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iモードページも楽しめる「Cara」

■ ツーカーセルラー東京の低価格メール端末

Cara
ツーカーセルラー東京
Cara(カーラ)

標準価格:15,800円。サイズ:156×80×26mm(幅×奥行×高)、185g

 昨年末、ツーカーセルラー東京から「Cara(カーラ)」が発売された。イタリア語で「愛しい人」の意味を持つCaraは、15,800円という低価格ながらメール機能やWebブラウザを搭載したメール端末だ。また、NTTドコモ以外の携帯電話通信事業者としては、はじめて発売されたキーボード付きメール端末ということも注目に値する。早速、製品を購入したので、レポートをお送りしよう。



■ メール、Webブラウザ、短縮ダイヤルの機能を搭載

 ツーカーセルラー東京から発売されたCaraは、セイコーインスツルメンツとの共同開発によって生まれたメール端末だ。メール、Webブラウザ、携帯電話の短縮ダイヤル編集機能が搭載されており、最近のメール端末としては標準的なスペックを持つ。

 まず、メールは一般的なPOP3/SMTPによるインターネットメールの送受信に対応しており、1通のメールを約1KBと計算した場合、受信ボックスに約400件、送信ボックスに約200件のメールを保存することが可能だ。1通あたりの最大受信サイズは、ヘッダー部分を含んで全角で約1万6千文字(8KB)までとなっている。メール送受信時に利用するアドレス帳も用意されており、200件のメールアドレスと電話番号を登録しておくことが可能だ。また、Cc(Carbon Copy)や返信、一括送信などの機能も用意されており、エントリーユーザーのメール端末としては十分な機能が搭載されている。

搭載された機能が並ぶ起動時のメニュー画面 メール作成画面。最大25文字×7行の表示が可能だ

 WebブラウザはCompactHTMLに対応したアクセス製「Compact NetFront」を搭載している。Bookmarkは最大40件、オフラインブラウズのためのページ保存も10件まで可能だ。このWebブラウザはCaraで「ミニインターネット」という機能として扱われている。

 ボディはポケットボード ピュアなどとほぼ同じサイズで、携帯電話と接続するケーブルも本体に内蔵している。接続ケーブルは本体背面に巻きつけるような形で格納する構造になっており、使い勝手もなかなか良好だ。液晶ディスプレイは320×160ドット/4階調表示が可能な2.84インチ反射型モノクロ液晶を採用している。電源は単四乾電池2本を利用し、20時間の連続表示、12時間の連続通信が可能だ。

Caraとポケットボード ピュアを並べてみた。サイズ的には非常に近く、重量もほぼ同等 特徴的な接続ケーブルの格納方式。背面に巻きつけるような構造だ

 キーボードはQWERTY配列を採用し、最上段に各機能をダイレクトに呼び出せるキーを配列する。キートップは楕円形で、約11mmのキーピッチを確保し、キータッチも比較的、しっかりしている。「@(アットマーク)」や「/(スラッシュ)」、「.(ピリオド)」など、インターネットで頻繁に利用する記号も直接、入力でき、後退キーや数字キーの位置なども違和感はない。ただ、キートップに印刷されている文字がアルファベットのみであることからもわかるように、入力方式はローマ字かな変換のみのサポートとなっている。

かわいいデザインのキーだが、意外にタイピングしやすい。キートップにかな文字が印刷されていないことに注目

 本体のカラーは写真の「アトールブルー」の他に、「コスモスピンク」がラインアップされている。今回はツーカーショップで9,800円で購入したが、量販店などでもほぼ同程度の価格設定になっているようだ。年末商戦では各社のメール端末が急速に低価格化したが、Webブラウザを搭載したメール端末で、実売1万円を切る価格を実現しているのは、Caraくらいだろう。



■ 専用アクセスラインとプロバイダサービスも提供

 ツーカーセルラー東京では、Caraの発売に合わせ、インターネット接続サービス「Internet Freeway」を開始している。Internet FreewayはNTTドコモの「moperaネットサーフィン」などに相当するもので、ツーカーセルラー東京の携帯電話と端末機器を組み合わせることでインターネットに接続するサービスだ。料金も通常の音声通話で利用した場合の1/2~2/3程度に自動的に割り引かれるサイバーレートが適用され、最も安いプランでは1分10円で利用できる。あらかじめ申し込んでおく必要もない。

カーラネットの接続画面。ツーカーセルラー東京の最新情報なども提供されている

 また、Caraユーザーのために、「カーラネット」というサービスも提供される。カーラネットはメールアドレスが提供されるサービスで、Caraからオンラインサインアップすることで、無料で利用できる。発行されるメールアドレスは「xxxxx@cara.tu-ka.ne.jp」という形式で、「xxxxxxx」の部分はユーザーが最大20文字まで自由に設定することが可能だ。ただし、一度取得したメールアドレスやパスワードは変更することができない。

 この2つのサービスとCaraを組み合わせることにより、Caraを購入したユーザーは、インターネット接続とメールの送受信をすぐに楽しめるようになっている。ちなみに、Internet Freewayやカーラネットを利用せず、他のプロバイダへの接続やメール送受信の設定も最大9つまで登録できる。設定はメールサーバやDNSサーバのアドレスなども入力しなければならないが、携帯電話で利用することを考慮し、PROXYサーバなどの設定項目も用意されている。



