こどもとIT

オンライン授業に対する満足度、日本の保護者は12ヶ国の中で最低~アバスト調査

アバストは2020年8月28日、世界12カ国を対象としたオンライン授業に関する調査結果を発表した。外出自粛期間中のオンライン授業について「満足している」と回答した日本の保護者はわずか24%で、調査対象国の中で最も低い結果であることが明らかになった。

本調査は、アバストがTolunaに委託し実施されたもので、日本国内の保護者501人を含め、世界12か国の保護者6,000人以上を対象に2020年6月に調査された。

不満の理由としては、「学習量の少なさ・学習時間の短さ」「子どもの集中力が続かない、集中できていない」「コミュニケーションが一方的」などが挙げられている。その一方で、「新型コロナウイルスを予防しながら学習ができた」「オンライン授業に参加することで規則正しい生活の維持ができた」「子どもの学習内容を確認することができた」といったオンラインでの授業を評価する声もあった。オンライン授業には課題が多いものの、「今後このような学習方法が普及することを考えると良い経験になった」と述べる保護者もいたという。

オンライン授業については、文部科学省が学校設置者に対して6月に実施した調査でも、⾼等学校の47%、中学校の10%、⼩学校ではわずか8%しか同時双方向型のオンライン指導を⾏なっていないという状況だ。「各学校や家庭・児童生徒の実態を踏まえた積極的なICTの活用」は、80%以上の調査対象校が課題であったと感じていることもわかっている。

アバストの調査は、ICTを活用した双方向型のオンライン指導を満足に実施できていなかった日本の教育に、保護者側からも課題であることを突きつけたと言えるだろう。

一方で、オンライン授業を受けている日本の子どもの中で、1週間に1回以上、技術的な問題に遭遇した子どもは10人に1人(10%)となり、世界平均の19%と比べて、技術的な問題に遭遇する子どもの割合は最も低かったという。

その理由として、オンライン授業は多くの場合「Zoom」や「Microsoft Teams」など、保護者が仕事で利用したことのあるツール上で実施されており、オンライン授業が開始されてから新しいツールを学ばなければならなかったと回答した保護者は約14%と、調査対象国の中で一番低い結果であったことがその理由と考えられる。

神谷加代

こどもとIT編集記者。「教育×IT」をテーマに教育分野におけるIT活用やプログラミング教育、EdTech関連の話題を多数取材。著書に『子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由 「21世紀型スキル」で社会を生き抜く』(共著、インプレス)、『マインクラフトで身につく5つの力』(共著、学研プラス)など。