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法林岳之の非同期通信レポートMobile

第5回:CeBIT2000レポート
CeBITで見かけた世界の携帯電話
【前編】


 2000年2月24日から3月2日までドイツ・ハノーバーメッセで開催されていたCeBIT2000。今回から数回に分けて、レポートをお送りしたい。まず、最初はCeBIT2000の会場で見かけた世界の携帯電話を紹介しよう。一部、速報と重なるものがあることをあらかじめご了承いただきたい。

 CeBITが開催されるドイツは、GSM方式によるデジタル携帯電話のエリアだ。そのため、CeBITの会場で展示されている携帯電話のほとんどがGSM方式によるものだ。PDC方式やCdmaOne方式が採用されている日本市場にはあまり縁がなく感じられるかもしれないが、速報でも紹介したように、次世代携帯電話ではヨーロッパのメーカーが日本市場に参入してくる可能性も十分に考えられる。そのことを踏まえて、ご覧いただきたい。



■ 世界最大のシェアを持つNOKIA

 国内の携帯電話を見ていると、松下電器(Panasonic)やNEC、三菱、富士通といったメーカーが大きなシェアを獲得している。過去、日本市場で発売された海外メーカーの携帯電話と言えば、Motorola、NOKIA、ERICSSONの3社くらいだろう。一方、世界に目を転じてみると、実はこの3社が非常に大きなシェアを獲得していることがわかる。DataQuestの調べによれば、1999年に全世界で販売された携帯電話のうち、約27%のトップシェアを確保しているのがNOKIAであり、これにシェア約17%のMotorola、約11%のERICSSON、約6%のSamsung、約5%のPanasonicが続いている。

 その世界最大のシェアを持つNOKIAが、今回のCeBIT2000に合わせて投入してきた携帯電話が「NOKIA 6210 / 6250 / 8890」 の3機種だ。

 まず、NOKIA 6210は96×60ドット表示が可能な液晶ディスプレイを搭載したスタンダードなモデルで、主にビジネスマンをターゲットとしたNOKIAの主力モデルだ。これをベースに、対衝撃・耐水性能を実現したのがNOKIA 6250だ。速報でもお伝えしたように、CeBIT2000の会場でも水槽や岩の上に落とすといった手荒いデモを行なっていた。NOKIA 8890はさらに上位のモデルで、NTTドコモ向けのNM207でも採用されたご自慢のアクティブスライドを採用している。国内向けに間もなく販売されるNM502iもこれに近いデザインが採用されると予想される。

NOKIA6250 NOKIA
NOKIA 6250
サイズ:142×50-58×23-27mm、159cc、167g。対衝撃・耐水性能を確保したアウトドア向け携帯電話
NOKIA 6210(左)
サイズ:129.5×47.3×9.3mm、95cc、114g。新製品のスタンダードモデル
NOKIA 7110(右)
サイズ:125×53×24mm、125cc、141g。アクティブスライドを採用したWAP対応端末

NOKIA
NOKIA 8210(左)
サイズ:101.5×44.5×17.4mm、66cc、79g。軽量モデル
NOKIA 8850(左から2番目)
サイズ:100×44×18mm、70cc、91g。ハイエンド向けモデル。日本向けiモード端末のベースモデル?
NOKIA 9110Communicator(右から2番目)
サイズ:158×56×27mm、218cc、253g。本体を開くとキーボード付き端末に早変わりするWAP対応端末
NOKIA Card Phone(右)
PCMCIA TypeIIスロットに装着できるデータ通信一体型端末。43.2kbpsのHSCSDなどに対応。外部アンテナもオプションで提供

 この他にも従来から販売している「NOKIA 9110 Communicator」などのデモンストレーションを行なう一方、新たに発表したNOKIA WAP Serverの解説も熱心に行ない、NOKIAブースは常に人でごった返していた。



■ 日本市場を意識し始めたERICSSON

 世界第2位のシェアを持つERICSSONは、国内向けにNTTドコモのER205/207を販売した実績を持つが、日本にはそれほど馴染みのないメーカーのひとつだ。しかし、同社がCeBITで配布していた資料で、NTTドコモのiモードを携帯電話のコンテンツサービスの成功例として紹介するなど、日本市場に対する分析もしっかりしている。

