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  • 【第2回】世界最軽量の商品コンセプト
    13インチで11インチなみのモビリティを
  • 【第1回】「軽」「薄」を極めたLaVie Z。その陣頭指揮をとったキーマンに迫る
    やるからには世界ナンバーワンの勲章を

 

世界最軽量の商品コンセプト
13インチで11インチなみのモビリティを

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 LaVie Zは、Ultrabookプラットフォームの中で、世界最軽量。一般的なNECパーソナルコンピュータの製品作りは、商品企画と商品開発のタッグで行われるが、この製品では従来以上に両者の関係は密だったという。今回は、この製品の商品企画に関わった中井裕介氏(NECパーソナルコンピュータ株式会社コンシューマPC商品企画本部 プラットフォーム企画部)に、製品成立までの経緯について話をきいてきた。

NECパーソナルコンピュータ株式会社 コンシューマPC商品企画本部 中井裕介氏
NECパーソナルコンピュータ株式会社
コンシューマPC商品企画本部
中井裕介氏

―Ultrabookは、どうしても、各社、横並びになってしまいがちなプラットフォームですが、その中で、どのような製品を目指したのでしょうか。

中井 Ultrabookに関わることになったのは、2011年の2月か3月くらいだったと思います。その後、6月のCOMPUTEXでインテルがコンセプトを発表していますから、その少し前ということになりますね。
 薄い、レスポンスが速い、長時間駆動などUltrabookに求められるスペックは最初からある程度決まっていましたので、NECがUltrabookをやるとしたら、一発目はきっと、モバイルだろうなと予想していました。自分がモバイル担当ですから、きっと自分が担当することになると思いましたし、これまでにないチャレンジャブルな商品になることも予想できていたので、ぜひ担当したいとも思いました。それで、6月くらいに思惑通り、LaVie Zの企画を担当することが決まりました。
 当初は、コンセプトの検討からスタートしました。Ultrabookはその薄さに注目されがちですが、モバイルとして企画するのですから、モバイルユーザーが何を求めているのかということを考えなければなりません。モビリティの要素には薄さ、軽さ、フットプリント、バッテリ駆動時間などがありますが、ユーザー調査の結果から「軽さ」が最も重視されていることは分かっていました。ですので、その「軽さ」でNo.1を目指したいと考えました。