■ 動作速度は遅いが、iモードページ対応は◎

 実際に、Caraにツーカーセルラー東京の携帯電話「TH291」を組み合わせ、InternetFreewayへの接続、カーラネットへのサインアップ、メールの送受信、CompactHTML対応Webページの閲覧などを行なってみた。

 操作をし始めて、まず最初に気がついたのは動作速度の遅さだ。一般的に、こうしたメール端末は省電力やコストダウンのため、CPUが遅いものだが、Caraはポケットボード ピュアなどの他のメール端末に比べても動作が遅く感じられる。ただし、「遅くて使えない~」ということではなく、「少し遅めだね」というレベルだ。メール端末初体験の初心者なら、まず不満に感じることはないだろう。

 同様に、通信に関しても今ひとつ緩慢な印象が残った。当初、この緩慢な反応は本体の処理速度に起因するものだと考えていたが、実はCaraに内蔵されているデータ通信機能にその秘密が隠されていた。

 通常、PDCデジタル携帯電話の通信速度は、RCR STD-27D準拠による9.6kbpsとなっている。これはPDCデジタル携帯電話を採用し、回線交換方式で接続する他の事業者の携帯電話も共通だ。しかし、実際にはデータ圧縮プロトコルのV.42bisも併用するため、テキスト中心の通信であれば、ある程度は実用になると言われている。
 V.42bisは最大4倍の圧縮効率を持ち、PDCデジタル携帯電話との組み合わせでは、最大38.4kbpsのスループットが得られる。もちろん、これは理論値であり、実際には電波状態や送受信するデータの種類によって、スループットは大きく変わってくる。

 これに対し、Caraに内蔵されているデータ通信機能は、このV.42bisをサポートしていないため、理論的にも9.6kbpsしかスループットが得られない。パソコン通信時代をご存じの方なら「素のクンロク」と言えば、わかってもらえるだろうか。

 このV.42bisを搭載しないという手法は、おそらくコスト削減のための苦肉の策だろう。V.42bisを実装するには半導体などだけでなく、ロイヤリティが発生するため、どうしてもコスト高になってしまう。Caraが15,800円という低価格を実現できた要因は、ここにも隠されている。

iモード対応ページを表示してみた。画面中央上のiモードのマークを見てもわかるように、iモード機種依存文字もサポートする

 ただ、遅いとは言うものの、実際に数値を計測してみると、それほど大きなマイナスになっていないこともわかる。たとえば、この連載の前回で紹介したNTTドコモの「ポケットモペラ」をmoperaネットサーフィン経由で接続し、iモード対応の検索エンジン「iseek」(http://iseek.infosekk.co.jp/)を呼び出してみたところ、ポケットモペラがダイヤルアップから約26秒でページを表示できたのに対し、Caraは約35秒という結果になった。他のWebブラウザ搭載のメール端末もテストしたが、ダイヤルアップから表示までに40秒以上かかる製品もあったことを考慮すると、Caraのパフォーマンスは十分実用になるレベルと言える。

 しかし、実際に利用してみて、それ以上に気に入ったのが、WebブラウザのCompactNetFrontだ。CompactNetFrontはCompactHTMLに対応したWebブラウザだが、CompactHTMLはご存じのように、iモード対応ページの記述言語としても採用されており、すでに3千以上の対応サイトがあると言われている。Caraではこれらのiモード対応ページをiモード携帯電話よりも大きな画面で見ることができ、iモードの機種依存文字も正しく表示することが可能だ。ツーカーセルラー東京によれば、iモードの機種依存文字のサポートは意図的なものではないそうだが、iモード対応ページは若年層を中心に、新しいコミュニケーションの場所として、着実に浸透しており、これらのページを気軽に閲覧できるのはCaraの魅力のひとつと言えるだろう。

 NTTドコモ以外の通信事業者が発売する初のメール端末として登場したCaraだが、全体的に見ると、ユーザーのニーズとトレンドを的確に捉えながら、うまくまとめられているという印象だ。特に、価格的なアドバンテージは、今後、他の通信事業者が発売するメール端末にも大きく影響を与えることになりそうだ。現在、販売はツーカーセルラー東京のみとなっているが、ツーカーセルラー東海やツーカーホン関西も検討に入っていると言われている。手軽にメールとCompactHTML対応ページでコミュニケーションを楽しみたい初心者におすすめの製品だ。


◎関連URL
■ 「Cara」ニュースリリース(ツーカーセルラー東京)
http://www.tu-ka.co.jp/news/release/991025.html
■ 「Cara」製品情報(ツーカーセルラー東京)
http://www.tu-ka.co.jp/mobile/page_1.html
■ 「Internet Freeway」ニュースリリース(ツーカーセルラー東京)
http://www.tu-ka.co.jp/news/release/991025_2.html
■ 「Internet Freeway」情報(ツーカーセルラー東京)
http://www.tu-ka.co.jp/discount/frame/i_free.html
■ [COM JAPAN 1999]メール端末が勢ぞろい
http://www.watch.impress.co.jp/mobile/news/1999/11/02/mail.htm

法林岳之
2000/01/11


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