 ERICSSONは今回のCeBITに合わせ、非常に多くの新製品、開発モデルを持ち込んでいる。携帯電話についてはNOKIAの隣にブースを構えていたが、NOKIAに負けず劣らずの人気ぶりだった。まず、今回の新製品で目を引いたのが対衝撃・耐水性能を実現した「R310」だ。NOKIA 6250とまったく同じターゲットに対する製品で、日本のG-SHOCKケータイ「C303CA」のライバル的な存在とも言える。最上部の突起はShark Finと呼ばれるアンテナ部分で、柔軟性の高いラバー素材を使っている。肩口から床に落としても動作に問題ないことをアピールするなど、デモンストレーションもなかなか強烈だった。カラーバリエーションがNOKIA 6250よりも豊富なため、アウトドアユーザーだけでなく、カジュアルな服装のユーザーにも受け入れられそうだ。

 すでに昨年発表されていた製品だが、R310以上の耐衝撃・耐水性能を求めるユーザーには、「R250Ss Pro」がラインアップされている。こちらはR310に比べ、無線機のようなデザインを採用しており、ボディサイズもひと回り大きい。どちらかと言えば、工事現場や作業現場で働く人のための携帯電話と言えるだろう。しかし、日本でもそういう用途を考慮した携帯電話はあってしかるべきで(デジタルカメラはあるのに……)、R250s Proをもう少しスマートにした製品を日本向けに販売してもらいたいところだ。

ERICSSON ERICSSON
ERICSSON R310
対衝撃・耐水性能を実現したアウトドア携帯電話。最上部のShark Finと呼ばれるラバー素材の部分にアンテナを内蔵
ERICSSON R250s Pro
サイズ:148×59×32mm、325g。よりハードな環境での利用を考慮した携帯電話。冒険野郎向き?

 また、開発モデルとしては、EPOC OSを採用した「ERICSSON Communicator Platform」のデモを行なっていた。ERICSSON Communicator PlatformはWAP/HTMLブラウザを搭載したGSM携帯電話で、SMS(Short Message Service)やメール、FAXなどをサポートする。GSMエリアで提供されているGPRS(パケット通信サービス)などにも対応し、GPSレシーバーやIrDA、Bluetoothのユニットも内蔵する統合的な端末一体型PDAだ。開発モデルのため、発売時期などは明らかにされていないが、次世代携帯電話へ向けて、さまざまなサービスを統合したオールインワンのPDAの完成を目指しているようだ。

 携帯電話そのものではないが、携帯電話に接続できる「MP3プレーヤー」も出品されていた。ERICSSONは「Chatboard」と呼ばれる外付けキーボードをリリースしており、携帯電話の周辺機器には非常に熱心なようだ。MP3プレーヤーは携帯電話本体の電源で動作し、約30分の音楽を再生できるとしている。もちろん、着信時には音楽を停止して、応答することが可能だ。発売は2000年半ばを予定している。

ERICSSON ERICSSON
ERICSSON Communicator Platform
EPOC OSを採用したGSM携帯電話内蔵統合型PDA。GPRSやHSCSD(High Speed Circuit Switched Data)などにも対応し、Bluetoothの通信機能も搭載
ERICSSON MP3プレーヤー
同社のGSM携帯電話に接続できるMP3プレーヤー。記憶メディアはMMCを採用



■ 日本でおなじみの各社は?

 NOKIA、ERICSSONの2強に対し、日本でもおなじみのメーカーはどんな製品を出品していたのだろうか。

 まず、北米市場では圧倒的に強いMotorolaだが、GSMエリアではヨーロッパ勢に押され気味だ。CeBIT2000にはGSM携帯電話の新製品を6機種も発表しているが、全機種をWAPに対応させるなど、かなり意欲が感じられる。

 これら6機種のうち、筆者が注目した機種を2つ紹介しよう。ひとつは「TIMEPORT P1088」、もうひとつは「V2288」だ。TIMEPORT P1088はWAP/HTMLブラウザを搭載した携帯電話で、大画面の液晶ディスプレイを搭載しているのが特長だ。なかなかカッコいいデザインではあるが、カラフルで斬新なデザインを採用するGSM携帯電話の中にあっては、地味な印象が残る。対照的なのが「TIMEPORT V2288」だ。こちらは丸味を帯びたデザインを採用しているが、写真を見てもわかるように外側部分のラバー製カバーが交換できる構造が印象的だ。ちなみに、こうした『着せ替え携帯電話』は他社のブースでも見かけられた。

MOTOROLA MOTOROLA
Motorola TIMEPORT P1088
大画面の液晶ディスプレイを搭載したWAP対応端末
Motorola V2288
ラバー製の着せ替えキットを用意したWAP対応端末。FMラジオの機能も内蔵

TRIUM
Trium Mondo
サイズ:130×90×23mm、200g。Windows CEを搭載したPDA機能内蔵GSM携帯電話。MP3プレイヤーとしても利用可能