―実際の商品企画というのは、どのような流れの中で行われるのですか。

中井 自分自身は、ずっと、モバイルのチームで、LaVie Mの商品企画を担当してきました。全体的な流れは従来通りなんですが、今回は特に開発と密になって話をしたように実感しています。
 企画当初は11インチにしようかとも考えていたのです。その過程で、2012年の時点でキーとなるLCDはどんな感じなのかなど、技術的なデバイスのトレンドの調査も行いました。
 ほぼ、考えがまとまってきたとき、普段だと企画のチームで商品の要件を決めて、それを実現できるのかどうかのフィジビリティ検証を開発に行ってもらうというプロセスが多いのですが、今回は、米沢で集中検討会を開発といっしょにやることになったんです。部長レベルから本部長代理クラスまで出席する大規模な会議です。普段じゃあまりないタイプの会議ですね。
 その会議の中で自分のアイディアを提示して、それをもとにいろんな議論をしました。世界最軽量にしたいというコンセプト自体は、キックオフの前に根回ししてみて、ある程度認められていたんですよ。いいんじゃないかと。それを実現するにあたって、どうするのかというのを決めるのがキックオフの会議でした。
 最軽量といっても、実現手段はどうするのかということになって、3年前からマグネシウムリチウムの話はあって進行中だったので、今回はこれをうまく使いたいということをみんな考えていたようです。
 社内のコンセンサスが最後の最後まで合致しなかったのは、11インチと13インチ、どちらのスクリーンサイズにするかです。そこに迷いがありました。
 当時のLCDのトレンドとして11インチに薄くて軽いものがなかったということもあります。そして、13インチの方がLCD単体のデバイスとして薄くて軽いものが多く登場してくるということも見えていました。
 もし、11インチで作ったことを想定したときに、中味のスペックを同じにしようとすると分厚くなったり、バッテリを小さくしなくてはならなかったり、内部レイアウトが厳しくなるとか、コネクタ・インタフェースもあきらめなければならないといったさまざまな懸念もでてきました。
 モバイルとしてのトータルバランスでは13インチの方がいいのではないかと話の流れが傾きかけたときに、商品開発部長が「じゃあ、13インチで11インチなみの軽さのものを作ればいいんだろう」と、いきなり発言したんですよ。
 そりゃもう、渡りに船ですね。じゃあ、やってください。ぜひやってくれ、いや、やってくれなくちゃ困ると(笑)。そんな経緯でした。決まったあとはやってもらうしかありません。
 結果として、軽くするために想定したスペックから見直した部分はゼロではありませんが、それは軽くするために許せる部分におさまっていると思います。たとえば、USBポートを2つに絞っている点などでしょうか。しかも、それが右側に集中しているのですが、たとえば、外付け光学ドライブを接続するときに、二股ケーブルを使えるようにするといった工夫をしているんですね。また割り切ったインタフェースを補助するために、Bluetoothも内蔵していますし、ネットワーク経由で1台目PCとデータを共有できるNetwork Duetや、1台目PCの光ディスクドライブ使用することが可能な光ディスク共有設定ツールも搭載しています。だから、企画サイドとしてはユーザビリティを確保した上で最軽量を実現できていると考えています。


無理はしていない。ほんとうに軽いのだ

―どのようなユーザーを想定しているのでしょう。

中井 たとえばLaVie Mがあるからこそ、LaVieZができたようにも思います。すべてが揃ったモバイルはLaVie Mで、もっとモバイルしたいならLaVie Zということです。そういう意味では、NECの中の切り分けができたようにも思っています。他のメーカーのラインアップを見ると、どうやって売り分けるのか、コンセプトがあまりにも重複しているような印象も受けますからね。
 想定ユーザーとしては、まず、記者の方や、ライターの方に使ってほしいですね。つまり、PCを持ち運んでガシガシ使っているヒトに買っていただきたいと考えています。それがすべてではないのですが、ターゲットユーザーとして、わかりやすく設定すれば、そういうことになります。もちろん、実際は別のユーザー層の方にも気に入っていただいて買ってもらえると思ってはいます。カッコいいからという動機でPCを買ってこられたユーザーにも、今回は響くと思っています。
 薄いということは、デザインの一部だと思っています。当然薄さはモビリティの一つの要素ですが、たとえば1ミリ厚いからといって、持ち運びに影響しないわけじゃないですか。そういう意味では1ミリや2ミリの差はクリティカルではないんです。でも、薄さはデザインに効いてくるんです。今回の、14.9ミリという厚みは、軽くするなかでのいちばんカッコいいルックスにするための必然だったということです。
 いずれにしても、アーリーアダプタ、つまり、とがったものが好きな人はたくさんいます。まずは、そういう方に使っていただきたいと思います。

