外側に見せている部分に注目してほしいですね。底板とトップカバーの合わせ目のところは、本来は見せてはならない部分なんですが、そこがむき出しになっています。それでも見た目が不自然でないように工夫しました。

―薄い割にはキータッチの剛性感が確保されているように感じました。

梅津 キーボードにも軽量化の工夫があります。筐体一体型キーボード構造で、キーピッチは18mm、キーストロークは1.2mmを確保しました。操作性と軽量化のバランスを考えながら、入力の操作性を損なわないようにしています。
 工夫としては、キーボードを下から取り付けてぶら下げるようにして取り付けてあるのですが、そのために、ネジ64本を使っています。組み立て作業におけるアセンブリはたいへんですが、そこは泣いてもらいました。下に何もないので、剛性を確保するためにはこうするしかなかったんです。アイソレーションキーボードですが、アルミのプレートと筐体のマグネシウムで剛性を確保しています。
 入力系では、タッチパッドのNXパッドも新設計です。ついにボタン一体型となりました。操作性は従来と少し異なりますが、ソフトウェアユーティリティで快適なものになっているはずです。ちなみに、天板のNECロゴは、角度によって見え方が変わるホログラムを使いました。


LaVie Z開発のキーマンふたりと記念撮影

―今後、ノートPCはまだまだ軽く薄くなっていくのでしょうか。

梅津 色々な技術開発を進めておりますので、ノートPCはまだまだ軽く薄くなっていくと思います。期待してください。

―ありがとうございました。

(山田 祥平)

 

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