 ところで、「Trium」というブランドをご存じだろうか。日本ではほとんど耳にしたことがないが、Triumは三菱電機がGSMエリアで展開しているブランド名だ。国内ではフリップ式の携帯電話でおなじみの三菱電機は、GSMエリアでも同様のデザインを採用した製品をはじめ、数多くの製品を販売している。今回のCeBIT2000では開発モデルなどを含め、新しい製品をいくつか持ち込んでいた。
 なかでも注目したいのが「mondo」というPDA機能を内蔵したGSM携帯電話だ。mondoはWindows CEをOSとして採用しており、GPRSやFAX送受信、MP3プレーヤーなどの機能も搭載している。バッテリ込みで約200gという軽量ボディも魅力だが、三菱電機としては主に企業向けを販売対象として考えているという。日本国内でもアレンジ次第では面白い展開が期待できるのではないだろうか。

 一方、国内はもちろん、世界的にもトップクラスのシェアを獲得する松下電器は、GSMエリアでもなかなか人気が高い。特に、CeBIT2000期間中は、同社がGSMエリアで販売する「GD92」をモチーフにしたバルーンが配布され、会場内のそこら中でPanasonicケータイのバルーンを見かけることになった。
 ちなみに、GD92はNTTドコモのP208とよく似たデザインを採用している。これに対し、やや角ばったデザインを採用し、WAPブラウザを搭載した新製品が「GD93」だ。90gという重量は日本向けから考えると重いが、これでもGSM携帯電話としては最も軽い部類に属する。松下電器ではこの他に、日本の展示会ではおなじみとなったW-CDMAのデモ機やモックアップなどを展示していた。なかでもカメラを内蔵したデモ機はかなり注目を集めていた。

PANASONIC PANASONIC
Panasonic GD92
サイズ:118×40×15mm、78g。4色バックライトを採用したスタンダードモデル
Panasonic GD93
サイズ:90g。WAPブラウザを搭載したモデル

 この他の国内メーカーではNECと富士通などが出展していた。NECは日本で販売するN502iやエクシーレなどを展示するほか、GSMエリアで販売する同じ折りたたみ式モデル「DB5000」「DB6000」、そしてW-CDMA向けのVideoPhoneを出品していた。ちなみに、DB5000/6000はいずれもWAPに対応している。次世代携帯電話でヨーロッパ市場の本格参入を狙う富士通は、W-CDMA向けのモックアップなどを展示し、来場者にアピールしていた。NECでも富士通でもW-CDMA向けモデルに人気が集まっていたことは言うまでもない。

NEC NEC
NEC W-CDMA端末 VideoPhone
次世代携帯電話のVideoPhone。Bluetoothによる通信機能も搭載
NEC N502i
日本ではおなじみのiモード端末も出品。ヨーロッパでもiモードに対する関心は高く、注目を集めている

FUJITSU
富士通 W-CDMA端末モックアップ
次世代携帯電話でヨーロッパ市場本格参入を狙う富士通はW-CDMA端末のモックアップを出品

 NECや富士通とは一味違った形で受け入れられていたのがソニーだ。ソニーはCeBIT2000でCMD-Z5というコンパクトなGSM携帯電話を発表し、会場の注目を集めていた。ボディサイズは日本のPHSなどに近いもので、フリップ式で内部に液晶ディスプレイとボタン類を備える。側面にはクルクルピッピッでおなじみのジョグダイヤルも装備している。CMD-Z5の特長は外見だけではない。コンテンツサービスを閲覧するためのブラウザとして、WAP/HTMLの両方に対応したMicrosoftのMobileExplorerを採用しているのも見逃せない点だ。

 純粋な携帯電話というわけではないが、カシオは同社のCASSIOPEIAにGSM携帯電話を一体化させた開発モデルをCeBITで公開している。背面側のCFスロットを利用し、携帯電話の機能を内蔵したため、ボディがかなりゴツくなっているが、すでに通話とWAPコンテンツの閲覧は実現している。これをベースに、日本向けにPacketOneの機能を内蔵したシングルモード端末を発売してくれないだろうか。

SONY CASIO
SONY CMD-Z5
サイズ:88×49×21.5mm、78cc、82g。おなじみのジョグダイヤルを装備したコンパクトなGSM携帯電話
CASIO CASSIOPEIA GSM携帯電話内蔵モデル
背面のCFスロット部分にGSM携帯電話を内蔵させた開発モデル

(明日の後編につづく)

◎関連URL
CeBIT2000のホームページ(英文)
http://www4.cebit.de/index_e.html

法林岳之
(2000/3/6)



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