―Ultrabookのコンセプト自体はどのように考えていますか。

中井 薄い、速い、長時間駆動というのは非常にユーザメリットのある素晴らしいコンセプトだと思うのですが、一方で中途半端なものにするとCULVと何ら変わらない、新規性のない商品になってしまうのではないか、という懸念も同時に感じました。Ultrabookというプラットフォームを活かして、ユーザーが何を求めているのかを考え、どのように特徴づけて他社と差別化するかがメーカーの腕の見せ所ではないでしょうか。
 今のULVを冷静に見てみると、特別ハードな作業をしない限り、処理性能は十分です。ターボブーストを有するCi7、Ci5であればなおさらですね。
 それに、今回はSSDを搭載しているのですが、これがまたきわめて高速です。だから、レスポンス的にまったく問題ないのは明らかです。それは使ってみればすぐにおわかりいただけます。
 LCDに関しても1600×900の高解像度を採用していますので、写真などのデータをより高精細に楽しんでいただくことが可能ですし、表示領域が広いので作業も捗りますよ。
 LaVie Zは13インチでありながら、世界最軽量の11インチよりもさらに軽く、100g程度のアドバンテージがあります。そのハンドリングのしやすさとフットプリントのバランスを見て欲しいですね。これが、11インチだとモバイルとしてのトータルバランスがかえって悪くなってしまうんです。
 バッテリでの駆動時間も約8.1時間を確保しました。さまざまな省電力施策を行っていますが、約875gでこれだけの駆動時間を確保できたのは、UMチップセットの採用が大きく貢献しています。
 UMチップセットはモニタ出力のLVDSなどをシュリンクしているので、そのぶんHMチップセットに比べて電力消費が小さくなっているんです。もちろん、そのため、LCDを選んでしまうとか、他にもRGB/VGAがないとか、機能的に割り切ったチップセットなんですが、今回は、ちょうど、LaVie Zといろんな条件が一致しました。
 バッテリ駆動約8.1時間はモバイルとして完全に満足できるかというと満足はできないけれども、最軽量と計りにかけて、どこまでなら許容できるかを考えたときに、問題ないレベルにあると考えています。
 また、バッテリ駆動時間を補う機能として、1時間で80%の急速充電をサポートしています。この部分を加味すれば、受け入れられてもらえるはずだという判断です。もっと短時間での急速充電も不可能ではないのですが、今回の内部形状にもっとも合ったリチウムポリマーバッテリを採用し、バッテリ劣化の寿命等も考慮した結果、1時間で80%の設定となっています。
 さらに本体と合わせて持ち運びやすいように、ACアダプタも18.5ミリの薄型ACアダプタを採用しています。アダプタが約260gでコードを合わせると約300gになります。もう少し小さくすることもできるのですが、そうすると急速充電ができなくなってしまいます。だから、そのベストバランスとして、このサイズになりました。それでも本体とACアダプタトータルで1.2kg程度に収まっていますので、一般的な13インチUltrabookの本体質量よりも軽いということになります。

―ここまでくると、スレートPCとの重量差もわずかになってきました。その差別化はどのように考えていますか。

中井 確かにタブレットは情報の消費に向いていると思います。でも、ちょっとでもクリエイティブな要素が入ってくるとイライラするんですよ。SNSのようなアプリケーションでも他人の記事を見ている分にはいいんですが、自分がいざ書こうとするとストレスがたまります。PCなら、そのストレスがありません。キーボードがしっかりしていて、スクロールもスムーズです。だからストレスがない。タブレットとはそこが決定的に違うのではないでしょうか。

―企画と開発が作ったものが完成した今、次は、どう売って欲しいかと考えていますか。

中井 とにかくかっこよくプロモーションしてほしいですね。従来通りの安心、簡単、快適のイメージを持たせた上で、ワクワクする製品として売ってほしいと思っています。Ultrabookを女性向けにという話もよく聞きます。そういう意味では、軽さや薄さでLaVie Zを選んでくれる女性ユーザーもいるかもしれませんね。
 最軽量にしようとしたときに感じていたのは、すでに、薄型のノートPCはいくつかでてきていて、見た目はかっこいいとは思うんですが、手に取るとすごくガッカリするんですね。つまり、薄いのに重いんです。とにかくそのガッカリ感を消したかったのです。
 薄いなりの軽さがあるというのが最軽量のコンセプトを支える考え方です。だから、ぜひ、手にとって感じて欲しいですね。持ってもらって違和感のない重さです。逆に軽過ぎて違和感を覚えるかもしれません。それさえ体感してもらえれば、われわれの思惑通りに気に入っていただけるはずなのですが…。

―ありがとうございました。

(山田 祥平)

 

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